汚れやキズだけを見るのではない「内覧会のポイント」

「内覧会」のポイント

「内覧会」とは、買主が購入したマンションがちゃんと図面どおりにできているか、購入のときに選択したオプションなどの仕様がちゃんと希望どおりのものに建てられているかチェックする大事な機会です。建築を依頼した買主として、納得がいくまでチェックすることが重要です。単に工事でできた汚れやキズだけをチェックするのではなく、フローリングの張りやドアの建て付けなどの不具合があれば、修正工事を依頼することができます。しかし、建築や不動産にくわしくない一般の方が、小1時間程度の限られた時間で、すべての居室のすべての設備等をチェックするのはなかなか難しいのが現実です。また、「内覧会同行」といったサービスを行っている建築士などの業者さんもいるので、お金はかかりますが、そういう業者さんに依頼する方もいます。しかし、このようなサービスは個人的には使わないほうが良いでしょう。担当営業マンやデベロッパー、建築施工会社の心証は100%悪くしてしまいます。また、現在所有する洗濯機・冷蔵庫・ペッドーソファーを持ち込むのであれば、スケールをもってスペースはもちろん、玄関ドアや廊下の幅など、実測しておかなければ、引っ越ししたときに入らないなどの事態を避けられます。

内覧会活用術

内覧会の時点では照明器具がついていないこともあり、また仮設の照明があってもより隅々まで見るためにライトを持参するととても便利です。不具合などはスマホで撮影すると、修理前と修理後の様子がわかってよいでしょう。また、白い手袋をしている人もいましたが、これは手を汚さないためでなく「マンションを汚さない」ためだそうです。白い手袋ならマンションの汚れもわかるのです。

 

内覧会でのチェックポイント

新築マンションのほとんどが青田売りですから、購入者は完成まで実態をうかがい知ることができません。購入後に「話とちがう」ということがないように内覧会がおこなわれます。内覧会とは、青田売りで販売されたマンションが完成したあと、不具合がないか購入者が確認するための施主検査です。購入した住戸との待望の対面とあって、ワクワクするのはわかりますが、浮かれ気分で参加してはいけません。大金をはたいて購入するマンションに不具合がないかを確認する大事なものです。気を引き締めて臨んでください。

不具合を発見した場合は速やかに指摘

内覧会で、「ドアの開閉がスムーズにいかない」「フローリングの色がちがう」など、不具合を発見した場合は立ち会っている担当者に速やかに指摘することです。入居後に不具合に気がついた場合、「使用法に問題があったのではないか」とされて対応に時間がかかったり、費用が必要となったりします。事前にもれなくきちんと確認して、入居後のトラブルを避けたいものです。業者としても入居後のトラブルはやっかいなものです。そこで、内覧会のときには間取りや仕様を記入したチェックシートを購入者に渡し、現物と照らし合わせながら確認できるようにしています。チェックシートに含まれていない項口でも、気になる点があれば質問しましょう。不具合とその修正に関しては、修正内容や修正期間などを文書で残しておくことです。いったいわないの水掛け論を避けることもできますし、手直し工事が適切であったかを確認する際にも必要となります。不具合を発見したら、デジカメなどで証拠を残しておいてもいいでしょう。問題の部分を修正するために、ほかの部分に傷がついてしまい、指示したところは直っていても新たな不具合が発生することもあります。修正工事のあとは、その部分だけでなく、範囲を広げて確認してみるようにしましょう。

素人判断で神経質になりすぎない

住居の床にビー玉を置き、それが転がると「欠陥住宅! 床が傾いています冂とあおるテレビ番組があります。その影響でしょうか、内覧会にビー玉を持参して、床が水平かどうか確かめようとする人がいるようですが、そこまで神経質になるのはいかがなものかと思います。ビー玉は紙一枚の厚みの差でも転がってしまうものです。フローリングの床はコンクリートボンドで貼りつけますが、その厚みがほんの少し、0.1ミリちがっただけで傾斜ができ、ビー玉は転がってしまいます。それが欠陥といえるのか?手直し工事が必要なのか? その答えは「NO」です。走るように転がったら問題ですが、転からないとしたら周りと比べてその部分がへこんでいるだけかもしれません。素人判断で、過剰にナーバスにならない余裕もほしいところです。

同行調査でプロの目で物件チェック

初めてマンションを購入する人にとって、内覧会で仕様や施行状況の可否を確認することは難しいでしょう。また、先に挙げたビー玉のケースのように、誤った知識で判断してしまうこともあるかもしれません。そこで、内覧会の際にプロである建築士に同行を依頼する方法もあります。プ口の目から見て問題点や改善方法についてアドバイスしてもらえるわけです。内覧会の同行調査では、施行状況の確認のほか、ホルムアルデヒドの測定も依頼できます。金額は交通費別途で50000円くらいからのようです。ただし、再内覧会、再々内覧会の費用は別途になります。仕様変更の可能性がある部分がどのような状態か確認しましょう。マンションのパンフレットは小さい文字に注目と説明しました。内覧会の前にもパンフレットに目を通し、小さな文字をチェックしましょう。収納やキッチンの設備など、写真のそばに「仕様変更の可能性があります」と記入がある部分は、内覧会の際に注意。実際の仕上がりがイメージと大きくちがうこともあります。

本来、そうした仕様変更がある場合は、変更通知によって契約者に通知することになっていますので、その場で担当者に説明を求めるべきでしょう。マンションの施行・販売には、孫受け・ひ孫受けなども含めると実に多くの会社がかかわっています。問題点を指摘しても責任の所在がはっきりせず、対応策がなかなか決まらないケースもあるようです。あまりにも業者の誠意が感じられない場合は、公的機関に相談することも考えたほうがいいでしょう。

 

内覧会のチェックポイント

・住戸ドアのインターホンの作動
・玄関ドアの開閉・施錠がスムーズか
・タタキ部分のタイル等の状態
・室内全体の床にキシミがないか
・壁や天井のクロスにシワなどがないか
・玄関・室内・キッチン・洗面室等の収納部の開閉
・部屋のドアや開口部の開閉
・ハンガーパイプ、タオルかけ等の強度
・電気のスイッチが作動するか
・給水・給湯の状態
・キッチン・浴室の換気扇の作動
・バルコニーの手すりの状況
・バルコニーの物干しの強度
・バルコニーの避難ハッチの開閉
・バルコニーの隔壁の状況
・トイレットペーパーホルダー
・上階、隣からの音(排水、足音、ドアの開閉等)の状況
・エントランスのインターホンの作動
・管理人室とエントランスの位置関係(防犯上の観点から適切か)
・オートロックの作動
・駐車場・駐輪場の状態(立体駐車場などの場合、機械の動作確認)
・廊下・階段の照明がつくか
・植栽、外壁を美観・防犯面で確認
・集会所やジムなど共用施設の状況(電気、給排水など)

具体的な内覧のポイント

内覧会の際には、間取りの描かれたチェックシートを渡され、仕上げなどで不具合のあった箇所を赤ペッで記入します。建設会社の人に立ち会ってもらいながらチェックを進めますが、記入位置には付箋などを貼って、よく分かるようにしておくといいでしょう。

住戸内の仕上げのチェック

【床の状態】

すべて自分で歩いて確かめましょう。キシミは無いか、重量に耐えられそうか、傾斜はないかなどです。

【壁の状態】

クロスに浮きやメクレはないか、汚れはないかチェックしましょう。

【天井の状態】

浮きやメクレはないか、汚れはないかなどです。

【建具の状態】

戸や窓を開け閉めして、不具合がないかチェックしましょう。戸当たりの位置は適当ですか? カギも確認しましょう。

【家具類の状態】

下駄箱やキッチンなどすべて開け閉めして不具合はないか、戸当たりはついているか、チェックします。クローゼットのハンガーパイプは力を加えるなどして強度を確かめましょう。

【設備機器のチェック】

電気のスイッチはすべて点けてみて確認しましょう。給水や給湯のカランをひねってみて、水がよく出るか見てください。器具下の元栓が充分に開いていないことがよくあります。換気扇の吸い込み具合の確認方法ですが、ティッシュペーパー一枚が吸い付けば問題ないでしょう。また、各部屋でエアコンを設置した場合の取り付け場所に問題はないか、室外機の置き場所に問題はないか、位置を確認しましょう。共用廊下に室外機を置くようなマンションは失格です。

【天井裏のチェック】

ユニットバスの天井点検口を開け、天井裏を見ます。コンクリートに亀裂はないか、換気ダクトは繋がっているか、施工の状態がよくわかる部分です。

【バルコニーのチェック】

排水の勾配は充分か、お隣との隔壁は丈夫か、物干し金物や手すりは丈夫か、避難ハッチもあけて確かめましょう。防犯面にも注意が必要です。

【OPS内のチェック】

内部のコンクリートの仕上げ、メーター類は見やすいか、湯沸器があれば排気がこもる構造でないかよく見てみましょう。

【音のチェック】

上階や隣からの音は気になるところです。だれか上階に行ってもらい、排水を流したり、建具の開け閉め、歩行の音などを確認しましょう。

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