タワーマンションの遮音性は最低!!
ここ数年で、タワーマンションが増えていますので、ここではタワーマンションについてお話しいたしましょう。
日本の建築基準法では、高さ60メートルを超えた建物を超高層建築物と言います。構造形式はからっと変わり、地震時に柳のごとくしなる構造が基本です。そのために、基本的に構造方式は、純鉄骨かそれに準じた物を採用です。そして、なんと言っても、建物自体を軽くして層間変位(階と階のずれ)に耐えられるようにしなければなりません。
まず、建物を軽量化するということは、床に厚さ20〜28センチのコンクリートスラブを打て無いことです。タワーマンション場合は、床にデッキプレートを敷いて、その上に鉄筋を入れてコンクリートを打ちますが、遮音性はほとんど期待できません。外壁もしかりです。ほとんどの超高層マンションの外壁は、ALC版を採用しています。ALC版とは、コンクリートを発泡させた軽量なコンクリート板で、1枚の幅がIメートル前後です。これを何枚も並べて外壁として用いるわけですが、板と板の間はコーキングでシールしているだけで漏水を防いでいます。
タワーマンションの遮音性について
壁や天井に使用される材料や厚み、密度、形状、構造などが、遮音性に大きな影響を与えます。
床材の種類も遮音性に影響を与えます。特に、フローリングの場合は、騒音が発生しやすいため、適切な下地材や吸音材を使用する必要があります。
窓の断熱性能:窓の断熱性能も遮音性に影響を与えます。高性能な断熱ガラスや、二重窓を使用することで、遮音性を向上させることができます。
ドアの密閉性能も遮音性に影響を与えます。特に、出入り口のドアは、隙間があると騒音が漏れやすくなるため、遮音性の高いドアを使用することが望ましいです。
タワーマンションは、交通量が多い道路や鉄道駅の近くに建設されることが多く、外部からの騒音が問題となることがあります。そのため、外壁や窓の遮音性も考慮する必要があります。
これらの要因を総合的に考慮し、遮音性に優れたタワーマンションは、住民の生活環境に大きな貢献をすることができます。一方で、タワーマンションの遮音性に問題がある場合、住民のストレスを増加させるだけでなく、マンションの評価や資産価値を低下させる可能性があるため、十分な対策が必要です。
タワーマンションに遮音性を求めるな!!
タワーマンションの隣戸間の壁も、軽量石綿セメント板を2枚、両側に使っているのがほとんどです。この2枚の間の空間にグラスウールを充填しています。そして、軽量石綿セメント板の周りは、コーキングでシールしてあるだけです。このシールも、先ほどお話しした地震や強風でたびたび揺れると、疲弊して切れてきます。そうすると当然、シールの切れた所から隣戸の音は聞こえてきます。これでは理論的にも遮音性はほとんどありません。
コーキングの問題が修繕費を高騰させる!!
このコーキングが問題の一つです。紫外線や温度変化・経年変化によって老化したり、超高層建物が地震や強風などで揺れると、このコーキングが伸縮を繰り返して、疲弊して切れやすくなります。そうしますと、外壁からの漏水が発生いたします。超高層の事務所ビルならば、家主が毎年メンテナンスの費用を予算に計上して、キチンとチェックして直しますが、超高層分譲マンションの場合は、修繕積立金を使い修理いたします。すなわち入居者のお金です。この費用負担もばかになりません。
タワーマンションはデメリットばかり!!
遮音性の高さは、重量に比例いたします。結論を先に言えば、軽量化された建物に遮音性を求めるのは限界があります。タワーマンションは眺望がいいだけが取り柄です。でも、眺望の良さなんてすぐ飽きてしまうものです。色々なメディアでタワーマンションのデメリットを挙げています。一つは、子どもが住戸に閉じこもって外で遊ばなくなってしまうことです。もう一つは、妊婦がやはり外出しなくなり、運動不足になり難産になるということです。
やはり、日本のように地震の多い国には、超高層のマンションは遮音性を保てないので無理かあると実感いたしました。超高層ビルは、マンションのように暮らす所ではなく、オフィスに向いているでしょう。まともな人間の住むところではないのです。
タワーマンションのデメリット
タワーマンションのデメリットは以下のようなものがあります。
- 地震への耐震性が低く、大規模地震での倒壊の可能性がある。
- 高層階に位置するため、火災時の避難が難しく、火災防止については特に配慮が必要。
- 高層階に位置するため、地上の音や振動によって建物全体が揺れ、それが住民の生活に影響を与える可能性がある。
- 高層階に位置するため、高層風や風圧によって建物が揺れることがあり、住民にとって不快な状況を引き起こすことがある。
- 共用部分の維持管理費用が高く、住民に負担がかかることがある。
- 高層階に位置するため、エレベーターの混雑や故障によって住民の生活に支障が生じる可能性がある。
- 高層階に位置するため、景観が良い反面、日当たりが悪くなる場合がある。
- ペット飼育が制限されることがある。
- 建物内での防犯面についても、高層階に位置するため特に注意が必要である。
施設利用に制限があることがある
タワーマンションには、共有施設があることが多いが、その利用に制限があることがある。たとえば、プールやジムなどの施設は、管理の都合で一定時間帯にしか利用できなかったり、利用に別途費用がかかる場合がある。
電気代や管理費が高いことがある
タワーマンションは、一般的に高級な住宅であるため、光熱費や管理費が高いことがある。また、エレベーターや冷暖房などの共用施設を維持するため、修繕積立金が高額になることがある。
防犯面が不安定な場合がある
一般的に、タワーマンションは高層階に位置するため、侵入者や窃盗などの犯罪に対する防犯面が強化されていると考えられる。しかし、その一方で、盗難やトラブルが起こりやすいというデメリットもある。また、セキュリティに関する設備が充実していることがあるが、それでも、完璧なセキュリティが保証されているわけではない。
タワーマンションの中間階以下は 何のメリットもない
再開発がらみの容積割り増しの恩典で、品川や汐留周辺は、タワーマンションの分譲がデッドヒートを繰り広げています。どのデベロッパーも苦戦を強いられているそうです。
タワーマンションのメリットはただ一つ、中高層のマンションに比べて眺望のいいことです。ですので、タワーマンションの中間階より下の階の住戸は、価格が安いのがメリットです。超高層の建物は元々、柱や梁が大きいのですが、下階へ行けば行くほどどんどん大きくなります。70平方メートルくらいの住戸の中に1.2〜1.5メートル角の柱が存在してしまうので、全く持って住みやすい住戸とは言えません。最近、素人の購入者もその辺がわかってきています。ある有名タワーマンションでは、顕著にその傾向が出てきています。中間階より下の階を買われた方のキャンセルが続出だそうです。
日本の場合、マンションと事務所の複合ビルを計画することは、建築基準法や消防法でかなり制約が多いので、避難施設や消防施設に結構お金がかかりますが、やってできないことはありません。ただ問題は区分所有のことと、事務所が分譲できるかということだと思います。バブルのころは、事務所ビルもフロア売りしていましたから問題ないと思いますが、現在オフィスをフロア買いする会社があるかどうかです。
無ければ、マンションデベロッパーが保有資産として持ち、賃貸に回せばいいのではないでしょうか? 売りにくいとわかっている中間階より下のマンションを作って、大幅なディスカウントをして損して分譲するより、最初の時点で中間階より下を賃貸ビルで収支計算して、プロジェクトを進めたほうがいいのではないでしょうか?
賃貸ビルの収支は、長期で計算しませんと黒字になるのには時間がかかります。しかし、デベロッパーが区分所有で持つ部分を税法上、固定資産として計上し、減価償却で価値の目減りを経費で落としていけば、その物件だけの収支ではなく、会社全体の収益計算では損をしないはずです。都心のタワーマンションのほとんどは、商業地域に建っていますので、周辺にいつまた他の超高層マンションやビルが建つかわかりません。それらを考えますと、中間階より下の階の住戸の広さは50〜60平方メートル未満にして、ディンクスやシングル向けです。
遮音性はレオパレスと同じ
ここ数年、タワーマンションがたくさん建ち、入居者の方からいろいろな声が聞こえてきました。やはり一番多いのが、遮音性の悪さです。
上階の住戸からの歩く足音がよく聞こえるのが一番で、二番目は隣戸の音が夜中よく聞こえるとのことでした。外壁がALC版(気泡軽量コンクリート版)の場合は、継ぎ目のシールが切れて雨漏りするという超高層マンションもいくっかありました。タワーマンションのほとんどは鉄骨造(S造)なので、上層階は強風でも揺れます。たびたび揺れると、外壁のALC版とALC版の継ぎ目のシールが疲弊して切れて、雨漏りの原因となるのです。これらの現象は、鉄骨造の超高層建物の宿命なのです。
我が国の建築基準法では、高さ60メートルを超えた建物を超高層建築物と称しています。日本のように地震が多発している国では、超高層建物の構造基準がとても厳しくなっています。さらに、地震時に火災が発生した場合の避難経路の確保や消火設備等も厳しく規制されており、工事費用もかかります。現在、建築中も含めてタワーマンションは、ほとんどが再開発事業として行われ、その恩恵として容積率(延べ床面積/敷地面積)の割り増しをもらってかなりの収益を上げているのですから、躯体(構造物)にお金をかけて住みよいマンションを作るべきだと思います。
長周期地震動に湾岸のタワーマンションは耐えられるのか?
湾岸のタワーマンションは、一般的に高層建築物であり、免震構造や制振構造など、高度な耐震技術が導入されています。このため、通常の地震に対する耐性は高く、建物は安定しています。しかし、長周期地震動に対する防御については、建物の高さや地盤の性質などによって異なります。
湾岸のタワーマンションにおいても、適切な耐震対策が施されていることが多く、長周期動に対しても十分な耐性がある場合があります。免震構造や制振構造など、高度な耐震技術が導入されている場合は、長周期地震動に対しても耐えられるとされています。
ただし、建物の構造や高さ、地盤の性質によっては、長周期地震動に対する耐性が低い場合があります。そのため、建物の耐震性能を適切に評価し、必要に応じて適切な耐震対策を検証することが求められます。また、入居者自身が地震に備えることも重要です。収集や避難訓練を行い、地震被害を最小限に抑えるために、適切な備えをすることが必要です。
タワーマンションの書籍
「超高層タワーマンション:建築・設計・技術・環境・安全・経済・マーケティング」(吉村 亮一 著)
超高層タワーマンションについて、建築・設計・技術・環境・安全・経済・マーケティングなどの様々な観点から解説しています。
「タワーマンションの新しい価値論:暮らしと不動産市場を変える26の提言」(北村 恵一 著)
タワーマンションの新しい価値論を提言する本です。タワーマンションの住環境や住民の暮らし方などについて、具体的な提言がなされています。
「高層マンションの生態系:都市の垂直移動を支える生きた建築物」(宮原 裕司 著)
高層マンションについて、生態系の視点から解説しています。高層マンションが持つ生態系について、具体的な事例をもとに解説しています。
「地盤沈下を未然に防ぐ高層建築の設計・施工技術」(佐々木 裕之 著)
高層建築における地盤沈下を防ぐための設計・施工技術について解説しています。地盤沈下による建築物の被害を未然に防ぐために、具体的な技術的なアプローチが提供されています。
これらの書籍は、タワーマンションについて専門的に知りたい方におすすめです。
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