「賃貸」 vs 「購入」 マンション購入は正解なのか?

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「賃貸」と「購入」どちらがお得?

どっちがお得

 

「借りる」「買う」の決断は慎重に行うべきといえるでしょう。「分譲マンションに住む」としたら選択肢としては「賃貸」と「購入」の2つがあります。当サイトは「マンションの賢い買い方」をお勧めするものですが、だからといって「今、この時が買いどき」「賃貸よりも購入が断然良い」と安易におすすめはしません。なぜならば、個人的にはマンションは「購入」よりも「賃貸」のほうが金銭的負担は軽いと思っているからです。

マンションを車にたとえると「賃貸はタクシー」で「購入は自家用車」だと考えています。同じ距離を移動したとき夕クシーだと2,000円かかるところ、自家用車ならば表面的にはわずかなガソリン代だけといえるでしょう。一見、自家用車のほうが得に見えますが、購入費、税金、保険、維持費等を考えると、トータルではタクシーのほうが割安なのです。もちろん、立地や広さなど種々の条件が物件によって異なるので、一概には言い切れません。賃貸の場合、数年に一度の割合で一定額の契約更新があり、更新料の支払いや以後の家賃の上昇などの可能性があります。しかし、そうしたことを鑑みてもトータルの支出は、購入した場合のローン返済額よりも少ないことが多いのです。

また、賃貸物件は「大家さんが住める状態に保つ」が基本なので、建物や内部が消耗した場合、修繕は大家さんの負担になります。一方、購入した分譲マンションは、建物の修繕は住民負担となります。毎月の修繕費を支払わなくてはいけません。修繕費同様、マンションを購入すると逃れられないのが固定資産税ですが、これも賃貸なら全く必要ありません。賃貸には生活スタイルの変化に合わせて住まいを変えられる身軽さもあります。子供ができれば広い物件に、子供が独立すればコンパクトな物件へと住み替えが可能なのです。

 

購入vs賃貸 損益分岐

中古マンションの購入と賃貸住宅の家賃支払いを比較し、どちらが経済的に有利かを検討するための重要な指標です。

中古マンションの購入条件

マンション価格: 3500万円

イニシャルコストや手数料:約300万円

頭金: 350万円 (購入価格の1割)

住宅ローン:権利1%、30年ローン、月々の支払額約10.13万円

その他の固定費: 月々の管理費、積立金、固定資産税等、月々3.7万円

賃貸住宅の条件

      • 家賃: 15万円/月(10年間支払と1800万円)

ここで、マンションを10年後に売却する場合を想定しています。 売却価格を2000万円と設定し、購入価格の78%の値下がりと仮定します。 また、10年間の住宅ローン支払いの金額は約1200万円、その他の固定費の総額は約444万円と計算されました。

これに基づき、以下の計算を行います:

  • 購入時の支出:頭金 + イニシャルコスト ≈ 350万円 + 300万円 = 650万円
  • 10年間の総支払額(ローン + 固定費):1200万円 + 444万円 = 1644万円
  • 売却後の手元に残る金額:売却価格 – 住宅ローン残債 ≈ 2000万円 – 2200万円 = -200万円(マイナス)

この計算により、中古マンションを購入した場合、10年後にはマイナスの収支となる結果が得られます。これに関しては、賃貸住宅では10年間で1800万円の支出となります。したがって、この計算例からは、賃貸住宅を選択した場合の方が経済的に有利であることが示されています。

 

「満足感」と「社会的信用」

上では賃貸のメリットをいくつか挙げましたが、それでも人々がマンションを購入するのは、どうしてなのでしょうか。

それは満足感ではないでしょうか。

「一国一城の主」になるという達成感は実に魅力的といえるでしょう。こうした個人的な満足感は、日々の暮らしの大きな糧となるものです。また、「一生、住める家がある」という安心感も大きなものでしょう。また社会的信用度がアップするという側面もあります。たとえば、自営業者がなんらかのリース契約を結ぽうとしたときは、住居が「自己所有」「家族所有」「その他賃貸」なのかを必ず確認されます。都心の「△△ビルズ」に賃貸で住んでいるよりも、都心から遠くても購入したマンションがあるほうが、銀行などとの取引の際、信用度が高いのです。「〇〇ヒルズ」の家賃が30万円、マンションのローン支払いが10万円でも、賃貸よりは分譲のほうが評価は高いのが社会の常識です。

 

買おうと思った時がタイミング

「家を買おうかな」「家が欲しいな」と思いはじめると、「家を手に入れること」が目的になってしまいがちです。その結果、現実的な買うことに伴うリスクやデメリットが、見えなくなってしまうこともあります。この段階であらためて認識しておきたいのは、目的と手段の関係についてなのです。家は、「快適に暮らす」「家族で安心して暮らす」「便利に暮らす」といった目的を果たすための手段なのです。大切なのは、どんなふうに暮らし、いったい何を実現したいのかを考えることだといえるでしょう。

それでは、みなさんにとっての目的は何でしょうか。たとえば、結婚や出産という人生の大切な節目を、あたらしい住居でスタートさせたいと思う人がいます。そうならば、そのための一つの手段としては、新築の分譲マンションを買うという方法がありますが、また、新築の賃貸マンションを探すという方法もあるでしょう。あるいはペットと暮らしたいと考える人もいるでしょう。ならば、郊外の一戸建てや、ペットが飼える分譲マンションを買うという手段もありますが、ペット可の賃貸物件に住むという考えもあります。
もうひとつ考えたいのは、暮らしにおける目的が、年代によって大きく変わるということです。たとえば、若く新婚で共働きのときには、便利でおしゃれに暮らしたいと思う人が多いでしょう。しかし、子どもができれば、近くに安心して遊ばせることができる大きな公園がある郊外で子育てしたいと思うかもしれません。年齢を重ねると、また、便利で快適に暮らしたいと思うようになるかもしれません。一度しかない人生のなかで、一度でいいから「きれいな海の近くに住みたい」と思うようになることもあるでしょうし、「自然豊かな山の近くに住んでみたい」と考えるよ うになることもあるでしょう。畑仕事をしたくなることもありますし、マンションではなく、一戸建て住宅に住みたいと思うようになるかもしれません。すなわち、目的が変われば手段も変わるのです。理想の暮らし方が変われば、その理想を実現するために最適な住居も変わって当然なのです。明日や来年や5年後や30年後の自分が、どんな暮らし方を望むようになるかはわかりません。その状態で、手段である住居を決めてしまうのは、非常にもったいないことでもあります。

利便性の高い都心のマンションを買えば、交通量が多い道を通学する子どものことを心配することになるかもしれません。逆に郊外に買えば、長時間の通勤で心身ともに疲れたり、老後、買い物が不便で困ったりするかもしれません。ポイントは、その覚悟ができているかどうかです。「後悔するかもしれないけれど、そんなことは承知の上。覚悟はできている。不便に感じない。納得する」そう考えられる人は、家を「買ってもよい人」といえるでしょう。しかし、「その時々の理想を実現できるように暮らしたい」「10年後の自分のことなどわからない」「柔軟に暮らしたい」と思うのなら、今決断するのではなく、もう少し悩んでもよいのかもしれません。

最後に繰り返しになりますが、「家を買おう」と決断するのは、非常にかんたんです。それこそいつでもできます。子どもが独立してからでも、リタイアしてからでも、この世から家がなくなることはありません。目的が定まってからでも遅くないですし、目的が変わり続けていくなら、買わずに借りればよいのです。統計がどうあれ、まわりの人や世間がどうあれ、なによりも大切なのは、自分と家族が幸せに暮らすこと。住居が決まるから幸せになれるのではありません。幸せに暮らすために、住居をどうするかを決めるのです。

 

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