マンションの立地のトレンド
マンション選びの中でも重要なのは、マンションの「立地」だと私は考えています。第一に「立地」第二に「立地」第三に「立地」と言っても過言ではありません。ここでは「資産性」という意味での「立地」という観点を深掘りして解説していきます。
実はマンションの立地にも、あるトレントがあるのです。これは実は寄せては返す風によく似た傾向があります。これはどういうことかと言うと、マンションの発売エリアは都心が中心となったかと思うと、次は風が引くように都心から離れていきます。勿論地方都市でも同じです。やがて時期がくると、また風がふくように都心部に戻ってきます。このようなマンションの発売エリアの状況を理解しておくことも、マンション選びには重要となってきます。
では、さかのぼって過去のマンションの供給エリアについてみてみましょう。1960年代後半から70年代にかけては、東京の都心部を中心に高級マンションが供給され、富裕層が主な購入者層でした。しかし、田中角栄首相の列島改造論を背景に、70年代後半からはサラリーマン層をターゲットとした郊外型マンションの供給が増加しました。
1980年代初頭のマンション不況期には、一時的に都心回帰が見られましたが、バブル経済期には再び郊外への供給が活発化し、「新幹線通勤」という言葉が生まれるほど、都心から離れたエリアへの開発が進みました。バブル崩壊後、地価の下落や金融機関の不良債権処理の影響で、都心に大量の土地が供給されるようになり、2000年代初頭には「マンション都心回帰」と呼ばれる現象が起こりました。港区や千代田区などの一等地にも大型マンションが建設され、東京都への人口集中が加速しました。
しかし、2005年頃から、東京都のマンション供給は減少に転じ、神奈川県、千葉県、埼玉県などへの供給が増加しました。これは、東京都内の地価やマンション価格の高騰が主な原因です。その後、リーマンショックの影響で地価が下落し、マンション価格も調整されたため、再び都心への供給が増加しました。特に、2010年代には、各種優遇税制や低金利政策の後押しもあり、マンション市場は活況を呈し、都心部での開発が活発化しました。近年では、湾岸エリアを中心にタワーマンションの建設が進んでおり、都市のランドマークとなるような高層マンションが増えています。
そして現在に至るわけなのですが、以上のようにマンションの供給立地は、まさに風のように都心に近づいたり遠ざかったりしていることがわかります。マンションの発売エリアは都心が中心となったかと思うと、次は風が引くように都心から離れていきます。やがて時期がくると、また風がふくように都心部に戻ってきたのです。
急激な発展に伴う不都合も
都市部に限らず、各地でマンション開発が行われています。中には駅もなかった場所に大規模な開発が行われて新たに駅ができ、人口が急激に増加するエリアもあります。また、すでに街が形成されていているエリアに再開発が行われて、街が大きく変貌するケースもあります。このような場合は、急激に人口や就業人口が増加することからインフラ整備が追いつかず、商業施設や道路等が混雑したり、電車も通勤時などに一時的に混雑したりする例があります。最近では湾岸エリア、今後は晴海エリアがこのような傾向があると言われています。街が急激に発展する際には、人口の増加とインフラの整備の問にどうしてもタイムラグが発生してしまいます。ですから、一時的に混雑等が生じても、その後の街の成熟に伴って解消されると思われます。また、今後の街やエリアの将来性を考えると、デメリットよりメリットのほうがはるかに大きいと考えられます。変化する街にはとても大きな可能性があり、マンションの資産価値にも大きな影響を与えます。積極的に住まいの候補として考えてみてはいかがでしょうか。
中止部からの距離も重要!!
よくマンションのネット広告やチラシ、パンフレットの表示を見ると、近くのターミナル駅である駅から物件の最寄りの駅まで「●●線で10分」とか、電車の所用時間が書いてあります。これは上記したように、快速・急行などの高速鉄道が発達すると非常に有利となります。しかし、電車での移動時間だけでなく、実際の距離もみてみることも必要となります。
たとえば「東京」駅から出ている高速鉄道である東海道線や中央線・総武線の快速などは短期間に長距離を移動できるので、通勤などには非常に便利と言えるでしょう。しかし、エリアによっては、快速が停まらなかったり、乗り換えが多かったりと、若干交通の便が良くない場合は、最寄りのターミナル駅までの時間が多くかかってしまうことがあります。とくに東京の東北方面は、若干交通の乗り継ぎが悪い傾向にあります。そのせいか、人気が低く、マンション価格が安い場合があります。しかし実際に都心(東京駅)からの距離をみてみると、たとえば台東区や墨田区などは、都心からわずか5キロくらいしか離れていないこともあります。
さらに「街の印象」は、不動産を選ぶ上で非常に重要な要素です。東京駅から浅草寺と六本木を比較すると、その違いが顕著です。浅草は下町情緒あふれる観光地として知られていますが、東京駅周辺のビジネス街とは全く異なる雰囲気を持ちます。地下鉄の乗り換えが必要な場合が多く、直通列車も少ないため、東京駅からやや離れた印象を受けがちです。一方、六本木は東京駅と同様にビジネス街であり、地理的にも近く、直通電車も多く利用しやすいため、非常に近いと感じられます。
しかし、地図上で両者の距離を比較すると、それほど大きな差はありません。都心に近いエリアは、鉄道の本数も多く、深夜まで運行している路線も多いため、利便性が高いという特徴があります。一方で、鉄道の本数や路線は、都市開発や交通政策によって常に変化するため、将来的な利便性は予測が難しい側面もあります。しかし、地理的な距離は不変です。都心に近く、鉄道の便が悪く、開発が遅れているエリアは、将来的な開発の可能性を秘めています。10年後、20年後の再開発計画は現時点では不明ですが、「地の利」に着目し、将来的な資産価値の上昇を見込むことも可能です。
例えば、現在、利便性が低いために物件価格が比較的安価なエリアであっても、将来、交通網の整備や都市開発が進めば、地価が上昇し、資産価値が向上する可能性があります。不動産投資においては、現在の利便性だけでなく、将来的な都市開発や交通網の整備といった長期的な視点も重要です。
立地のポイントは「駅」!!
徒歩5分が狙い目の場所
立地を決める上で、駅からどのくらい近いかということはいちばんの悩みどころ。駅徒歩時間と坪単価の関係を示した下のグラフを見ると、徒歩5分のあたりで坪単価が大幅に落ちている。駅近は割高で手を出せないという人は、徒歩5分の物件が狙い目なのです。
・新線開発があるかをチェック
駅やエリアの将来的な価値を見極めたいときは、「新線開発」に注目しましょう。首都圏だけでも近年でこれだけの計画があります。買った時点で複数路線が通っていなくても、近い将来ターミナル化する予定の駅もあるので、参考にすべき情報の一つとなっています。
・駅からの距離を延ばして探そう
意外な狙い目として、評価の定まっていない大規模開発地の最寄り駅や、人気路線の各駅停車駅などがあげられます。また、駅付近にこだわらず、駅徒歩15~20分程度まで範囲を広げれば選択肢はグンと広がり、自転車やバスなどを用いて周囲の複数の駅を利用できる可能性もあります。
バス網が発達している地域なら、都心部まで1本で行けるケースもあります。多様な文通手段の利用を考えると、家を買う候補地が広がっていきます。
コメント