長期修繕計画でマンションの劣化防
劣化の前のメンテナンスが重要
修繕積み立て金算出の根拠となる大事な計画です。定期的なメンテナンスで劣化を抑えると資産価値の維持にも重要です。長く快適にマンションに住みつづけるためには、日々の清掃や各種点検のほか、定期的にメンテナンスを施す必要があります。粗が目立ってきてからメンテナンスをおこなうと、工費も工期もかかってしまいます。建物の劣化を防ぐためには、先手先手でメンテナンスするのが望ましいのです。建物の劣化を最小限に抑え、快適な住まいを維持するために必要なのが長期修繕計画書です。建物の資産価値を保つためにも必要といえます。国土交通省の標準管理規約では、次の部位を修繕計画の対象としています。
②屋根防水
③給排水管取り替え
④窓および玄関扉等の開口部の改良等
長期修繕計画では左記の部位ごとに、修繕周期や工事金額などを決めることになっています。長期修繕計画書で、必要な工事の種類とおおよその金額が予想できます。これをもとにして月々の修繕積み立て金が決定されます。
・長期修繕計画のないマンション?
自然災害による建物のダメージは不可抗力ですが、通常使用においてはある程度建物のダメージは予防できるものです。予防できるのであれば、先手を打つことも可能なはずです。長期修繕計画が不完全なため建物の劣化を予防できなかったら、ある日突然、多額の修繕費を負担しなくてはいけなくなります。建物の劣化を防ぐほか、適正な修繕積み立て金を把握し、不意の出費を避けるためにも、長期修繕計画は必要なのです。新築であれ、中古であれ、長期修繕計画の有無を確認するようにしましょう。
長期修繕計画は適宜見直す
部位によって異なる劣化速度に即した修繕計画かを確認しましょう。劣化状況によっては計画の前倒しの検討も必要といえるでしょう。長期修繕計両がないのは大問題ですが、あればいいというわけでもありません。当然、その中身が肝心です。適正な時期に適正な修繕がなされるかが重要なのです。マンションは部位によって使われている素材はさまざまですから、劣化の速度が異なります。また、雨風にさらされる部分や屋内でもちがいが生じます。同じ屋内でも、常に人が踏みしめる床と壁では同じ素材であっても修繕が必要な時期には差が生じるはずです。
・長期修繕計画は定期的に見直す
部位ごとの適正な修繕期間を把握することはなかなか困難です。使用状況によっても劣化の度合いは異なります。作成時には非常によくできた長期修繕計画でも、10年、20年経過すると内容が現状に合致しなくなるものです。かつては工期・工費ともにかかる工事が、技術革新によって短時問・低価格でおこなえることがあるのです。また、反対に自然災害によって劣化が想像以上に進んでしまうこともあるでしょう。建物の劣化状況に照らし合わせながら定期的に長期修繕計画の見直しをおこなえば、現状の修繕積み立て金で、将来の建物の劣化に対応できるか予測がつきます。月々の出費が増えるのは痛いように感じるかもしれませんが。そうしなければ、一度に膨大な修繕費用を支払わなくてはいけません。見直し時にバリューアップエ事も検討すれば、マンションの機能性が向上するだけでなく資産価値の向上にもっながります。 2~5年の頻度で見直したいものです。
大規模修繕工事は一大プロジェクト
長期修繕計画の修繕項目には、外壁補修や屋上防水工事など、大規模な工事が含まれています。こうした工事はマンションはもちろん、周辺住民の生活にも影響を与えるものです。トラブルを避けるためにも、周到な準備・告知を経て計画を実行する必要があります。
また、修繕計画の内容の工事で十分かどうかはわかりません。一級建築士など専門家の手を惜りて、建物の状況を判断してもらい、エンジニアリングレポートを作成してもらったほうがいいでしょう。業者の選定においては、複数から見積もりをとることはもちろんですが、金額だけで決めてはいけません。周辺住民への迷惑を最小限に抑えるためにも、騒音・ゴミなどの対策がきちんとしている業者を選びましょう。日々の清掃や定期点検が必要なように、大規模な修繕もマンションの維持のためには避けられません。修繕専門委員会を結成して、しっかりと取り組みたいところです。
・大規模修繕工事フローチャート
修繕専門委員会の結成(理事会のほかに委員を選出)
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専門家に修繕予定部分の調査・診断を依頼
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調査診断を経てエンジニアリングレポートが完成
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エンジニアリングレポートの記載事項について、専門家の説明を受けながら目で確認
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修繕設計に基づいた工事内容について複数の業者に見積もり依頼・比較
業者の決定
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工事スケジュールの策定
マンション・周辺住民に告知
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工事開始
修繕設計作成者による監理
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工事終了
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