マンション管理費が5年間で「34%」上昇!!【上がるのは修繕費だけではない!!】

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マンション管理費の急騰【34%上昇】


~ 現状の詳細 ~

マンション管理費は近年急激な上昇を続けており、株式会社さくら事務所の調査によれば、2019年から2024年の5年間で約34%という大幅な上昇を記録しています。

具体的な推移を見ると、2019年時点では1㎡あたり382.2円だった管理費は、2020年に新型コロナウイルスの影響で一時的に下落したものの、2021年には407.7円と400円の壁を突破しました。その後も上昇を続け、2023年には448.3円、そして2024年には512.1円と500円の壁も突破する結果となりました。

この上昇が家計に与える影響は決して小さくありません。一般的な70㎡のマンションで計算すると、月額の管理費は2019年時点では約2万5000円程度でしたが、2024年には3万5000円を超える金額となり、わずか5年間で約1万円もの負担増となっています。これは年間で12万円、5年間では60万円という大きな金額になります。

また、修繕積立金についても同様の上昇傾向が見られます。2019年の調査開始時点では1㎡あたり132.5円だった修繕積立金は、右肩上がりに上昇を続け、2024年には173.0円に達しています。この上昇の背景には、資材価格の高騰や工事費の上昇といった要因があります。

出典:株式会社さくら事務所

この急激な上昇の制度的背景として、2024年2月に国土交通省が発表した「新築時点における長期修繕計画の修繕積立金設定に関するガイドライン」の影響も無視できません。このガイドラインでは、一定額以上の初期設定を求める指針が示されており、2024年に分譲されたマンションの修繕積立金はこの指針に基づいて設定されています。これにより、新築マンションの購入者は以前よりも高い管理費・修繕積立金を当初から負担することになっています。

このような管理費・修繕積立金の上昇は、マンション購入を検討する際の重要な判断材料となっています。購入時の価格だけでなく、これらのランニングコストが将来的にどのように変化するかを見据えた検討が必要となっているのです。特に、都心部の高級マンションほどこの傾向が顕著であり、購入者は初期費用だけでなく、長期的な維持費用についても慎重に検討する必要があります。

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上昇の主な要因の詳細

マンション管理費・修繕積立金の急騰には、大きく分けて3つの要因が重なっていると考えられています。株式会社さくら事務所副社長の山本直氏によれば、「マンションの高級化」「人件費の高騰」「インフレ」という3つの要因が複合的に作用しているとのことです。

第一の要因である「マンションの高級化」については、近年のマンション開発の傾向が大きく変化していることが背景にあります。従来のマンション開発では、専有部の内装に力を入れる傾向がありましたが、現在は共用部分の高級化に重点が置かれるようになっています。マンションに入ってから自分の部屋に到達するまでの共用部分を豪華にすることで、購入者に良い印象を与えるという戦略が取られているのです。

具体的には、エントランスやロビーの高級化だけでなく、ゲストルーム、パーティースペース、フィットネスジム、プールなどの共用施設を充実させるマンションが増えています。これらの施設は購入時の魅力を高める一方で、その維持管理には継続的なコストがかかります。清掃費、設備の点検・修理費、光熱費などが必要となり、これらはすべて管理費として住民が負担することになります。高級化すればするほど、管理費も高額になるという構造があるのです。

第二の要因は「人件費の高騰」です。管理費の大部分を占めるのは管理会社への業務委託費用であり、その中でも人件費の割合が最も大きいとされています。近年の人手不足や最低賃金の上昇により、マンション管理に携わるスタッフの人件費は年々上昇しています。特に、マンション管理では日本語でのコミュニケーションが必要なため、外国人労働者への代替が難しく、人件費の上昇を抑制することが困難な状況にあります。

管理費の内訳

また、新築分譲マンションにおいては、管理会社が初期設定の段階から人件費の高騰を見込んだ管理費を設定する傾向があります。これは、マンション管理組合が設立された後に管理費の値上げを要請することはハードルが高いためです。住民からの反対意見が出やすく、値上げが実現しにくいという事情から、最初から一定以上の利益水準を見込める金額に設定するという戦略が取られているのです。

第三の要因は「インフレと資材価格・工事費の上昇」です。2012年以降、建設資材の価格や工事費は継続的に上昇しており、特に近年はインフレの影響もあって上昇ペースが加速しています。マンションの維持修繕には定期的な大規模修繕工事が必要ですが、その費用は年々高騰しています。修繕積立金はこれらの工事に備えるためのものですが、資材価格や工事費の上昇に合わせて積立金も増額する必要があるのです。

修繕積立金の設定方式にも問題があります。多くの新築分譲マンションでは「段階増額積立方式」が採用されています。これは初期の積立金額を低く設定し、経年とともに段階的に増額していく方式です。購入時の負担を軽減するというメリットがある一方で、将来的な負担額は「均等積立方式」(最初から一定額を積み立てる方式)と比較して大きくなるというデメリットがあります。

さらに、段階増額積立方式では、積立金の増額は自動的に行われるわけではなく、その都度管理組合の総会決議によって決定する必要があります。しかし、住民の反対などにより予定通りの値上げが実現しないケースも少なくありません。その結果、長期修繕計画が形骸化し、必要な修繕工事が先送りされるというリスクも存在します。このような状況が、マンションの資産価値の低下や居住環境の悪化につながる可能性があるのです。

今後の見通しの詳細

マンション管理費・修繕積立金の上昇傾向は今後も続く見通しであり、むしろ上昇カーブはさらに急になる可能性があります。

不動産市場に詳しい牧野智博氏によれば、今後5年でさらに3〜5割の上昇が予想されるとのことです。

この予測の背景には、いくつかの要因があります。まず、修繕工事に関する資材価格や工事費の上昇が挙げられます。これまでの修繕計画で立案されていた金額では、現在の価格水準に到底追いつかない状況になっています。特に、建設業界の人手不足や資材の高騰により、大規模修繕工事の費用は年々上昇しており、この傾向は今後も続くと予想されています。

また、管理費に関しては、人件費と光熱費という2つの主要な要素がともに上昇傾向にあります。特に深刻なのは人手不足による管理要員確保の困難さです。他の業種であれば外国人労働者の活用によって人手不足を補うことも可能ですが、マンション管理においてはコミュニケーションの問題から日本人中心の配置が必要とされます。このため、人件費の上昇を抑制することが難しく、管理費の上昇は避けられない状況です。

さらに、今後の管理費上昇の大きな要因として光熱費の上昇が指摘されています。マンションの共用部分で使用される電気・ガス・水道などの光熱費は、エネルギー価格の上昇に伴って増加しています。特に、エレベーターや共用廊下の照明、給水ポンプなどの24時間稼働する設備の電気代は、電力料金の上昇によって大きく増加する可能性があります。

このような状況の中で、管理会社と管理組合の関係にも変化が生じています。管理組合は管理会社を選択する権利を持っているため、より安くて質の高い管理を提供する会社に切り替えることも選択肢の一つです。しかし、逆に管理会社の側から、管理費の支払いが低いマンションからの撤退事例も報告されています。

特に中小規模のマンションでは、管理会社が撤退した後に自主管理に移行するケースが増えています。自主管理とは、管理組合が直接管理業務を行う方式で、管理会社への委託費用を削減できるというメリットがあります。しかし、専門知識や経験が不足していると、適切な維持管理が行われず、マンションの老朽化を促進してしまうリスクもあります。

最悪の場合、適切な管理が行われないマンションはスラム化や廃墟化といった問題に発展する恐れもあります。これは個々の住民だけでなく、地域社会全体にとっても大きな問題となります。特に高経年マンションでは、管理費・修繕積立金の上昇と住民の高齢化が同時に進行するため、より深刻な状況に陥る可能性があります。

このような状況を踏まえ、国や自治体もマンション管理の適正化に向けた取り組みを強化しています。2020年には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正され、管理計画認定制度が創設されました。この制度では、適切な管理が行われているマンションを認定し、資産価値の維持・向上を図ることを目的としています。

また、一部の自治体では独自の支援策を実施しています。例えば、管理組合向けのセミナーや相談窓口の設置、専門家派遣制度、修繕工事への助成金制度などがあります。これらの支援を活用することで、管理費・修繕積立金の上昇による負担を軽減することも可能です。

マンション所有者個人としては、管理費・修繕積立金の上昇に備えた家計管理が重要になります。特に、段階増額積立方式を採用しているマンションでは、将来的な値上げを見据えた資金計画が必要です。また、管理組合の運営に積極的に参加し、適切な管理が行われているかを監視することも重要です。管理費・修繕積立金の使途が適正であるか、無駄な支出がないかをチェックすることで、不必要な値上げを防ぐことができます。

最終的には、マンション管理費・修繕積立金の上昇は避けられない現実であり、マンション所有者はこの現実を受け入れた上で、適切な対策を講じる必要があります。管理組合としては、長期的な視点に立った計画的な管理運営を行い、マンションの資産価値を維持・向上させることが求められています。また、個々の所有者も管理組合活動に積極的に参加し、マンション全体の利益を考えた行動をとることが、結果的に自分自身の資産を守ることにつながるのです。

参考リンク

 

 

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この記事を書いた人
﨑ちゃん

新築マンションに携わって30年!!
企画から販売、物件マネージャーまで。最近では仲介もやってます。宅建・FP2級・管理士持ってます。趣味が嵩じて大型バイク・潜水士も持ってます。好きなデべは地所さん、野村さん、明和さん、住不さん。

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