分譲マンションの「設計図書」「図面」

マンションの図面集 マンションの基礎知識

設計図書よりも業者の実績・信頼性複数の専門家が集まり、各専門知識を集約してつくったものの素人がいきなり内容を理解しようとしても無理。設計図書の内容は理解しなくてもよいのです。

設計図書とは、いわばマンションの身上報告書です。工事を進めるために必要な18種以上の図面のほか、材料や施工方法などを記した仕様書、地震・強風・積雪・積載過重に耐え得るかを示す構造計算書など、その内容は実に多岐にわたっています。ざっと、挙げてみましょう。

●設計図書の内容

◆設計図
建築概要書、面積表および求積図、敷地案内図、配置図、仕上げ表、各階平面図、住戸平面図、断面図、立面図、矩形図、平断面詳細図、展開図、天井伏図、外構図、日影図、設備図、構造図、作り付け家具・キッチン・ユニットバスなどの詳細図など。
◆仕様書
仕様概要書、電気・機械・空調設備等の計画概要書など。

◆その他
構造計算書、地盤調査書など。

マンション購入の指南本の多くは、「設計図書を理解するのは大事なこと」とうたい、「設計図書のポイント」について解説しています。しかし、そうした文章を目にするたびに、「それは無茶だよ」と私は思ってしまうのです。

結論からいうと、プロが結集してつくりあげた設計図書を、素人が付け焼刃の知識で理解するのは不可能です。乱暴なことをいうようですが、そもそも設計図書の内容を必死で理解する必要はないのです。

設計図書の内容よりも業者の信頼性を重視しましょう。設計図書は、前述のように多岐にわたる書類ですから、その内容に圧倒されるかもしれません。しかし、そうした印象にだまされてはいけません。重要なのは、設計図書にかかわった各業者の実績・信頼性を見極めることです。

設計図書のチェックポイント

「設計図書そのもの」についてのチェックポイントではありませんが、次の点に注意することで、業者の信頼性がわかります。ですから、通常、設計図書はモデルルームに備えてあるものですが、それを置いていないということはやや不慣れな業者のような感じがします。しかし、物件が気に入っているのなら、設計図書の不備であきらめるのはもったいないことです。

設計図書がない場合は、閲覧したいということを業者に伝えましょう。設計図書そのものを見るためというよりも、そのときに業者が迅速丁寧に対応してくれるか見るためです。このときの対応が気持ちのいいものであれば、物件を検討してもいいでしょう。

インターネットで業者情報をチェック会社設立から何年経過しているのか、いままでにどんな物件を扱ってきたのかを訓べてみましょう。その業者の得意分野を知ることができます。

購入時には設計図書の確認を!!

マンションの図面
マンションの設計図から、私たちでもその物件の善し悪しを判断できることはあります。建築の専門家でない人が設計図を見ても、意味がわからないと思います。設計図のチェックは、コンサルタントと一緒に行ったほうがいいでしょう。

マンションの販売事務所には、設計図書(意匠図、構造図、電気設備図、給排水衛生設備図、空調換気設備図など)が置いてあるはずですから、この閲覧を頼んでみてください。もし設計図書を置いてなかったり、閲覧を拒まれるようなことがあれば、かなり怪しいと考えていいですね。また設計図書の目次にあたる「図面リスト」がはずしてあったり、「建具表」や「住戸内展開図」などの重要な図面が、故意に抜かれている場合などもあります。情報を隠すのは、何か後ろめたいことがある証拠です。

設計図書のチェックポイント

設計図を読み込むとき「ここだけはチェックしておくべき」という点はあります。1つは鉄筋コンクリー。卜の柱の中に入った主筋(縦にのびる鉄筋)の太さです。22ミリ以上であれば安心です。22ミリ未満であっても、構造計算上問題がなければ法律違反ではないのですが、22ミリ以上あれば信頼性が高まります。

もう1つは階高です。理想的な階高は、大梁(柱と柱をつなぐ横架材)の関係で階数によって異なりますが、5階建て以下なら2.85メートル、10階建て以下なら2.96メートル、それ以上なら3メートル超はほしいところです。階高を詰めるのはいちばん安易なコストダウンです。たとえば二重床ではなく直床を用いることで、1階当たり15センチほど階高を詰めれば、単純計算で10階建てだと1.5メートルも建物の高さを抑えられることになります。その分、鉄筋コンクリートやタイルの量を減らすことができるわけですからね。ここにもデベロッパーの姿勢を見ることができます。その他、モデルルームの見学などのときに、比較的簡単にできるチェック項目を上表にまとめましたので、参考にしてください。

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