用途地域で予測するマンションの周辺環境!!【令和2020~2021】

マンション周辺の環境 マンションの基礎知識

用途地域で予測する周辺環境

マンション周辺にどのような建物が建つ可能性があるのか、用途地域を理解すれば周辺環境の変化もある程度把握できるのです。現状の環境に惑わされないようにしましょう。

「用途地域」とは地域・地区の一種で、市街地における適正な土地利用を図るために、都市計画法によって、その地域の建築物に制限が課せられています。それぞれの地域の目的に応じて12地域に分け、建築基準法と連動し、建築物の用途、容積率、構造などに関して一定の制限を加えたものです。

物件のホームページや、販売パンフレット図面集のなかの物件概要をまず見てください。その物件概要のなかに「用途地域」あるいは「地域・地区」という項目があり、そこに用途地域の種類が記入されています。購入予定物件から半径500m以内の用途地域を確認チェックが必要な箇所は、購入予定物件が建つ場所の用途地域と、隣接及び周辺の用途地域です。

これらを確認しておかないと、物件周辺の環境が悪くなったり、住戸にまったく日が入らなくなる恐れがあります。特に購入予定物件地より半径500m(徒歩6分強)以内の「用途地域」の確認は是非行なってください。半径500m以内は小学生の子どもの行動範囲です。子どもがいる家庭では、周辺環境をチェックするのは重要です。

住居・商業・工業系のなかに8種の地域がある

都市計画法第8条では20種類の地域地区が定められ、都市計画区域内の上地をどのような用途で、どの程度利用するべきかが示されています。「用途地域」とは20種類の地域地区のひとつで、住居、商業、工業などの土地利用を定めることで、用途の混在を防ぐことを目的としています。簡単にいえば、その土地に建築できる建物を制限するということです。用途地域に関する法律は平成8年に改正され、それ以前の8種から12種に細分化されました。工業専用地域以外であれば、マンションは建設できます。ただし、マンション建築可能な用途地域でも、高さや建ぺい率、容積率などには制限がありますから、どんなマンションでも建てられるというわけではありません。2018年4月1日、改正された都市計画法の施行に伴い、用途地域に田園住居地域が新たに追加されました。

・落ち着いた雰囲気なら第一種・第二種低層住居専用地域

用途地域のなかで、もっとも制限が厳しいのは第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域です。この二つの用途地域では、10mまたは12mの高さ制限があるので、人規模マンションや高層マンションは建てることができません。つまり、この用途地域にあるマンションは、小規模マンションということになります。また、店舗や飲食店なども小規模なものしか建築が許されていません。最近、注目を集めている共川施設が整った大規模マンションや、ステータス感の高いタワーマンションなどは望めませんが、繁華街の喧騒とは無縁です。落ち着いた住環境を希望するなら、おすすめの地域といえるでしょう。

・第一種・第二種中高層住居専用地域は利便性の高さが魅力

建てられる建物の高さは地域ごとに異なりますが、7、8階建てまで可能なこともあります。病院・大学なども建設可能な地域なので、地域環境はばつぐん。子供の教育に適した環境といえます。また、病院や大学があると生活に必要なさまざまな店舗が増えていきます。落ち着きがありながら、利便性も高く暮らしやすい環境といえるでしょう。

・商業施設と同居 第一種・第二種住居地域、準住居地域

第一種・第二種住居地域には、大型娯楽施設を建てることができます。第一種住居地域は、ボーリング場などのスポーツ施設のほか、ホテル・ラブホテルなども建設可能です。第二種住居地域なら、カラオケボックス、パチンコ店なども建設できます。幹線道路沿いの準住居地域は車の騒音や排気ガスで悩まされる可能性もあります。足代わりに車を使う人なら、移動がスムーズにできる立地でしょう。

・開けた地域ならではの問題もある 商業系地域

日用品の買い物にも便利で、休日も楽しめるといえば、近隣商業地域と商業地域でしょう。かなりおおざっぱな区分けですが、近隣商業地域は地元の商店街、商業地域は駅周辺の繁華街をイメージしてもらうといいかもしれません。毎日の買い物に困ることもなく、休日の外出も楽しめる地域といえます。交通機関も発達しているので、職住近接の可能性もアップします。暮らしの利便性はよいといえますが、それだけに物件価格は高い傾向にあります。住んでみると、防犯上の問題や騒音で悩まされることもあるかもしれません。

商業地域では、風俗店の建設が認められています。また、商業地域のマンションは敷地いっぱいに建っていて、近隣の建物と隣接しているケースがあります。高層マンションも多く、日影制限がないために日当たりが悪いことも考えられます。現在は問題がなくても、近隣に高い建物が建って日当たりが悪くなる可能性もあります。

・価格が安いのにはワケがある 準工業地域・工業地域

物件価格が安い傾向がありますが、それには理山があります。それぞれ工場の種類や規模は異なりますが、工場が近いということは大型車の通行が多いということ。大型車や工場からの音は、避けられないことが多いでしょう。工業地域は、日影制限がないため、商業地域同様の日当たりの不安もあります。

商業系用途地域はおすすめしない

まず、夫婦と子どもといった家族構成の方には、商業系用途地域はおすすめしません。風俗店が建設可能なので、教育上よくないからです。また商業系用途地域では、タワーオフィスビルや超高層マンションがかんたんに建設できるため、将来、メインバルコニー側の目の前にそうした建物が建つと、日が入らなくなる場合もあります。

ちなみに、マンションが建つ南側隣接地が第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域であれば、冬至のときでも大体4階以上は日が入ります。商業系用途地域に第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域が隣接しているエリアはほとんどありませんが、近隣商業地域では第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域が隣接しているケースもたまにあります。

また商業系用途地域には飲食店舗や大型スーパーがあり、調理の際の臭気が漂ってくることもあります。特に大型スーパーがすぐ近くにあると、冷凍ケース用冷凍機の屋外機が24時間運転していますので、夜は音が気になるでしょう。住環境には向きません。

 

近隣の用途地域も確認すること

用途地域からだいたいの環境を予測できるといえます。また、用途地域の異なる物件を複数下見することで、用途地域ごとの特性を実感できるでしょう。下見の際に気をつけてほしいのは、物件だけでなく、その周辺の用途地域も調べておくということ。マンションの道一本へだてると、用途地域が異なる場合があるからです。マンションの目の前の駐車場が、用途地域によっては高層マンションになる可能性もあるのです。

 

歩くと「街」が見えてくる

パンフレットや地図からは見えてこない街の様子。マンションの周辺情報は「足」を使って集めることが大切です。マンション広告には、物件の周辺環境に関する情報が掲載されています。不当な広告は法律で禁止されていますが、すべての情報が開示されているわけではないことを心得ておきましょう。マンションの便利さの指標としてとらえてしまいがちなのが、「最寄り駅から徒歩○分、スーパー・病院まで徒歩○分」といった表示でしょう。

1分間に歩ける距離を80mとして算出された時間ですが、上るのに時間がかかる急な坂道、待ち時間の長い信号や踏み切りなどは考慮されていません。「なんの障害もなくスムーズに歩けたら5分の距離」というのはウソではありませんが、道の傾斜、信号、踏み切りなどは除外されているので、すべてがホントとはいいきれないのです。

・通勤・通学、買い物、毎日通る道を歩く

お父さん、お母さん、子供たち、家族それぞれが日常生活で使用する道を歩いてみましょう。あまりいないと思いますが、「ドアを一歩出たらすぐに車、どこに行くにも車」という人なら、徒歩ではなく車で毎日通るであろう道を走ってみることです。つまり、下見の際には実際の生活の一部を再現してほしいのです。このとき、かかる時間だけでなく、安全性、防犯性、街の雰囲気を感じとるようにしましょう。広告のイメージ写真では読みとれなかった、街の空気がわかります。ですから、最寄り駅、スーパー、病院などの実際の位置を確認しておくことは重要です。できれば、実際に歩いてみることをおすすめします。住んでみてから「徒歩10分ってあったのに、とても歩いて行ける道のりじゃない」と憤慨しても取り返しがつきません。

・広告の地図は「整理」されている

広告に掲載された周辺地図には、生活にかかわりのあるスーパーや学校、病院などが示されています。快適なマンション生活を送るために必要な施設・設備を記載しているわけです。しかし、すべての周辺施設を記入する必要はありませんから、あまり知られたくないような施設などは省略されてしまいます。たとえば、風俗店、強いニオイが漂うような飲食店、騒音を出す工場などです。こうした施設があったら、「そのマンションは即NG」とするかはあなた次第です。暮らしに対する影響を冷静に判断してください。

・マンションに隣接する空き地・駐車場を確認

マンションの日当たりは、図面上でもある程度確認できます。実際にマンションに行ってみて、近隣に大きな建物もないとなると、「室内の日当たり・眺望ばつぐん」だと思うでしょう。でも、喜ぶのはまだ早いのです。マンションに隣接して空き地や駐車場がありませんか? もしかしたら、そこに日照をさえぎるような建物がこれから建つのかもしれません。行政が管理しているような土地なら、空き地が高層建築物に変貌する可能性は低いといえますが、そうでない場合、予測ができません。マンションに隣接した空き地や、駐車場がある場合、役所の都市計画課で用途地域について調べることをおすすめします。

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