「駐車場の有無が資産価値を左右する」というのは本当か?【分譲マンション】

マンションの駐車場 マンションの基礎知識

分譲マンションにおいての「駐車場の資産価値」

都内では重視されない傾向の駐車場ですが、地方では駐車場の有無が物件の価値を決めることもあります。しかし、都内のマンションは「駐車場つき」が売りにならない現実も理解すべきです。その意味、わかりますか?

「駐車場」がないほうがいい・・・場合もある!!

東京は交通機関がたいへん発達しています。ほとんど待ち時間が必要ないような山手線、主要駅は何本もの路線が乗り入れ、地下鉄は網の囗のようにはりめぐらされています。その一方、慢性的な駐車場不足です。地方のワンルームマンションと同程度の金額で、セキュリティなど無縁、ただの空き地で雨ざらしの駐車場がどうにか借りられるという現状です。さらに、道路交通法の一部改正により駐車違反の取締りが強化され、外出先でも駐車場を求めて右往左往。車を所持する便利さよりも、苦労のほうが大きいといえるでしょう。

公共交通機関が発達していることに加えて駐車場料金が高額ということもあり、車を所持している人が少ないので、都内マンションでは「駐車場つき」ということは、それほど重視されない傾向にあります。駐車場設備があると物件価格は高額になりますが、自分が車を所有していないなら「人に貸す」こともできます。その際の駐車場収入で、物件価格の駐車場代にあたる部分がペイできるか検討してもよいでしょう。

 

地方では、「駐車場がない」のは最大のデメリット

さて、地方になると「車事情」は一変します。地域によっては「大人の数だけ車がある」ということもあるようで、公共交通機関よりも、日常の足はだんぜん自家用車に軍配があがるのです。

これはマンションの資産価値にも大きくかかわる問題です。駐車場があるのか、あるとしたら何台まで停められるのかによって、そのマンションの評価=人気が大きく変わってくるのです。駅やバス停に近く、歩いて5分のところに大きなショッピングセンターがあっても、駐車場がない新築マンションは値下がりは必至です。最新の設備を取り入れたマンションでデザイン的にも優れていても、「車生活」に慣れ親しんだ人にとっては「駐車場がない」というだけで価値は半減してしまうのです。

駐車場は「敷地内」が資産価値を保てるマンション

もっともいいのは、マンションの敷地内の駐車場から雨風にさらされずにマンション内へ移動できる物件です。車を停めてからマンション内に移動するまでに、雨風にさらされることがあっても、マンションの敷地内に駐車場があれば、それも許容範囲として受け取られます。どちらも「敷地内」というのがポイントです。マンションの敷地内にあるということは、「なくなる可能性のない駐車場」ということだからです。

広くて2台まで駐車が可能な駐車場でも、それが隣の空き地を借りているものだとしたら、物件の評価も下かってしまいます。いつなんどき、空き地の地主の気が変わって土地を貸さないということになるか予測ができないからです。地方で新築分譲マンション購入を考えていて、「頭金やローン返済で、どうせ車をもつ余裕はない。駐車場はなくてもいいから安い物件を」と思っている方。一生、そのマンションに、同じ生活レベルで住みつづける「自信」があるなら止めません。

しかし、のちのち年収が上がって、車が買える状況になったときでもがまんできますか? また、売却や賃貸をしようにも、「駐車場がない」という最大のネックがあっては、スムーズにことも進みません。車の有無にかかわらず、物件価値を保つためには、地方では「駐車場つき」が基本であると認識しておきましょう。

 

駐車場のチェックポイント

駐車場はきちんと確認しなければ、車を傷つける原因にもなります。出し入れのしやすさやセキュリティ、及び車路の勾配までチェックしましよう。マンションの駐車場に空きがあるかどうかは、必ずチェックしてください。東京23区内で、駅から徒歩10分以内のマンションでは、駐車場率(駐車台数/総戸数)が50%未満というケースも少なくありません。

しかし、都心であっても、物件価格が4000万円代後半以上になると、マンション購入後も車を所有する人が増えます。そのような場合には、マンションの敷地内の駐車場が不足し、抽選から漏れ左人は月極駐車場を借りなければなりません。そんな最悪の事態を防ぐために、一定の駐車場が確保されているか、購入前に確認する必要があります。ただし、駐車場の収入が管理費の重要な財源になっている場合、空きが出ることで管理費会計が赤字になるケースもありますので、とにかく駐車場が多ければいいというわけでもありません。

最近の車は大きくなっている

駐車場は、その広さも重要です。10年前は5ナンバー車がほとんどでしたが、最近はこれを超える3ナンバーの車をもつ人が増えてきました。3ナンバーの車の場合、平面駐車場であれば、1台分として5.5m×2.7mは最低必要です。さらに、駐車場の車路の幅や切り返しスペースも確認してください。車路の幅は、最低6mはほしいところでしょう。

切り返しスペースは、車路の奥に位置する車庫に車を出し入れする場合に必要です。少なくとも車路が5m伸びているか、あるいは機械式のターンテーブルがあるほうが良いでしょう。

駐車場のセキュリティは車の盗難や車上荒らしの被害にあわないために、防犯対策は重要です。車のなかから操作可能なラジオオート(無線対応)のリンググリルシャッター(ステンレスの棒で組まれた格子状の電動シャッター)か、口ボットゲート(電動で動く門扉)がほしいところです。

 

新しい駐車場の考え方

個人的には「バレーパーキング」を提唱したい!!

私はマンション販売の仕事以外にも、海外へ出かけることが多い事業も行っています。我が国も諸外国並みに治安が悪くなってきています。あちこちのマンションの駐車場での車の盗難や車上荒らしの被害です。マンションと戸建住宅の大きな違いは、スケールメリットによるセキュリティーの良さです。セキュリティーの強化として最近販売されているマンションでは、建物への不審者の侵入に対してはダブルオートロックで防御をしたり、オートロックの開錠に関して鍵代わりに指紋照合システムや瞳の光彩判別システムを採用しています。

駐車場の車の出入口には、無線対応のリンググリルシヤッターか、電動横行式門扉が絶対に必要です。車の中から煙草の箱くらいの大きさの無線機で開閉させるバリアーです。オートロックと同様で、車の出入りのために開いている時に一緒に人間も入れますが、システムを厳重にすれば、車2台同時には出庫できませんので、車の盗難は防げます。

バレーパーキングのメリット

さらに、今後マンションの駐車場には絶対に必要な駐車システムとして、「バレーパーキング」(VALET・PARKING)がひつようでしょう。現在の日本ではほとんど普及していませんが、欧米のホテルやコンドミニアムなどではほとんどこのシステムを採用しています。海外に駐在された方なら御存知でしょう。東京でもこのシステムを採用しているのは、「帝国ホテル」や「玉川高島屋」くらいだと思います。

「バレーパーキング」システムとは、車をコンドミニアムのエントランスに乗り付けたら、ドアボーイがタグ(札)を渡してくれて、車を駐車場へ入庫してくれます。出庫の際は、入庫時にもらったタグを渡せば、駐車場から車をエントランスまで持ってきてくれるシステムです。常時専門の人を雇うと言うと大変な費用がかかると思うでしょうが、外国人動労者にアルバイトでやってもらえば、かなり安くなるでしょう。現実的だと思います。

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