分譲マンションの価値は「管理」で決まる!!

昔のマンション マンションの基礎知識

マンションは「管理」で決めろ!!

マンションの管理業務

「管理」のよしあしが資産価値に影響

快適な環境づくりと維持のために欠かせない、「点検」「各種ルール」を制定して実行していくのマンションの【管理】です。一戸建てでもマンションでも、建物というものは、きちんと管理しないとどんどん劣化していきます。とくに分譲マンションの場合、管理が不行き届きだと見た目が悪いだけでなく、暮らしにダイレクトに悪影響があります。日ごろの管理を怠ると、エレベーターの不具合、外廊下の電気が切れたまま、排水が詰まりぎみで悪臭がするなどなど、問題が噴出してきます。そんな状態のマンションに住みたいと思う人がいるでしょうか。転売するときには購入時よりもうんと値下がりするでしょうし、なかなか買い手が見つからない可能性もあります。管理のよしあしは暮らし心地を左右するだけでなく、マンションの資産価値にまで影響してしまうのです。では、具体的に「管理」とはどのようなことを指すのか説明しましょう。

●カバー範囲の広いマンションの「管理」

自分の部屋をいくらきれいに掃除してピカピカに保っていても、集合ポスト周辺にチラシが散乱していたり、外廊下の電気が切れていると、快適には過ごせません。共用部分を「きれいに使う」というのは当然のルールですが、使用にあたって細かなルールが必要な部分もあります。たとえば駐車場。好き勝手に車を停めるのではなく、特定の駐車スペースに車を停めることになっていますし、来客があった場合の駐車スペースも決められています。マンションの「管理」とは、共同生活をスムーズにするための「快適な環境づくりと維持」、そのために必要な「ルールづくり」にあるといえます。

・快適な環境づくりと維持

共用部分の清掃と、適切に機能しているかの点検が含まれますOまた、長期修繕計画に基づいた修繕を実施したり、状態によっては計画外の修繕を実施する必要もあります。

・ルールづくり

具体的には先に挙げた駐車場のほか、駐輪場の使い方、ペット飼育などがあります。また、こうしたルールについて周知徹底するための広報も含められるでしょう。マンションを管理していくためには、さまざまな作業が必要なことがわかると思います。こうした作業を代行してくれるのが管理会社です。しかし、マンションの管理の主体はあくまでも住民であることを忘れてはいけません。

 

管理のスタイルは3つ

管理のスタイル

膨大な業務を代行する管理会社

購入前に管理の形態を確認し負担内容を把握しよう。ひとくちに「マンション管理」といっても、その業務の幅は実に広いものです。国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」によると、マンションの管理対象部分と管理業務は次のように規定されています。マンションの管理には、住民がおこなう「自主管理」、業者に委託する「全面委託」「一部委託」の三つの選択肢があります。煩雑な管理業務を住民自らがすべてとりおこなうのは、たいへんな負担です。業務をきちんとこなす人、こなさない人が出てきて、不公平感から軋轢が生じることもあるでしょう。そこで登場するのが「管理会社」です。ファミリー向けの分譲マンションなら、ほとんどが全㈲委託をとっていますが、購入前に調べておきたい部分です。

●管理形態は常勤?日勤?

管理形態には、住み込みの管理人がいる「常勤」、通いの管理人がいる「日勤」、ほかのマンションとともに見て回る「巡回」、防犯カメラなどをつかった「機械管理」があります。わずらわしい業務を一切請け負ってくれますし、ときには住民の直接対決を避ける緩衝材の役も担ってくれます。音の問題や共用施設の使用に関して、直接、相手に指摘しにくいことも管理会社を通して注意してもらうこともできます。住民間のトラブルの仲裁は、本来、管理会社の業務には入っていません。しかし、建物の管理といったハード面だけでなく、ソフト面のデリケートな問題にも柔軟かつ適切に対応してくれる管理会社こそ、信頼できる業者といっていいでしょう。

【マンションの管理対象部分】

専有部分に属さない建物の部分 玄関ホール、廊下、階段、屋外階段、屋上、エレベーターホール、共用トイレ、湯沸室、エレベーター室、ポンプ室、電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、塔屋バルコニー、ベランダ
専有部分に属さない建物の附属物 エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、テレビ共聴視設備、消防・防災設備、各種の配線配管
規約共用部分 管理人室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
附属施設 塀、フェンス、掲示板、駐車場、駐輪場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、水道引込管、排水施設、ゴミ置き場、消火栓、専用庭

 

管理会社の功罪を考える!!

こうざい

・管理業務は「おいしい仕事」

「管理業務はおいしい仕事」は業界の常識です。マンションの共用施設の規模、地域、専有部分の広さなどによって金額が異なるため、管理費は「一律いくら」といえるものではありませんが、住民は「管理費」を支払うことになります。ちなみに、管理費の平均月額は1万2565円(国土交通省「平成25年度マンション総合調査」)。戸数の多いマンションなら、管理会社は年間に数千万単位の収入を得ることになります。管理業務は、たいていマンションを建てた会社やその関連会社が請け負うものです。ちょっとうがった見方をすると、そのマンションが存在する限り確実に大きな金額が入ってくる「管理業務」は、「おいしい仕事」といえます。

管理費の内訳は、次のようになります。

①管理委託費
管理人の人件費や管理会社の事務費

②設備管理業務費
エレベーターの保守点検費用や共用部分の清掃費用など

③共用部分の水道・光熱費、管理組合の運営費など

「決まりだから」といわれるままに支払っている管理費が、適切につかわれているかチェックできるポイントは②設備管理業務費です。①や③は、そんなに大きな額にはなりませんが、②設備管理業務費は1回の出費が大きいのです。外壁の塗装、屋上の防水工事などは、専門の業者に発注しなくてはいけないからです。

・管理会社に総会で揺さぶりをかける

設備管理費や修繕積み立て金の使用目的や金額については必ず組合の総会で報告されます。資料も配布されるはずです。そこで、「○月○囗に実施予定の塗装工事、費用は150万円ですが、何社に見積もりをとったのですか?」と質問してみましょう。そのときに口ごもるようでは、「ボッタクリ」の可能性ありです。数社から見積もりをとって、いちばん安い業者にするように求めましょう。ただし、なじみの業者に「ダミーの見積もり」を出させる危険もあります。組合で独白にまったく無関係の業者に見積もりを依頼してみると、適正価格が明確になるでしょう。このとき、工事の周期が適切であるかも聞いてみてください。管理会社は入居時から決まっているので、「変えられないもの」という思いこみがあって管理会社のほうでも住民のそうした心理に安心しきっています。しかし、管理会社は変えられます。マンション購入後は、毎月ローン返済、修繕積み立て金、管理費の出費がありますが、管理会社を変えることで管理費を圧縮することも可能なのです。

設備管理業務費の内訳を質すことで、「変えるべき業者」か「継続していい業者」かが見えてきます。結果的に管理会社を変更しなくても、「管理会社変更」という切り札をもっていることを知らしめることで、管理費の縮小やサービス向上が望めるので意義のあることです。また、管理費に見合った業務をしているかも調べてみましょう。これも別の業者から見積もりをとればはっきりします。管理費が1件あたり12000円でも100世帯が暮らすマンションなら毎月120万円、1年で1440万円もの大金が管理会社には入ります。でも、実際の仕事は共用部分の掃除ぐらい、大きな工事の費用は修繕積み立て金から出され、発注先の業者から紹介料も入るのですから、「おいしい仕事」なのです。管理会社にしっかり働いてもらうために、マンション管理士の力を借りてみるのもいいでしょう。

 

「管理規約」はマンション生活の法律

管理の規約集

・住民の権利と義務を明記したもの

管理規約はルールを定めた「守るべきもの」だが、住民の要望、時代の変化で変更・廃止・設定が可能です。集団生活で、トラブルを防ぎ快適な暮らしを営んでいくためには、ルールが必要です。それはマンションも同様。住民それぞれの権利や義務を明確化しておく必要があるのです。そのために存在するのが「管理規約」です。

マンションの管理規約は、住民の暮らしにかかわるものですが、住民がひとつひとつ決めていくものではなく、業者があらかじめ作成しているので、新築でも入居時には完成しています。住民はこの管理規約に目を通したあと、「内容を理解し従うことに同意した」という意味で承認書にハンコを押して渡すというのが一般的です。管理規約はマンション内の憲法ともいえるものです。人居時に渡されるマンション規約は法律用語が満載ですが、しっかりと読んでおきましょう。

・国土交通省の「標準管理規約」がベース

国土交通省は、管理規約の標準モデルとして、「マンション標準管理規約(標準管理規約)」を定めています。かつては分譲会社や管理会社が佃々に管理規約をつくっていたため、内容もまちまちで一定の基準というものが存在していませんでした。それを是正するため昭和57年に策定されましたが、時代の変化への対応が求められ平成16年に改正されました。管理規約の基本となる標準管理規約ですが、そのすべてが全マンションに合致するものではありません。ペット飼育など細部については個々のマンションで管理規約が異なります。また、住みつづけるうちに、住民の意向に沿わなくなることもあります。その場合は、必要な手続きを経て規約の変吏や廃止、新規に設定することが可能です。

 

管理規約のチェックポイント

住み心地と資産価値を左右するのが管理規約です。しっかり目を通して疑問点は確認することが重要です。入居前に渡される「管理規約」ですが、内容についてきちんと説明をしない業者もいるようです。また、「難しいから」としっかり目を通さない人も多いと思います。しかし、管理規約はマンション生活の「住み心地」と「マンションの資産価値」に大きく影響します。業者には説明を求め、内容を熟読するようにしましょう。

・「ペット可物件」かチェック

昨今のペットブームで従来の「ペット可物件」ではなく、ペットとの暮らしを積極的にあとおしする「ペット共生型物件」も登場しています。ただし、なかにはアレルギーの問題でペットを嫌がる人がいるのも事実です。

ペット禁止のマンションでペットを飼育した場合、ほかの住民からの苦情は必至です。最悪の場合、裁判に発展してペットの飼育を禁じられるほか、損害賠償をしたうえマンションも使用できなくなることもあります。入居時に管理規約で以下のことを調べておきましょう。

①ペットの飼育が可能か
②飼育の際には管理組合に対して手続きが必要なのか、必要な場合はどのような手続きか
③管理費の負担に影響はあるのか
④共用部分利用の際のルールはあるのか

・共用部分にあたる「カギ」の変更は可能か

ピッキングやストーカーなど、物騒な世の中になってきました。こうした被害にあわないためには「自衛」も必要です。しかし、自宅のドアは内側は専有部分でも外側は共用部分。従来の標準管理規約では、原則的に勝手にカギの取り替えができないことになっていました。ただし、平成16年の改正では個人の責任でおこなえるとしています。こうした防犯に関する改正が、管理規約に反映されているか確認しておいたほうがいいでしょう。

・理事会の権限よりも総会の権限が大きいか

改正前の標準管理基約では、理事会の権限が大きく、植栽の伐採、資金の管理・保管・運用などは理事会の判断でおこなえたのです。しかし、改正後はそうした案件は総会の議決事項となっています。住民個々人の意見が反映されやすいということは、住み心地だけでなく建物の維持管理の向上につながり、結果的に建物の資産価値にも影響します。

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