引き戸は「「吊りレールタイプ」がベスト!!
最近の新築分譲マンションの住戸内の木製扉に引き戸が多くなってきました。引き戸のメリットは、開き戸より室内が有効に使えることです。開き戸と比べるとデッドスペースが少なくなります。また、他の扉とぶつからないこともメリットです。しかし、引き戸にもデメリットはあるのです。
引き戸のデメリット
一つ目のデメリットは、閉じてもすき間が多く、遮音性や気密性が低いということです。引き戸はスライドするので、壁に擦らないために3〜4ミリ程度、すき間を開けます。
二つ目のデメリットは、引き戸に鍵を付けると鍵が壊れやすいことです。洗面脱衣室やトイレ、主寝室等は鍵が必要な部屋です。こういう所に引き戸を設置すると鍵を付けるわけですが、鍵が壊れやすいので、引き戸はなるべく避けるべきです。
なぜ、引き戸用の鍵はどうして壊れやすいのでしょうか?
その答えは、引き戸用の鍵は、扉の木口から鎌状の金物が出て、扉枠側のポケット状の受け金物に引っ掛かり施錠するしくみです。この鎌状の金物を90度くらい回せば開錠でき、扉を開いてしまうケースが多く、この状態では扉の木口から鎌状の金物が半分飛び出しています。その後、そのまま扉をスライドして閉めてしまうと、半分飛び出している鎌状の金物が扉枠に当たって曲がってしまうか、扉枠に付いているポケット状の受け金物を壊してしまうかのどちらかです。
三つ目のデメリットは、引き戸のレールが床に付いている場合は、開閉のたびに「ゴロゴロ」と音がすることです。引き戸が大きくて重いと、結構この「ゴロゴロ」音が下階に伝わりうるさいですし、開閉に結構な力が必要で、小さな子どもでは大変です。マンションのクレームの多くは、上階や隣戸の音が聞こえると言うものです。
また、この引き戸の床用レールはV字型ですのでゴミが溜まりやすく、掃除をよく行わないと開閉がスムーズにいきませんし、床の仕上げ材が同じであっても、このレールで空間が分かれてしまい、広がり感がなくなります。
ただし最近では天井から吊り下げ式の引き戸も増えています。吊り下げ式の場合、3つ目のデメリットは解消されます。
吊りレールタイプ引き戸で音の問題解消
マンションの住戸内に引き戸を設置する場合は、吊りレールを用いて吊り戸にして、まずこの「ゴロゴロ」音を解消すべきです。和室は襖で軽いので、「ゴロゴロ」音は発生しませんが、洋室等に使用している扉は木製で重いので、床にレールを付けると、「ゴロゴロ」音が発生します。吊りレールタイプは、重くても開閉が楽で、さほど力が必要ありませんし、床にレール状の物がないため、空間が広く感じます。
では、吊りレールタイプと床上レールタイプの引き戸の工事費の差額は、どのくらいなのでしょう?
1か所当たりで、材料費と工賃含めて約3〜5万円程度、吊りレールタイプの引き戸のほうが高いです。例えば、1住戸に吊りレールタイプの引き戸が1か所あっても、工事費で原価5万円高です。売値で1住戸当たりで約10万円高です。これで、クレームを回避できるのなら安いものです。デベロッパーも設計者も、後々クレームで信用をなくすなら、引き戸に吊りレールタイプを採用すべきです。
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