「青田売り物件」・「完成売り」の違い!!

マンション青田 マンションの基礎知識

「青田売り物件」と「完成売り」

青田のマンション

新築マンションは建物が設計され、建築確認申請という手続きが完了、または実施されたあとに販売が開始されます。購入希望者は建物完成前なので実物を見ずにモデルルームに足を運び、パンフレットや図面を見て購入を決めます。青田売りとは、このように実物がない販売方法を指します。

これに対して、完成直前の建物を見て購入することを完成売りといいます。完成売りは2002年にある某大手財閥系分譲会社がはじめましたが、マンションの販売方法は青田売りが圧倒的に多いといえます。なぜ、実物が完成しないのに売り出すのでしょうか? 青田売りであれば、売り主が資金回収を早めることができるからです。マンション建設の工事期間だけでも、1年から2年、用地仕入れ・企画・設計を含めれば、さらに長い年月がかかります。着工間もない段階で分譲をはじめ、完成した時点ですべて売れていれば、土地費用や建設費用を完成と同時に資金回収ができますから、青田売りは売り主サイドの都合といえます。

「青田売り」は危険な買い物

新築マンション購入は、ネットショッピングに似ている、あるいはまったく同様だといわれることがあります。その理由を説明します。新築マンションでは「青田売り」が主流となっています。青田売りというのは、未完成の建物を売ることです。購入者は、建物が完成していない時点で契約することになり、実際の設備や仕様などは図面とパンフレット、モデルルームでしか確認することができません。現在はインターネットでなんでも買える時代になりましたが、ネットショッピングには思わぬトラブルがつきものです。商品が届いて実際に手にしてみたら「写真と色が違う」「素材が安っぽい」「着てみたらサイズが合わない」など、イメージどおりではないこともしばしばあります。

マンションの購入は、人生最大の買い物といえます。モデルルームではなく、実物の建物と部屋を見て、周囲の環境や日当たり、眺望、設備機器、管理状態、生活動線などを目で確認し、納得してから購入するのがベストです。この納得感がないと、後々まで悔いが残るおそれがあります。問取り図などの資料を平面的に眺めただけでは、眺望や日当たりを遮る隣接建物があってもわからないので注意が必要です。

・新築マンションを早く売りたい本当の理由

なぜ新築マンションでは「青田売り」が当たり前のように行われているのでしょうか。青田売りをすると、分譲マンションの業者は資金を早く回収することができます。なぜなら、事業資金の借入利息を減らせるからです。これがもっとも大きな理由ですが、そのほかにも「早く売ったほうが地価下落や販売価格低下のリスクを減らせる」「売れ残り物件と誤解されない」「契約や引き渡し作業を一気にまとめて行える」「1年すぎると中古扱いになり販売価格が下がる」などの理由が挙げられます。

買い手にとっての青田売りのメリットは、優良物件を早く押さえることができるので、高い資産価値の物件の確保ができることです。デメリットは、契約してもすぐに入居できないことです。長ければ契約から入居まで1年半以上かかる場合もあります。また、そのあいだに地価が下落すれば、あとからよい物件が安く売り出されるので、青田買いした人にとって実質的な損になります。精神的な不安も大きく、「図面どおりにできるか」「売り主の業者が倒産したらどうなるのか」「ローンはちゃんと返せるのか」「数年後の自分の仕事はどうなっているか」など、実際に住み始めるまで、不安要素は高まります。そうした要素を数えたらきりがありません。

・「青田売り」のチェックポイント

まずチェックすべきことは、建築確認済証や開発許可証などがあるか否かです。宅地建物取引杲法により、建築確認や開発許可がおりたあとでなければ、広告をしてはいけませんし、契約もできません。実物のない青田売りにおいて、工事完了時の形状、構造を、契約前のどの機会で確認したらよいのでしょうか? パンフレットやモデルルームで確認するだけでなく、「重要事項説明」において、書面や図面により説明を受けます。重要事項説明とは、契約に先立ち、販売業者などが購入者に対して物件の説明をする義務のことです。物件の形状や構造のほかに、物件に関する権利、法令に基づく制限の概要、契約の解除、損害賠償額や違約金、手付金の保全措置ヽマンションの管理内容、代金の授受方法など、文字どおり重要な事項の説明が含まれます。

 

●青田売りのメリットとデメリット

〔分譲業者にとって〕

【メリット】

●完成(引き渡し)時には資金回収できる。事業資金の借入利息が減らせる(これが青田売りの行われる最大の理由。もちろん大半が売れ残ってしまえば資金回収どころではなくなってしまう)
●早期に資金回収のめどが立つことによって、次のプロジェクトヘの資金投下がしやすい、あるいは金融機関からの事業資金融資が受けやすい
●地価下落局面においては、販売価格低下のリスクを減らせる
●ユーザーのニーズに応じた販売(プラン変更等)が可能
●売れ残り物件と誤解されることが少ない
●契約や引き渡しなどの段取りを、一度に集中して行うことができる

【デメリット】

●契約から引き渡しまでの期間が長いので、ユーザーの都合やローンの否認(リストラ、収入減等)による契約解除のリスクが大きい
●モデルルームのコストが大きい

 

〔買い手にとって〕

【メリット】

●(優れた物件であれば)早い者勝ちで物件を押さえられる(可能性がある)
●物件(および契約時期)によっては、希望に応じた間取り変更等が容易
●設備や機器、壁紙等を選んだり、オプションで追加することが可能
●完成時のチェックや補修要求等も念入りにできる
●引っ越し(入居)までのスケジュールをゆっくりと立てられる
●建物の建築過程を見ることができる(物件にもよる)
●他の住戸も比較的同時期に入居するため、コミュニティーが形成しやすい。逆に竣工売りでは、入居後にほかの部屋の見学者がひっきりなしに出入りすることも

【デメリット】

●とにかく不安(現物を見ないまま数千万円の買い物をするので、契約から完成まで数力月から1年半ほどの長い間、不安にさらされることになる)
●実際の間取りや日照、通風、眺望などが確認できない。障害物があっても見落とす可能性あリ
●モデルルームのコストが価格にはねかえる
●契約してもすぐには入居できない
●地価下落時には、あとからよりよい物件がより安く売り出されることも

 

「完成前に完売」が分譲会社の理想

契約の際に現物を確認できない「青田買い」の最大のデメリットといえるでしょう。一部で行われている「完成売り」も検討の余地があります。新築分譲マンションを購入しようとする場合、ほとんどが建築中の物件になるでしょう。分譲会社がマンションを建てるときは、土地の購入、マンションのコンセプト決定、コンセプトに基づいて設計、着工、マンション完成という段取りを踏みます。こうしたプロセスを経て、やっとマンションは完成するのですが、完成後に販売活動に入ると売却までにさらに時問がかかってしまいます。土地の取得や設計・施行では莫大な費用がかかるため、金利だけでもたいへんな額です。かかった費用を速やかに回収しなくては利益がどんどん減ってしまうのです。

分譲会社は、完成までに全戸完売することを前提に事業収支を組んでいるといわれています。早い段階から販売を開始し完成時には完売、というのが分譲会社の描く理想パターンです。現物確認できない「青田売り物件」事情がアルかも「完成在庫」こうした事情から、新築マンションは完成前に購入する「青田買い」が主流となっています。パンフレット、モデルルームから得た情報で購入するか否かの判断をしなくてはいけないのです。ただ、予算さえあえば、最新の設備・仕様の物件を選ぶことができます。では、完成後に販売している新築物件は、現物を吟味できてお買い得かというとそうともいいきれません。次の4点を確認しましょう。

①もともと完成後に販売開始している「完成売り」の物件
↓↓↓
購入候補に入れて問題なし。
②申し込んだ人が直前にキャンセルして急遽売りに出された
↓↓↓
個人的事情のキャンセルなら問題なし
③青田売りでほかの部屋は買い手がついたのに残っている
↓↓↓
駐車場に近い、外から見えるなど条件が悪い部屋
④そもそもすべての部屋の売れ行きが
↓↓↓
悪い立地、金額、施行会社の評判などに問題がある

とくに完成在庫の場合は③、④について、同地域のほかの物件と比較して調べたほうがいいでしょう。

 

「完成売り」が増加傾向にあり

90年代後半のバブルのころは、日々、不動産価格が上昇していくので、分譲会社は青田売りであわてて売るようなことはしませんでした。計画段階よりも、完成時のほうが高い値がついたからです。バブルの揺り戻しのデフレの時期は、建築している最中にマンション価格がどんどん落ちるので、青田売りで早期に売り切ってしまおうという風潮でした。デフレを脱却した最近では、バブル時代ほどではありませんが、不動産の価格が着々と上昇しています。つまり、青田売りであわてて売るよりも、完成まで寝かせていたほうが価格が上昇するというわけです。今後は、完成後に販売に出されるマンションが増加するかもしれません。現物を見て買えるというメリットはありますが、価格上昇とセットでは、痛し痒しといったところでしょうか。

 

・青田売りに関係する宅地建物取引業法

第32条(誇大広告等の禁止)

著しく事実と相違する表示をしたり、誤認をさせるような表示をしてはならない。

第33条(広告の開始時期の制限)

建築確認や造成の許可などがおりたあとでなければ、売買の広告をしてはならない。

第35条(重要事項の説明等)

売買契約の締結に先立ち、販売業者または媒介業者の有資格者が物件と取引について書面や図面により重要事項の説明をしなければならない。説明内容についても明記されている。

第36条(契約締結等の時期の制限)

建築確認や造成の許可がおりたあとでなければ契約を結んではならない。

第41条(手付金の保全)

処置を講じたあとでなければ、買い主から手付金を受領できない。ただし、金額や取引の実情によっては除かれる。

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