中国四国地方のダイビングスポット
中国四国地方は、太平洋に面した南側と、瀬戸内海に面した北側で海の特性が大きく異なります。太平洋側は黒潮の影響を受け、透明度が高く生物も豊富である一方、瀬戸内海側は穏やかで初心者にも優しい環境が特徴です。ここでは、中国四国地方の主要なダイビングスポットを詳しく解説します。
高知県
柏島(かしわじま)
特徴
先に紹介した柏島は、高知県の西部に位置する小さな島で、「日本の海の宝石」と称されるほど透明度の高い海が魅力です。本州でありながら黒潮の影響を強く受け、亜熱帯性の生物が多く生息しています。島の周囲は複雑な地形で、様々なタイプのダイビングが楽しめます。
見られる生物
- 熱帯・亜熱帯性の魚類(チョウチョウウオ、スズメダイなど)
- 約100種以上のウミウシ
- サンゴ(ソフトコーラル、テーブルサンゴなど)
- イセエビ(秋〜冬)
- マクロ生物(ピグミーシーホース、カエルアンコウなど)
- ウミガメ(アオウミガメなど)
ベストシーズン
6月〜10月(水温22℃〜28℃、透明度10m〜30m)冬季(12月〜2月)は水温が下がりますが(16℃〜18℃)、透明度が上がることがあります。
難易度【初心者〜上級者】
島の内湾は穏やかで初心者向け、外洋側は流れが強く上級者向けです。
アクセス
- 高知市から車で約3時間
- 松山市から車で約3時間
- 最寄りのJR中村駅または宿毛駅からタクシーまたはバス
おすすめポイント
- 「メジナ島」:透明度抜群の外洋ポイント、大物回遊魚も
- 「一本松」:垂直に切り立った壁と豊かな魚影
- 「柏島湾内」:初心者に優しいビーチダイビング、マクロ生物が豊富
- 「竜串」:複雑な地形と多様なサンゴ
足摺岬(あしずりみさき)
特徴
高知県の南西部に位置する岬で、黒潮の影響を強く受ける透明度の高い海が特徴です。足摺海洋館「SATOUMI」の近くには、初心者向けのビーチエントリーポイントもあります。
見られる生物
- 熱帯・亜熱帯性の魚類
- ウミガメ
- イセエビ(秋〜冬)
- マクロ生物
- サンゴ
ベストシーズン
6月〜10月(水温21℃〜27℃、透明度8m〜20m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 高知市から車で約2時間半
- JR中村駅からバスで約1時間
おすすめポイント
- 「大堂海岸」:初心者向けのビーチダイビングポイント
- 「唐人駄場」:透明度の高い外洋ポイント
- 「沖の島」:多様な海洋生物が見られる離島
室戸岬(むろとみさき)
特徴
高知県東部に位置する岬で、黒潮の影響を受ける透明度の高い海が広がります。室戸ジオパークとしても知られ、独特の地形が水中にも続いています。
見られる生物
- 温帯から亜熱帯性の魚類
- ウミガメ
- マクロ生物
- イセエビ(秋〜冬)
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜26℃、透明度5m〜15m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 高知市から車で約2時間
- 徳島市から車で約2時間
おすすめポイント
- 「椎名」:透明度の高い入り江
- 「三津」:多様な地形と生物
- 「佐喜浜」:マクロ生物が豊富
愛媛県
宇和海(うわかい)
特徴
愛媛県南西部に広がる海域で、黒潮の影響を受ける透明度の高い海が特徴です。特に愛南町周辺は「愛南ブルー」と呼ばれる美しい青い海が広がります。
見られる生物
- 温帯から亜熱帯性の魚類
- マクロ生物(ウミウシなど)
- イサキ、メジナなどの回遊魚
- イセエビ(秋〜冬)
- 一部エリアではサンゴも
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜26℃、透明度5m〜20m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 松山市から車で約2時間半
- JR宇和島駅から各ポイントへバスまたはタクシー
おすすめポイント
- 「鹿島」(愛南町):透明度の高い美しいポイント
- 「須ノ川」(愛南町):初心者向けのビーチダイビング
- 「日振島」:多様な海洋生物
- 「九島」(宇和島市):穏やかな環境で初心者向け
佐田岬(さだみさき)
特徴
愛媛県の西端に位置する岬で、瀬戸内海と宇和海の境界にあります。潮流が速いエリアもありますが、透明度の高いポイントが多いです。
見られる生物
- 温帯性の魚類
- マクロ生物
- イサキ、メジナなどの回遊魚
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度5m〜15m)
難易度【中級者〜上級者】
潮流の速いポイントが多いため、経験が必要です。
アクセス
- 松山市から車で約2時間
- JR八幡浜駅から各ポイントへバスまたはタクシー
おすすめポイント
- 「三崎」:透明度の高いポイント
- 「高浜」:多様な地形と生物
徳島県
日和佐(ひわさ)・宍喰(ししくい)エリア
特徴
徳島県南部に位置するエリアで、黒潮の影響を受ける透明度の高い海が特徴です。ウミガメの産卵地としても知られています。
見られる生物
- ウミガメ(特にアカウミガメ)
- 温帯から亜熱帯性の魚類
- マクロ生物
- イセエビ(秋〜冬)
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜26℃、透明度5m〜15m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 徳島市から車で約1時間半
- JR牟岐線日和佐駅または宍喰駅から各ポイントへ
おすすめポイント
- 「大浜海岸」:ウミガメの産卵地として有名
- 「竹ヶ島」:透明度の高い美しいポイント
- 「宍喰湾内」:初心者向けの穏やかなポイント
鳴門海峡
特徴
徳島県北東部に位置する海峡で、世界的に有名な「鳴門の渦潮」があります。ダイビングは渦潮の影響が少ない場所で行われ、独特の海中環境が魅力です。
見られる生物
- 潮流に適応した魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜10m)
難易度【中級者〜上級者】
潮流の影響を受けるため、経験が必要です。
アクセス
- 徳島市から車で約30分
- JR鳴門駅から各ポイントへ
おすすめポイント
- 「大毛島」:多様な海洋生物
- 「北泊」:マクロ生物が豊富
香川県
小豆島(しょうどしま)
特徴
瀬戸内海に浮かぶ島で、穏やかな海が特徴です。透明度は高くありませんが、独特の生態系があります。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜8m)
難易度【初心者〜中級者】
穏やかな環境で初心者向けのポイントが多いです。
アクセス
- 高松港から高速船で約35分
- 岡山県宇野港からフェリーで約60分
おすすめポイント
- 「エンジェルロード周辺」:穏やかな環境で初心者向け
- 「草壁港」:マクロ生物が豊富
- 「坂手港」:多様な海洋生物
直島(なおしま)・豊島(てしま)
特徴
現代アートの島として知られる直島と豊島周辺の海域です。瀬戸内海特有の穏やかな環境が特徴です。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜8m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 高松港から高速船で直島まで約20分
- 宇野港から高速船で直島まで約20分
おすすめポイント
- 「宮浦港周辺」(直島):アート作品と海の両方を楽しめる
- 「家浦港」(豊島):穏やかな環境で初心者向け
山口県
角島(つのしま)
特徴
山口県北西部に位置する島で、透明度の高い美しい海が特徴です。「角島大橋」で本土と繋がっており、アクセスが良好です。
見られる生物
- 日本海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
7月〜9月(水温22℃〜26℃、透明度5m〜15m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 下関市から車で約1時間
- JR特牛駅からバスで約30分
おすすめポイント
- 「角島灯台下」:透明度の高い美しいポイント
- 「大浜海水浴場」:初心者向けのビーチダイビング
- 「牧崎」:多様な海洋生物
周防大島(すおうおおしま)
特徴
瀬戸内海に浮かぶ大きな島で、穏やかな海が特徴です。島の南側は比較的透明度が高いポイントもあります。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜10m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 柳井市から車で約30分(大島大橋経由)
- JR大畠駅から連絡船で約5分
おすすめポイント
- 「片添ヶ浜」:初心者向けのビーチダイビング
- 「笠佐島」:透明度の高いポイント
- 「神浦」:多様な海洋生物
島根県
隠岐諸島(おきしょとう)
特徴
島根半島の北約40〜80kmの日本海に浮かぶ島々で、透明度の高い海と独特の地形が魅力です。
見られる生物
- 日本海固有の魚類
- 冷水性の生物
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
7月〜9月(水温20℃〜24℃、透明度5m〜20m)
難易度【中級者〜上級者】
外洋に面しているため、天候の影響を受けやすいです。
アクセス
- 七類港(松江市)から高速船で約2時間〜2時間半
- 隠岐空港へ飛行機でアクセスも可能
おすすめポイント
- 「赤壁」(西ノ島):垂直に切り立った赤い壁が特徴
- 「ローソク島」(西ノ島):独特の岩礁地形
- 「知夫里島」:透明度の高いポイント
- 「島後」:多様な海洋生物
浜田・益田エリア
特徴
島根県西部の日本海に面したエリアで、比較的アクセスが良好なダイビングポイントがあります。
見られる生物
- 日本海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
7月〜9月(水温20℃〜24℃、透明度3m〜10m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 松江市から車で約2時間
- JR浜田駅または益田駅から各ポイントへ
おすすめポイント
- 「外ノ浦」(浜田):初心者向けのビーチダイビング
- 「鵜島」(益田):多様な海洋生物
広島県
しまなみ海道エリア
特徴
広島県と愛媛県を結ぶしまなみ海道周辺の島々で、瀬戸内海特有の穏やかな環境が特徴です。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜8m)
難易度【初心者〜中級者】
穏やかな環境で初心者向けのポイントが多いです。
アクセス
- 広島市から車で約1時間〜1時間半
- 尾道市から各島へフェリーまたは橋で移動
おすすめポイント
- 「大三島」:穏やかな環境で初心者向け
- 「因島」:マクロ生物が豊富
- 「生口島」:多様な海洋生物
江田島(えたじま)
特徴
広島湾に浮かぶ島で、穏やかな海が特徴です。広島市からのアクセスが良好です。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜8m)
難易度
初心者〜中級者
アクセス
- 広島市から車とフェリーで約1時間
- JR広島駅から船で約45分
おすすめポイント
- 「切串」:初心者向けのビーチダイビング
- 「沖美町」:マクロ生物が豊富
岡山県
牛窓(うしまど)・日生(ひなせ)エリア
特徴
岡山県南部の瀬戸内海に面したエリアで、穏やかな海が特徴です。「カキ筏」でのダイビングが有名です。
見られる生物
- 瀬戸内海固有の魚類
- カキ筏に集まる生物
- マクロ生物
- 海藻類
ベストシーズン
6月〜10月(水温20℃〜25℃、透明度3m〜8m)
難易度【初心者〜中級者】
穏やかな環境で初心者向けのポイントが多いです。
アクセス
- 岡山市から車で約1時間
- JR邑久駅または日生駅から各ポイントへ
おすすめポイント
- 「カキ筏」(日生):カキの養殖筏に集まる多様な生物
- 「前島」(牛窓):穏やかな環境で初心者向け
- 「黒島」(日生):多様な海洋生物
中国四国地方のダイビングの特徴
太平洋側と瀬戸内海側の違い
太平洋側(高知県、徳島県南部、愛媛県南部)
- 黒潮の影響を受け、透明度が高い(10m〜30m)
- 水温が比較的高い(夏季は26℃〜28℃)
- 亜熱帯性の生物が多い
- サンゴが見られるポイントもある
- 外洋の影響を受けるため、波や流れが強いことがある
瀬戸内海側(香川県、岡山県、広島県、山口県東部、愛媛県北部)
- 穏やかな内海で、初心者に優しい環境
- 透明度はやや低め(3m〜8m)
- 水温は太平洋側とあまり変わらない(夏季は25℃前後)
- 独特の生態系があり、マクロ生物が豊富
- カキ筏など、人工物に集まる生物を観察できる
日本海側(島根県、山口県西部)
- 夏季は透明度が高くなる(5m〜20m)
- 水温は太平洋側よりやや低い(夏季は20℃〜24℃)
- 冷水性の生物が見られる
- 海藻類が豊富
- 季節による変化が大きい
季節による変化
春(3月〜5月)
- 水温:15℃〜20℃
- 透明度:中程度
- 特徴:海藻類が繁茂し、産卵のために接岸する魚類も増える
夏(6月〜8月)
- 水温:22℃〜28℃
- 透明度:高い(特に太平洋側)
- 特徴:最も生物が豊富で、ダイビングに最適な季節
秋(9月〜11月)
- 水温:18℃〜25℃
- 透明度:高い
- 特徴:台風の影響が少なくなると透明度が上がり、イセエビなどが見られる
冬(12月〜2月)
- 水温:14℃〜18℃
- 透明度:変動が大きい
- 特徴:水温は下がるがドライスーツを使えば快適にダイビング可能。太
- 平洋側では冬季限定の生物も
まとめ
中国四国地方は、太平洋、瀬戸内海、日本海という三つの異なる海に面しており、それぞれに特色あるダイビングを楽しむことができます。特に高知県の柏島や足摺岬、愛媛県の宇和海などの太平洋側は、本州でありながら亜熱帯性の海を体験できる貴重なスポットです。
一方、瀬戸内海側は穏やかな環境で初心者に優しく、独特の生態系を観察できます。日本海側は夏季の透明度の高さが魅力で、冷水性の生物を観察できます。
中国四国地方でのダイビングを計画する際は、目的や経験レベルに合わせて、最適なエリアとシーズンを選ぶことをおすすめします。
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