高層階つて本当にお得なの?【高層階 vs 低層階】【メリット・デメリット】

高層階からの眺望 マンションの基礎知識

高層階のほうが良いのか?

高層階のメリット

マンションは4~6階くらいの低層型マンションから、50階以上ある超高層型マンションまでさまざまなタイプがあります。最近は超高層タイプのタワーマンションが人気となっています。

高層階のメリット

高層タイプのマンションでは、人気があるのは最上階などの高層階。オフィスビルなどでも最上階は人気があります。高層階の人気の秘けつは、やはりなんといっても「眺望」です。湾岸エリアでは港の夜景、平野部では朝日に光る遠くの山などが見えます。立地によっては花火大会などが間近に見られる場合もあります。ある程度の高さがあると、日光をさえぎる建物も少なくなるので、日当たりも良好です。駅に近いマンションは商業地域の場合が多く、マンションの敷地にゆとりがないケースも多くなっています。このため、周辺に建物ができた場合に、日照がさえぎられることもあります。その点では上層階のほうが安心ともいえます。ただし、現在では総合設計制度によって公開空地も増えていますので、以前よりは心配は少ないかと思います。また、景気の良い時と比べて景気の悪い時ほど上層階に割安感がでてきます。これは景気が良く売れ行きが良い時は上層階と下層階の価格差を大きく設定し、景気が悪いときにはそれほど差をつけないからです。これは一般の方はあまり理解されていないのですが、業界ではよく知られていることです。ゴミ出しなどは、超高層マンションの場合は各階にゴミ置き場がある場合もあります。夏に窓を開けていても蚊などの虫が入ってこないという思わぬ利点もあります。

高層階のデメリット

ただし、マンションの規模やタイプなどによっても異なりますが、デメリットもあります。最上階は屋上からの温度の影響を受けやすいので、夏の暑さや冬の寒さが伝わりやすいことがあげられます。超高層階は日当たりが良すぎて暑いこともあります。室内の日焼けを嫌って年中カーテンを閉めている方もいるそうです。これは高層階に限りませんが、規模が大きいと朝などエレベーターの使用が集中するとなかなか来ないこともあります。外に出かけるのにも時間がかかり、―階に新聞を取りにいくのも大変だという声もあります。高層階は防犯上安全と思いバルコニーに施錠しない人も多いですが、屋上から伝わって泥棒が入る場合もありますので、使用時以外でも必ず施錠する必要があります。また、あまり高層階で空ばかり見える場合、小雨が降っても見えづらいということもあります。

低層階のメリット

では低層階、とくに1階のメリットをあげてみましょう。何といっても出入りが容易です。小さい子どもやお年寄りのいる家庭には適しています。地震や火災の場合にも素早く避難できます。専用庭がついている場合もあり、戸建て感覚も楽しめます。アパートなどでは1階は防犯上敬遠される場合もありますが、マンションの場合はセキュリティがしっかりしていますので、まず安心です。低層タイプのマンションは、低層住宅地域ではまわりと調和して景観を壊しません。低層階のデメリットとしては、当然ですが眺望はあまり期待できません。また、1階でエレベーターを使用しなくても、エレベーターの使用・修繕の費用などは負担しなければなりません。いずれの階もメリット、デメリットがありますが、階層によって著しく住みづらいということはありません。高い階は、普通の戸建て住宅では味わえないような眺望を楽しめますし、低層階は生活に便利、地面に近い分安心感があります。仮に災害時に停電となった場合はもちろんエレベーターは可動しません。そうなると低層階のありがたみがよくわかります。最上階などの高層階は、低層部分に比べて割高になっている場合もあります。しかし高層階でも低層階でも共用部分は同じです。低層階が値段的にトクならば、タワーマンションなど大規模マンションの豪華な共用設備を、比較的安い値段で利用できるという大きなメリットもあります。規模やプランをよく見て、そのマンションに住んで日常の生活をしていることを想像して階を選んでみてください。

2019年の台風のときには、停電でタワーマンションのエレベーターが止まり、高層階から階段で昇り降りをすることになったマンションも多くありました。その後は高層マンションにも非常用の電源を備える場合が多くなってきています。高層マンションで被災した場合は、水や食料などを持って階段で何十階も昇り降りは大変ですので、非常用の電源が設置されているかはぜひ確認してみましょう。とくにベビーカーや小さなお子さんがいると高層階までの昇り降りも大変です。また防災用の資材があっても、すべて1階や地下倉庫にあると、高層階の人はいざという時に使いづらいかもしれません。途中階ごとに防災用品が備えてあると使いやすいかと思います。また、これは管理組合によって、後からでも変更できます。

 

1階の専用庭も魅力

1階住戸には専用庭がつくことがあります。これは「専用」と名がつきますが、実は共用部分です。共用部分ですが、自分専用に使える「専用共用部分」となります。専用使用権がついているわけです。毎月の使用料がかかる場合もあります。これも自分専用だからといって、何をしても良いわけではありません。植物の高さなども決まっている場合があるので、使用細則で確認してください。しかし、何でもかんでもダメ、というわけではありません。常識の範囲内でなら遊具を置いたり、ガーデニングや家庭菜園を楽しむのも良いでしょう。土から遠くなりがちなマンションライフですが、―階に住んでいる人だけの特権なのですから、どうか楽しんでください。

 

 

 

最上階住戸はデメリットばかり!?

最上階住戸はとても人気があります。しかし、おすすめ物件とは言えません。もちろん上階から音が伝わってくることがないし、見晴らしもよく、快適な面もあるでしょう。しかし、最上階住戸には大きなデメリットがいくつかあります。特に大きなものは次の3つです。

①夏はとても暑い
②空き巣に入られる可能性が高い
③下階住戸より価格がかなり割高

 

①最上階はクソ暑い!!

まずは①から説明しましょう。なぜ最上階住戸は暑くなってしまうのでしょうか。通常、最上階住戸天井上のコンクリートスラブのさらに上には断熱材(厚さ約5㎝)を貼って外断熱し、その上にアスファルト防水を施工しています。問題は真夏の日中です。太陽が照りつけるなか、わずか5㎝厚の断熱材では断熱効果が低く、コンクリートスラブは照りつける太陽の熱を蓄熱します。

昼間は断熱材とコンクリートスラブで多少は断熱できます。しかし夜になって建物周辺の外部温度が下かつてくると、コンクリートスラブに蓄えられた熱が放出されます。このとき、上部(外部)には断熱材があるため放熱できず、下部の室内に放出されます。

ですから、最上階住戸では、夏の間は一晩中冷房していないと、暑くて寝ていられません。ちなみに、最上階でなくても、住戸の上がルーフバルコニーになっている住戸も夏はとても暑くなってしまいます。

②屋上から侵入されやすい最上階住戸

つづいて、②の空き巣に入られやすい理由を説明しましょう。マンションでもっとも空き巣が入りやすいのは1階住戸で、次は最上階住戸と言われています。

マンションにお住まいの方はちょっとした買い物の場合、リビングダイニング側にあるバルコニーヘの掃出し窓をあけ放して外出される方も多いでしょう。住戸内の換気をよくし、湿気を排出するためにはよいのですが、問題は空き巣がマンション住人のそのような習慣を知っていることです。

特に最上階の場合、泥棒は非常階段などを使って屋上に到達し、そこからリビングーダイニング側のバルコニーに降りてきて、かんたんに住戸内に侵入できてしまいます。そして泥棒は金品を盗み、住戸玄関の鍵を内側からあけて堂々と出て行くのです。特にマンションの最上階住戸は購入価格が高いので、「金持ち」が住んでいるということを泥棒はよく知っています。

③広さが同じでも中間階より10%以上割高

最上階住戸の価格が下階住戸よりかなり割高な理由は、上階住戸の音に悩まされる心配がないことや眺望のよさなどから人気があるためです。最上階住戸は、中間階の同じ広さの住戸より、価格が10%以上割高とも言われています。以上のように、最上階住戸には大きな3つのデメリットがあるので、私はおすすめしません。

 

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