固定金利・変動金利のメリットとデメリット
住宅ローンを組むと、惜りた金額だけを払うわけではなく、当然ですが金利分も支払うことになります。この金利が金融機関にとっては利益になるわけですが、借り入れ金額が大きいと、1%のちがいで大きな差が出てしまうのですから、借り手にとってはなるべく低く抑えたいものです。金利には「固定金利」と「変動金利」があります。まずは、この二つのちがいを理解しましょう。同じ金額の借り入れでも、金利の種類によって返済額に大きな差が生じることを理解しておきましょう。
・固定金利
住宅ローンを組んだときから決められた期日まで、金利が同じ、つまり「固定」されている金利のことです。返済額が一定のため計画的な返済ができるメリットがあります。低金利時に借り入れすれば、長期にわたり低金利での返済が可能ですが、高金利時に契約してしまうと、金利の低下にかかわらず、同じ金利が適用されてしまいます。長期固定金利と短期固定金利の2つがあり、固定期間が長いほど金利が高く設定されています。
・将来的に金利の上昇が予測されるとき
・変動金利
銀行や信用金庫など民間金融機関の住宅ローンの多くは、経済状況によって金利を見直す「変動金利」をとっています。半年または1年に1度、金利を見直し、新しい金利が適用されます。経済状況の変化を受けて金利が上下するので、固定金利に比べて返済計画が立てにくく、金利が上がると返済額も多くなります。また、金利が急激に上昇し、毎月の利息の支払額が返済額を超えた場合は、超えた分は「未払利息」として支払いが繰り延べられます。しかし、金利が下がれば、その分、返済額が少なくて済むというメリットがあります。
・将来的に金利の低下が予測されるとき
・固定金利選択型
借り入れから一定の期間は同じ金利で、その期間終了時に変動金利か固定金利かを選択できます。金利を固定できる期間は10年から20年と、金融機関や口-ンの種類によっていろいろで、金利も金融機関によって異なります。固定金利選択型ローンは、固定期間とその問の金利、固定期間終了後に変動と固定のどちらを選択するかで返済総額に差が出ます。複雑に感じるかもしれませんが、金融機関に頼めばシミュレーションをしてくれます。「面倒そう」と選択肢からはずすのではなくシミュレーション結果を見て検討してみましょう。
・繰り上げ返済などで金利変動の影響を抑えられる人
2020~2021年 金利は上がらないのか?
・デフレ脱却は先 金利も当分上がらない
マイホームを購入するとき、多くの人は住宅ローンを利用します。借りられるのかという不安もあるでしょうが、同時に金利の動向も気になります。
現在の金利は変動金利型住宅ローンで0.5%程度、固定金利型で1.4%程度という、ほとんど下がる余地のないところに張りついているのが現実です。上昇に転じる時期はいつなのでしょうか。景気が回復してインフレに転換するかどうかは、私たちの周りを見れば予想ができます。
お給料は実質的に減っている
まずお給料です。政府は大企業の経営者に賃上げを求めています。それに応えて今年の春闘の賃上げ率は高水準となったのですが、これもほんの一部の大企業のこと。労働者の7割程度が働く中小零細企業にはそこまでの体力がありません。さらに厚生労働省の3月の毎月勤労統計調査物価によると、物価の変動を考慮した実質賃金は前年比2.4%減となり、23ヵ月連続でマイナスでした。
給料は金額で見れば上がっていても、実際に使えるお金は減っているのです。これではお金を使う気にならず、デフレ圧力が解消されません。
アベノミクスが低金利の要因
次は経済政策、金融政策です。政府は大企業がもうかれば、やがて中小企業ももうかるようになるという「トリクルダウン理論」を実現させる政策に力を入れていたのですが、思い通りにはいきませんでした。例えば自動車会社は円安の恩恵を受けて史上最高益を得ています。でも国内の生産台数が増えているわけではありません。そのため国内の下請け中小企業の経営は厳しさを増しているのです。トリクルダウン理論が幻と理解したのか、安倍総理は「全体の底上げを行っていく」と言い換えるようになりました。
アベノミクスによって株価が上昇したのは確かですが、東京証券取引所のデータを見ると、東京証券取引所第一部の売買代金の約6割が外国人投資家の資金です。上昇の恩恵を受けたのは主に外国人投資家でした。つまりは景気は順調に回復しているとはいえず、株価が上昇しても国内投資家が十分にもうかっているわけではないということです。
日銀がこだわる2%目標
日本銀行も厳しい状況に追い込まれています。大胆な金融緩和を行っていますが、物価上昇率の目標を2%としているのに、2019年度の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合指数が前年度比プラス2.6%でした。昨年4月の消費税引き上げの影響分2%を差し引くと1%にも満たない上昇しかしていません。
景気が回復し、デフレを脱却してインフレに転換してはじめて金利が上昇します。日本はまだデフレを抜け出せないでしょうから、当分、住宅ローンの低金利は続くでしょう。
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