今後も上がり続ける!!マンションの「管理費」「修繕費」問題

マンションの基礎知識

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【覚悟しておけ!】管理費と修繕費は今後も上がり続ける!!

マンション所有者にとって避けて通れない管理費修繕積立金の負担が、近年急激に増加しています。

東京カンテイの発表によると、2023年の首都圏新築マンションの管理費は前年比4.1%上昇し、ついに月額2万円の大台に乗りました。修繕積立金に至っては前年比99.9%という驚異的な上昇率を記録しています。この深刻な問題の背景には、物価高騰、人手不足、そして構造的な課題が複雑に絡み合っています。本記事では、なぜマンションの維持費用がこれほどまでに上昇し続けているのか、そしてこの問題がマンション所有者や管理組合に与える影響について詳しく解説します。

 

管理費急騰の実態と深刻な現状

過去10年間で34%の大幅上昇

Q: 管理費上昇の主な原因は何?

A: 人件費高騰、光熱費上昇、マンション高級化の3つが主要因となっています。

マンションの管理費上昇は、もはや一時的な現象ではありません。株式会社マーキュリーの調査によると、2014年から2023年の10年間で、新築分譲マンションの管理費は約34%も上昇しています。具体的には、2014年の平均管理費が月額10,980円だったのに対し、2023年には14,715円まで上昇しました。これは60平方メートル程度のファミリータイプマンションを基準とした数値ですが、実際の負担増は月額約3,735円、年間では約45,000円にも達します。

管理費の推移(2014年〜2023年)

管理費の推移(2014年〜2023年)※60㎡換算での月額管理費推移

特に注目すべきは、2019年以降の急激な上昇です。それまで月額11,000円台で推移していた管理費が、2019年から12,000円を超え、2023年には14,000円台後半まで跳ね上がっています。この背景には、マンション管理員の人手不足による報酬引き上げ、水道光熱費の値上がり、そして新築マンションの高級化という複数の要因が重なっています。東京23区に限定すると、管理費の平均は24,000円を超える水準に達しており、都心部での負担はさらに深刻な状況となっています。

 

修繕積立金の異常な上昇と構造的問題

前年比99.9%という驚異的な上昇率

Q: 修繕積立金はどこまで上がる?

A: 国交省調査では平均3.6倍、上位事例では5.3倍まで上昇するケースもあります。

管理費以上に深刻なのが修繕積立金の上昇です。2023年の修繕積立金は前年比99.9%上昇し、月額8,720円に達しました。これは実質的に2倍近い上昇を意味します。修繕積立金と管理費を合わせると、月額約29,000円という負担になり、年間では約35万円もの維持費用が必要となります。この異常な上昇の背景には、建築資材の高騰と国土交通省のガイドライン改定という2つの大きな要因があります。

修繕積立金の上昇要因分析

管理費 修繕費 高騰
国土交通省は2024年2月に修繕積立金のガイドラインを改定し、新築時の設定基準を厳格化しました。従来は販売促進のために意図的に低く設定されていた修繕積立金を、より現実的な水準に引き上げることを求めています。しかし、この措置は新築マンションの購入者にとって初期負担の大幅な増加を意味します。さらに深刻なのは、多くのマンションで採用されている段階増額積立方式です。この方式では、新築時は低額に設定し、築年数の経過とともに段階的に増額していく仕組みですが、実際には計画通りの増額が困難なケースが多く、結果として大幅な値上げを余儀なくされる管理組合が続出しています。

 

人手不足と人件費高騰が招く管理費危機

Q: 建築資材費はいつ下がるの?

A: 専門家は当面の間、高止まりが続くと予測しており、下落の兆しは見えません。

管理業界を襲う深刻な労働力不足

マンション管理費上昇の最大の要因は、管理業界における深刻な人手不足です。日本の少子高齢化により労働力が不足する中、マンション管理の現場では特に人材確保が困難になっています。管理員、清掃員、設備点検員など、マンション運営に不可欠な人材の確保が年々困難になり、人件費の大幅な上昇を招いています。管理会社各社は人材確保のために給与水準を引き上げざるを得ず、その結果として管理委託費の値上げ要請が管理組合に対して頻繁に行われるようになりました。

管理業界の人手不足状況

管理業界の人手不足状況

特に問題となっているのは、管理会社からの一方的な値上げ要請です。ある管理組合の理事によると、管理会社の担当者が「これが決まらないと帰れない」という強硬な姿勢で値上げを迫るケースも報告されています。管理組合側も昨今の物価上昇や人手不足の状況を理解しているため、やむを得ず値上げを承認するケースが多いのが実情です。しかし、この構造的な問題は今後さらに深刻化することが予想されます。他の業種では外国人労働者で人手不足を補う動きが見られますが、マンション管理業務では住民とのコミュニケーションが重要なため、日本人中心の人材配置が必要となり、人件費上昇圧力はより強くなっています。

 

 物価高騰と建築資材費の異常な上昇

ウッドショックと資材価格の2倍化

修繕積立金上昇のもう一つの主要因は、建築資材費の異常な高騰です。経済産業省の調査によると、ウッドショックにより集成材と製材の輸入物価指数は、ここ数年で2倍以上になりました。新型コロナウイルスの流行により米国内の住宅需要が高まり、従来輸出していた木材を自国で消費するようになったことが大きな要因です。鋼材についても、経済活動の再開後に需要が急激に高まったため価格が高騰しました。日本は木材も鋼材も輸入に依存しているため、現在の円安水準では建築コストの上昇が避けられない状況となっています。

建築資材価格の推移(2020年=100)

建築資材価格の推移(2020年=100)※建設物価調査会データより

この建築資材費の高騰は、マンションの大規模修繕工事費用に直接的な影響を与えています。従来の長期修繕計画で想定していた工事費用では到底対応できない状況となり、修繕積立金の大幅な増額が避けられなくなっています。さらに深刻なのは、この上昇傾向が一時的なものではないということです。専門家によると、建築資材費の上昇は今後も継続する可能性が高く、国土交通省が設定した修繕積立金の上限(1.8倍)を超える増額が必要になるケースも想定されています。実際に、一部のマンションでは修繕積立金が10倍に跳ね上がったという事例も報告されており、住宅ローンをギリギリで組んだ世帯にとっては想像もしていなかった負担増となっています。

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管理会社の撤退と自主管理への危険な流れ

Q: 自主管理は有効な解決策は?

 

A: 専門知識不足により建物劣化を招くリスクが高く、推奨できません。

採算性悪化による管理会社の撤退増加

管理費上昇問題のもう一つの深刻な側面は、管理会社の撤退事例が増加していることです。築年数の古いマンションを中心に、管理会社が「現在の管理委託費では採算が取れない」として契約を打ち切るケースが相次いでいます。古いマンションでは設備の故障や雨漏りなどのトラブルが頻発し、管理業務の負担が増加する一方で、管理組合側は費用負担の増加に抵抗するため、管理会社にとって採算性の悪い物件となってしまいます。管理会社の撤退により、やむを得ず自主管理に移行するマンションも出てきていますが、これは新たな問題を生み出しています。

築年数別管理会社撤退率

築10年未満

撤退率: 2% – 管理業務が安定しており撤退は稀

築10-20年

撤退率: 8% – 設備更新時期で業務負担増加

築20-30年

撤退率: 18% – 大規模修繕と設備老朽化で負担急増

築30年以上

撤退率: 35% – 採算性悪化により撤退が急増

自主管理への移行は一見すると管理費削減の解決策のように思えますが、実際には多くの問題を抱えています。専門知識を持たない住民だけでマンションの維持管理を行うことは極めて困難で、適切な保守点検や修繕計画の策定ができずに建物の老朽化を促進してしまうリスクがあります。最悪の場合、マンションがスラム化や廃墟化する恐れもあると専門家は警告しています。また、自主管理では住民間の負担の偏りや意見対立が生じやすく、管理組合の運営が困難になるケースも多く報告されています。管理会社の撤退は単なる費用の問題ではなく、マンションの資産価値や住環境の維持に直結する深刻な問題なのです。

 

今後の見通しと対策の必要性

向こう5年で3-5割のさらなる上昇予測

専門家の予測によると、マンションの管理費と修繕積立金は今後5年間でさらに3割から5割程度上昇する可能性があります。この予測の根拠となっているのは、人手不足の深刻化、インフレの継続、そして光熱費のさらなる上昇です。特に共用部分の電気代については、再生可能エネルギー賦課金の増加や電力会社の料金改定により、今後も上昇が続くと予想されています。また、変動金利型住宅ローンを利用している世帯にとっては、金利上昇と管理費上昇のダブルパンチとなる可能性があり、家計への影響はさらに深刻になることが懸念されています。

今後5年間の費用上昇予測
項目 現在(2024年) 2029年予測 上昇率 主な要因
管理費 14,715円 20,000円 +36% 人件費、光熱費上昇
修繕積立金 7,243円 11,500円 +59% 建築資材費高騰
合計 21,958円 31,500円 +43% 複合的要因

この状況を受けて、マンション購入を検討している方は、現在の管理費・修繕積立金だけでなく、将来的な上昇も見込んだ資金計画を立てることが不可欠です。変動金利型住宅ローンを利用する場合は、金利が2%上昇しても十分に返済できる余裕を持つことが推奨されています。また、既にマンションを所有している方は、今後の費用上昇を家計に組み入れて長期的な資金計画を見直す必要があります。永住を前提としている場合でも、管理コストの上昇を深刻に受け止め、場合によっては売却や住み替えを検討することも選択肢の一つとなります。現在は不動産市場が好調なため、売却による住み替えやサイズダウンを検討するには良いタイミングかもしれません。

 

⚠️ 重要な注意点

Q: 対策として何ができる?

A: 長期的な資金計画の見直し、管理組合への積極参加、必要に応じた住み替え検討が重要です。

管理費・修繕積立金の上昇は一時的な現象ではありません。構造的な問題であり、今後も継続的な上昇が予想されます。マンション購入や保有継続の判断は、この現実を踏まえて慎重に行う必要があります。

 

🔗 参考リンク

 

まとめ

マンションの管理費修繕積立金上昇は、もはや避けることのできない現実となっています。過去10年間で管理費は34%、修繕積立金は35%上昇し、今後5年間でさらに3-5割の上昇が予測されています。この問題の根本には、人手不足による人件費高騰、建築資材費の異常な上昇、そして管理会社の撤退という構造的な課題があります。

マンション所有者にとって重要なのは、この現実を正しく理解し、長期的な視点で対策を講じることです。新規購入を検討している方は、将来的な費用上昇を見込んだ資金計画を立て、既に所有している方は家計の見直しや住み替えの検討も含めて、現実的な対応策を検討する必要があります。管理組合の運営に積極的に参加し、無駄な支出の削減や効率的な管理方法の導入を図ることも重要な対策の一つです。

 

💡 今後の対応策

  • 長期的な資金計画の見直しと家計への組み入れ
  • 管理組合への積極的な参加と支出削減の検討
  • 管理会社の変更や契約内容の見直し
  • 必要に応じた売却・住み替えの検討
  • 共用部分の省エネ化による光熱費削減
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この記事を書いた人
﨑ちゃん

新築マンションに携わって30年!!企画から販売、物件マネージャーまで。最近では仲介もやってます。宅建・FP2級・管理士持ってます。趣味が嵩じて大型バイク・潜水士も持ってます。好きなデべは地所さん、野村さん、明和さん、住不さん。

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