「分譲マンションの耐震性」 理解して購入していますか?

マンションと地震 マンションの基礎知識

マンションの耐震性と耐震基準

マンションと地震発生

地震に強いかどうか3つの構造の違い

2011年3月の東日本大震災以降、マンション選びで重視されるようになったのが「地震に強いかどうか」です。マンションで採用されている地震に対する構造には次の3つがあります。

・耐震構造
・制震構造
・免震構造

耐震構造は、壁や梁などの骨組みを頑丈にして、地震の揺れを軽減させるやり方です。「震度5強程度の地震に対し、軽度なひび割れ程度」かつ「震度6以上の地震に対し、崩壊・倒壊しない程度」という耐震基準が法律で義務づけられています(新耐震基準といいます)。この法律が施行されたのが1981年6月1日なので、現在ではほとんどのマンションが、この耐震基準は満たしています。

建物の中に制御装置を入れて揺れを吸収する「制震構造」

制震構造と免震構造は、建物を頑丈にする耐震構造だけでなく、揺れを吸収する方法で地震から建物を守ります。制震構造は、建物内に「ダンパー」と呼ばれる制御装置を組み込んで、地震の揺れを建物自体に吸収させるものです。繰り返しの地震でも、建物の損傷が軽減されるという特徴があります。また、大きな揺れが起きても、重い家具などはほとんど倒れないとされます。

制振構造は長周期地震動に耐えられますか?
制振構造は、地震による揺れを吸収することによって建物の被害を最小限に抑えることができます。このため、制振構造は、長周期地震動に対しても高い防御を持っています。

制振構造は、建物の揺れを抑えることができるため、地震時には人命を守ることができます。また、制振構造は、地震による被害を最小限に抑えるために設計されているため、長周期地震動に対しても安定した状態を維持することができます。

ただし、制振構造が完全に地震に対して制限することはできないため、地震に備えた避難経路や場所避難などの安全対策が必要です。また、制振構造は高度な技術と設計が必要となるさらに、長周期地震動に対しては、制振装置の設計や設置場所などについて、より詳細な検討が必要になる場合があります。

そのため、制振構造が採用される場合には、建築物の用途や地盤の性質、建物の高さなど、多くの課題を解決する必要があります。重要な施設など、地震に強い建築物として採用されています。

 

建物と地面の間に新たに層をつくる「免震構造」

免震構造は、地盤と建物の間に、積層ゴムなどの免震装置を入れて、地震の揺れ自体を建物に伝えない構造です。つまり、地面と建物の間に新たな層を大工的につくることで地面と建物を切り離し、建物を揺れから守るわけです。

この3つを大まかに大別すると、耐震は「揺れに耐える」構造、制震は「揺れを吸収する」構造、免震は「揺れを伝えない」構造といえます。地震の際に室内でけがをする人の大半は、家具の転倒によるものです。その点、制震と免震は通常のマンションよりも揺れを抑えられるので、こうした事故リスクの軽減にもつながります。ただし、制震にしろ免震にしろ、敷地の面積や形状などに制約があるうえ、通常のマンションよりも手間もコストもかかるため、これらを取り入れている物件自体がまだ少ないのが現状です。

免震構造は長周期地震動に耐えられますか?
免震構造は、地震の揺れを吸収することによって建物の被害を最小限に抑えることができます。免震構造は、建物の基礎の下に設置された免震装置によって地震の揺れを吸収するこのため、免震構造は、長周期地震動に対しても高い防御を持っています。

また、免震構造は、地震による被害を最小限に抑えるために設計されているため、長周期地震動に対しても安定した状態を維持することができます。

ただし、免震構造が完全に地震に対して禁止することはできないため、地震に備えた避難経路や場所避難などの安全対策が必要です。また、免震構造は高度な技術と設計が必要となるそのため、免震構造が採用される場合、建築物の用途や地盤の性質、建物の高さなど、多くの課題を解決する必要があります。

 

鉄筋コンクリートの強度

新築分譲マンションの多くは、鉄筋コンクリートで造られています。

鉄筋コンクリートとはコンクリートの中に鉄筋が入っていて、圧縮に強いコンクリートと伸びに強い鉄筋の両方の長所を併せ持った性質があり、非常に堅固な造りとなります。コンクリートはセメントに砂や砂利などに水等を混ぜて造ったもので、非常に強固で昔から建築物に使われていました。ただし、混入する水の分量で強度が変わってきます。水の割合が少ないほど強度が得られます。しかし、水分量が少ないとコンクリートの施工性が悪くなり、すき間など不具合が起こることがあるので、その調合はデリケートなものになっています。

最近の新築分譲マンションでは水・セメント比が50%の以下のものもあります。コンクリートの耐久性は、日本建築学会の耐久設計基準強度、N(ニュートン)で表されます。この値によって大規模補修不要予定期間の目安が表されています。30N以上が「高強度コンクリート」と呼ばれています。中にはさらに超高強度のコンクリートもありますが、価格が高価なため強度の求められる今はやりのタワーマンション等に用いられます。

ただし、これは外部からの影響を受けないものとした場合であり、実際にはさまざまな要因が影響するので、この数値よりは短くなると考えられます。耐久性の高いコンクリートを使っている場合は、パンフレットにも記載されていることがあるので注意して見てみましょう。

 

鉄筋の種類とかぶり厚

鉄筋かぶり

マンションのコンクリート壁は、柱とともに建物自体を支えるので堅固な造りとなっています。マンションの壁のコンクリートの中には鉄筋が縦方向と横方向に入っています。

この配筋は、強度を持たせるために二重(ダブル配筋)とすることが多く、安全性と強度を高めています。柱の施工では、縦方向の主筋の回りに横方向の帯筋が巻いてあります。通常の帯筋は主筋に巻きつけてフックで止めます。スパイラル筋は、縦になった主筋に沿ってらせん状に帯筋(横の鉄筋)を巻いていきます。また閉鎖筋は、溶接により帶筋をリング状にしてあります。これにより強度が増します。マンションの配筋は、マンションの剛性にとって非常に重要なので、コンクリートを流し込む前に必ず配筋検査が行われます。

コンクリート内の鉄筋は、コンクリート自体によって保護されています。コンクリートはアルカリ性で、内部の鉄筋が酸化しないよう保護していますが、時間の経過とともにコンクリートが中性化していきます。中性化か鉄筋におよぶと鉄筋にサビが生じ、サビがコンクリートを押し出して、コンクリートの破損につながることがあります。そこで、鉄筋の外側にどれだけコンクリートがあるかという「かぶり厚」が重要となってきます。この「かぶり厚」が厚いほど、コンクリートの中性化か鉄筋に到達するのに時間がかかるため、建物の強度が高くなります。建築基準法では、コンクリート造のかぶり厚の最低基準が定められています。品確法ではさらにそれ以上の表示基準があります。

プレキャストコンクリートとは、通常コンクリートは建設現場で型枠をつくり流し込むのに対して、工場でコンクリーートのパネルを造り、それを現場で組み立てます。工期の短縮やコンクリート品質の向上などの利点があります。高層マンションなどでは、鉄筋の中に鉄骨を入れた鉄筋鉄骨コンクリートにも用いられます。

【建築基準法】
第79条
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2センチメートル以上、耐力壁、柾又ははりにあつては3センチメートル以上、直接十に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては4センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて6センチメートル以上としなければならない。

 

住宅性能表示のコンクリートの劣化対策等級
【等級3】

建築基準法のかぶり厚さの場合は水セメント比45%以下
建築基準法のかぶり厚さ+ 10mmの場合は水七メント比50%以下

【等級2】

建築基準法のかぶり厚さの場合は水セメント比50%以下
建簗基準法のかぶり厚さ+ 10mmの場合は水セメント比55%以下

【等級1】

建築基準法の基準

 

マンションの耐震基準

マンションのつよさ

ここからはマンションの耐震基準について考えてみましよう。分譲マンションに限らず、建物には建築基準法という法律で、地震に対する強度が定められています。1978(昭和53)年の宮城県沖地震をきっかけに1981(昭和56)年6月1日には建築基準法が改正され、新しい耐震基準となり、いわゆる「新耐震基準」と呼ばれる基準ができました。

この日以降に建築確認を受けたマンションは新耐震の建物といえます。しかし建築確認から建物の竣工までは1年ぐらいかかります。ですから1982(昭和57)年ごろに竣工されたマンションから順次新耐震となってきたわけです。1995(平成7)年の阪神淡路大震災を契機に、さらに2000(平成12)年に建築基準法は改正され、「新・新耐震基準」とも呼ばれる基準になるなど、さまざまな改正が行われています。

 

新耐震基準とマンションの安全性

建築基準法では、建物の耐震基準について定めてありますが、建築基準法では「最低の基準」について定めてあるので、この規格に合っているからといって、地震に対してマンションが100%安全というわけではありません。

1981(昭和56)年の「新耐震基準」では、地震に対して「被害を軽くする」ことが目標とされています。また、震度5程度では建物に重大な損傷が出ないように、震度6強から震度7程度の地震に対しては建物が倒壊・崩壊しない程度の強度となっています。阪神淡路大震災では住宅などに大きな被害が出ましたが、倒壊した建物の多くは、この新耐震基準以前の建物だったようです。うです。このため100年に一度に起きるかどうかの震度6~震度7程度の地震に対しては、建物が損害を受けても、中の人間に被害が出ないことを目標にしています。すなわち、倒壊しないことが目標であり、中にいる人の安全を守ることが目的となっています。

中国やニュージーランド、台湾の地震では、ビルが1棟完全に崩壊してしまった例をみかけます。このような大事故にならないように基準が設けられているのです。もし、100年に一度の地震でも軽微な損害で済むような建物を造っても、修復費用がかなり高くなってしまいます。また回りを見渡しても、100年以上使われている建物はほとんどありません。以上の点などからこのような基準となっているようです。ですから、大きな地震が起こった場合は、建物に若干の影響はあっても、中に住む人の安全性は高いといえます。

 

さらに優れた耐震性能は?

最近では、「住宅性能表示制度」によって、さらに優れた耐震基準を表示できるようになっています。等級の数値が上がるほど耐震性能は良くなり、建築基準法の範囲内を「等級1」、建築基準法の1.25倍の強さを「等級2」、建築基準法の1.5倍の強さを「等級3」として、3段階の耐震等級が設けられています。耐震等級1だと、建築基準法の最低ラインの耐震性能はあるということです。

さらに等級が上がると耐震性能が良くなりますが、当然コストも上がっていきます。しかし等級3であっても、どんな地震に対しても大丈夫、というわけではありません。地震時にはさまざまな想定外の要因が建物を襲うからです。また、建物が無傷でも、震度7ともなると室内が相当揺れますので、家具等による死傷や室内の崩壊にも十分注意する必要があります。この耐震等級によって地震保険の割引率も変わってきます。

しかし、新築の分譲マンションでは「耐震等級2」の物件はほとんどありません。この部分もまた、マンション業界の闇でもあります。これに関しては、ゆくゆくこのサイト述べていこうと思っています。

高層マンションと長周期地震動

実際に地震が起こると、グラグラと小刻みに揺れが起こりますが、このような短い周期の揺れよりも、もっと長い周期の揺れが起こることがあり、これは「長周期地震動」と呼ばれています。

揺れの周期は2~3秒から、長いと20秒以上の揺れが非常に長く続きます。長周期地震動は2003(平成15)年の十勝沖地震のときに、震源から250キロ離れた苫小牧で、石油タンク内の水面が揺れ(スロッシング)たため火災が発生したことから注目されました。また、1985(昭和60)年に起こったメキシコ地震では、震源から400キロ離れたメキシコシティーにまで長周期振動による被害が及びました。このように、震源から遠く離れた場所にまで伝わることも特徴です。

これまでの建物の耐震対策は、短い周期の地震を想定していました。長周期地震動は建築物に与える影響は不明として、あまり着目されていなかったからです。しかし最近では、研究が進み、長周期地震動か高層建築物に影響を与えることがわかってきました。今後は建築基準法などで、長周期地震動に対する対策が強化されると思われます。建物には固有振動があります。これは建物が揺れやすくなる揺れの周期で、この固有振動と長周期地震動か重なると、「共振現象」が起こり、建物が大きく揺れることがあります。固有振動は建物が低層で、木造などの建物は短く、高層の鉄筋コンクリート造の建物などは長い傾向にあります。固有周期は木造住宅で0.1秒から0.5秒、20〜30階建てのマンションで1~2秒ですが、30階から50階建てのマンションでは2~5秒と長くなり、さらに50階以上のオフィスビルでは5秒以上、また大型タンクやつり橋などでは10秒から20秒となることがあります。長周期地震動は、あまり人体に感じないこともあり、木造住宅などはほとんど揺れていないのに高層建築物だけ大きく揺れる、ということもありえるのです。

高層のタワーマンション等の建築物は、耐震基準によって、耐震性をもっているので、長周期の揺れによって崩壊することはほとんどありませんが、場合によっては高層階では大きく揺れる可能性があります。短い揺れは震源地周辺で起こり、あまり遠方には伝わらないのに対して、長周期地震動は減衰しにくく、震源から遠く離れていても弱まらずに伝わる性質があります。2004(平成16)年の新潟県中越地震では、関東平野の揺れは3分続き、200キロ離れた六本木ヒルズでは震度3でしたが、エレベーターのワイヤーが切れるなどの被害が実際に出ています。

また、長周期地震動は地形によっても影響します。東京の下町などは、凹凸のある古い地盤の上に堆積物が乗っている地層となっているところもあります。このためエリアによっては地中で揺れが反響、増幅する可能性があります。ですから、高層マンションを検討する場合は、免震・制震など地震の揺れを抑える仕組みがあるかどうかが重要となってきます。タワーマンションは通常のマンションより厳しい基準で作られています。また、2011(平成23)年の東日本大震災でも、高層マンションの建物自体には致命的な損害は発生していないことから、耐震性が高いことがわかります。ですから、揺れを抑える仕組みが備わっていればより安心といえます。ただし、揺れにより室内に被害が発生しないように、念のために高層階では大きく重要のある家具は置かない、また家具等はなるべく固定しておく、などの対策も必要かもしれません。

 

 

 

 

 

長周期地震動で分譲マンションは倒れないのでしょうか?

長周期地震動が発生した場合、分譲マンションが倒壊する可能性は低いとされていますが、建物の被害や影響は様々です。

長周期地震動は、地震の揺れの周波数が遅く、揺れがゆっくりと続く特徴があります。このような揺れは、建物の中でも特定の構造物に対して共振現象を引き起こします。などの地下建築物は、設計上、地震に強いように設計されており、多くの場合、地震による被害を最小限に抑えるように建設されています。

しかし、分譲マンションが長周期地震動に対して完全に耐えられるかどうかは、多くの要因によって異なります。 建物の地盤の性質、建物の構造、建物の年式、耐震性のメンテナンス状況など、緊急事態、地震の被害を最小限に抑えるためには、耐震性の点検やメンテナンスを定期的に行うことが重要です。また、万が一の場合に備えて、避難や避難場所を事前に確認しておくことも大切です。

 

 

 

 

長周期地震動について

長周期地震動とは、地震の揺れの周期が長く、揺れがゆっくりと続く地震のことを指します。 長周期地震動は、一般的な地震動に比べて揺れが大きく、地震の被害が拡大することが長周期地震動は、主に地震の震源が深い場所から発生する場合や、地震のエネルギーが大きい場合に発生することが多く、地震の規模によって発生する可能性があります。

長周期地震動には、建物の中でも特定の構造物に対して共振現象を引き起こします。共振現象とは、地震の揺れと建物の自然振動数が同じ周波数になった場合に、建物の揺れこのような現象が発生すると、建物に加わる力が大きくなり、建物の耐震性能が低い場合には、建物に被害が発生する可能性があります。

建築基準法では、地震の揺れを受けて建築物が損傷しないように、建物の耐震性能が定められています。 具体的には、建物の高さ、用途、地域の地震動の規模などに応じた耐震基準が設けられ、建築物はこれに準拠して建築される必要があります。

長周期地震動に対しても、建築基準法では耐震基準が定められており、長周期地震動による被害を最小限にとどめるための対策が求められています。抑制のための対策が定められており、耐震性能の向上を試すために、地震の揺れを吸収する免震構造や制振構造の導入が奨励されています。

また、建築物の耐震性能を維持するためには、建物の点検やメンテナンスが必要とされています。安全性を確保するために、地震などの自然災害によって建物が被害を受けないように、定期的な点検が求められています。

建築物においては、長周期地震動に対しても十分な耐震性能を準備するために、様々な工夫が施されています。構造が採用された建築物があります。また、建物の構造や材料の選定、地盤改良、定期的な点検やメンテナンスなど、建物の耐震性能への影響を与えます。

 

長周期地震動の危険性

長周期地震動には、以下のような危険性があります。
  1. 建物の破壊や倒壊

長周期地震動によって、建物の柱や壁、梁などの構造部材に大きな負担がかかることがあり、建物が破壊や倒壊する危険性があります。 特に、長周期地震動は、一般的な地震動に比べて揺れが大きく、継続時間も長いため、建物に大きな負荷がかかります。

  1. 橋や道路の崩壊

長周期地震動によって、橋や道路の橋台や路盤などの構造部材に大きな圧力がかかることがあり、橋や道路が崩壊する危険性があります。 特に、長周期地震動は、地震の揺れがゆっくりと続きます。そのため、構造部材に長時間負荷がかかります。

  1. 地盤沈下や液状化

長周期地震動によって、地盤が揺れることにより、地盤沈下や液状化が発生する可能性があります。液状化は、地震によって地盤が液状化し、建物の基礎の支持力が失われる現象であり、建物が傾いていたり、倒壊したりする危険性があります。

以上が、長周期地震動の危険性についての説明です。長周期地震動は、一般的な地震動に比べて揺れが大きく、継続時間も長いため、被害が拡大する可能性があります。建物の耐震性能の向上や適切な点検・メンテナンス、避難や避難場所の確保などが必要とされます。

長周期地震動とこれまでの地震の違い

長周期地震動とこれまでの地震の違いは、以下の点が挙げられます。
  1. 揺れの周期

長周期地震動は、揺れの周期が長く、揺れがゆっくりと続く地震です。これに対して、これまでの地震は、揺れの周期が短く、揺れが短く終わる地震が一般的でした。

  1. 揺れの大きさ

長周期動は、揺れが大きく、一定方向に揺れが継続することが多く、これまでの地震に比べて建物や構造物に大きな負荷がかかります。

  1. 被害の拡大性

長周期地震動は、揺れが継続するため、地震の被害が境界に拡大する可能性があります。また、共振現象を起こす場合には、建物や構造物に大きな負荷がかかるため、被害が大きくなる可能性がありますあります。

  1. 発生する原因

長周期地震動は、主に地震の震源が深い場所から発生する場合や、地震のエネルギーが大きい場合に発生することが多く、これまでの地震とは異なる原因が関係している場合があります。

 

地震保険について

マンションを購入する際には、火災保険に加入する人が多いと思いますが、火災保険では地震を原因とする火災などの被害は補償されません。

そこで、「地震保険」の加入が必要となってきます。「地震保険」は、1964(昭和39)年に発生した新潟地震がきっかけとなり、1966(昭和41)年に地震保険に関する法律の制定により始まりました。地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする建物や家財の損害について補償されます。地震保険は単独では加入できずに、火災保険とセットとなります。地震保険の補償は、火災保険の保険金額の30%から50%となっており、建物5000万円、家財は1000万円が上限となっています。

地震保険では、保険の対象である建物または家財が全損、半損、または一部損となったときに保険金が支払われます。

「全損」:地震保険の保険金額の100%(時価が限度)
「半損」:地震保険の保険金額の50%相当額(時価の50%が限度)
「一部損」:地震保険の保険金額の5%相当額(時価の5%が限度)

大地震が起こると、一度に多くの建物が倒壊し、多くの地震保険支払いが発生します。その場合は、地震保険の保険金支払いに不足することはないのかと心配の人もいるかもしれません。実は地震保険は、支払い額が一定額を超えると、保険会社だけではなく政府も支払うことになっています。保険会社と政府の支払う保険金の金額は、2009(平成21)年時点で5兆5000億円となっており、これは関東大震災クラスの地震が発生しても支払いに支障がないように決定されています。

阪神淡路大震災のときは、地震保険の加入率が低く、保険金支払い額は783億円でしたが、2011(平成23)年の東日本大震災のときの保険金は、1兆円を越え過去最大となる見込みですが、全額支払われる模様です。地震等でマンションが全壊した場合でも、地震保険では火災保険金額の50%しか支払われません。しかし、保険会社によっては、特約によって地震が原因で発生した火災などに対しては、火災保険金額の100%が支払われる地震火災特約などの制度もあります。地震保険に加入しないでマンションが全壊した場合でも、マンションのローンは残ります。しかし、最近のマンションの耐震性は高く、よほどのことがないかぎり全壊は考えづらいと思います。高層住宅管理業協会の調べによると、2011年の東日本大震災では、マンションの「大破」はなく、「中破」が2.4%、小破・軽微・損傷なしが97.6%となっています。

建物・家財の地震保険の支払基準

〈建 物〉

【全損】
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の50%以上である損害、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上である損害半損地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の20%以上50%未満である損害、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満である損害【一部損壊】
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の3%以上20%未満である損害、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け損害が生じた場合で、全損一半損に至らないとき

 

〈家 財〉

●全損
地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の80%以上である損害●半損
地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の30%以上80%未満である損害●一部損
地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の10%以上30%未満である損害

 

○保険金が支払われない主な場合

・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
・地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合

・地震保険の割引制度

割引制度として、「建築年割引」と「耐震等級割引」、「免震建築物割引」、「耐震診断割引」の4種類が設けられており、建築年または耐震性能により10%〜30%の割引が適用されます(重複不可)。くわしくは、各損害保険会社の相談窓口または代理店にご相談ください。

・地震保険料所得控除制度

2007(平成19)年1月より、地震災害による損失への備えに係る国民の自助努力を支援するため、従来の損害保険料控除が改組され、地震保険料控除が創設されました。これにより、所得税(国税)が最高5万円、住民税(地方税)で最高2万5000円を総所得金額等から控除できるようになりました。

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