広島市で予定されている大規模開発の中でも、
実現性が最も薄いタワーマンションだと思っています。
西広島駅周辺の開発自体はある程度進むでしょうが、
タワーマンション建設は中止、あるいは規模の大幅縮小の可能性が高いのではないでしょうか。
西広島駅再開発「タワーマンション」 45階建て450戸の超高層計画
広島市西区で進む西広島駅南口再開発事業。地上45階、高さ162.25mの超高層タワーマンションを核とした 大規模プロジェクトの全貌が明らかになりました。2033年完成予定のこの計画について詳しく分析します。
西広島駅再開発の全体像
出典:https://gladis.jp/860/future/

Q: 西広島駅再開発の規模はどの程度なの?

A: 地上45階建て450戸のタワーマンションを含む4棟構成、総事業費数百億円規模の大型開発になる予定です。
西広島駅南口西地区第一種市街地再開発事業は、広島市西区己斐本町1丁目の約1.6ヘクタールを対象とした大規模な都市再生プロジェクトです。 この再開発の中核となるのが、地上45階、地下1階、高さ162.25メートルの超高層タワーマンションで、総戸数は約450戸を予定しています。 これは広島市西部エリアでは群を抜いた高さとなり、広島市内でも有数の超高層住宅となる見込みです。 タワーマンション以外にも、地上5階建ての商業棟、地上7階建ての商業・業務棟、そして地上3階建ての市営駐輪場棟の計4棟が建設される予定で、 これらの建物はペデストリアンデッキで結ばれ、JR西広島駅の自由通路に直接接続される計画となっています。
事業推進協力者には大林組、東畑建築事務所、復建調査設計が参画しており、 2024年度中の都市計画決定を経て、2025年から2026年にかけて事業認可および権利変換計画認可を取得し、 2027年の工事着手、2033年の完成を目指しています。 この再開発により、従来は駅周辺施設の老朽化や空き店舗の問題を抱えていた西広島駅前が、 広島市の「西の玄関口」にふさわしい近代的な街並みに生まれ変わることになります。
参考リンク:広島市公式サイト
450戸のタワーマンション

Q: タワーマンションの具体的な仕様は?

A: 地上45階建て高さ162.25m、総戸数450戸で広島市西部では最高層の住宅建築物になる予定です。
計画されているタワーマンションは、地上45階、塔屋2階、地下1階建てで、最高高さ162.25メートルという圧倒的なスケールを誇ります。 総戸数約450戸という規模は、広島市内でも有数の大型分譲マンションとなり、 建築面積約7,600平方メートル、延床面積約72,600平方メートルという巨大な建物となります。 容積率は約510%と高い数値が設定されており、土地の高度利用が図られています。 住戸構成については詳細は未発表ですが、一般的なタワーマンションの傾向から、 1LDKから4LDKまでの多様な間取りが用意されると予想されます。
建物の構成を見ると、地下1階にはバイク置場と設備室、地上1階にはエントランスロビーとゴミ置場・駐輪場、 2階には集会室とラウンジ、3階から4階には共用室と設備室が配置され、 5階から45階までが住戸フロアとなる予定です。 最上階には機械室等が設置される計画で、高層階からは広島市街地や瀬戸内海、 宮島方面まで見渡せる眺望が期待できます。 特に南向きの住戸からは平和大通りと広島の三角州に広がる街並みを一望でき、 広島らしい景観を楽しむことができるでしょう。
建物概要
共用施設
アストラムライン延伸で利便性向上

Q: 西広島駅の交通利便性はどうなの?

A: JR・広電に加え2030年頃アストラムライン延伸で3路線接続の交通拠点になるといわれています。
西広島駅の最大の魅力は、その優れた交通アクセスにあります。 現在でもJR山陽本線と広島電鉄本線・宮島線が接続する重要な交通結節点ですが、 2030年頃にはアストラムライン西風新都線の延伸により、3つの鉄道路線が集結する 広島市内でも稀有な交通拠点となる予定です。 JR山陽本線では広島駅まで約8分、横川駅まで約3分でアクセス可能で、 広島電鉄では紙屋町・八丁堀の中心部まで約20分、宮島口まで約25分と、 都心部と観光地の両方への良好なアクセスを実現しています。
アストラムライン延伸後は、本通駅まで約15分、県庁前駅まで約12分程度でのアクセスが可能となり、 広島市中心部への移動がさらに便利になります。 また、西風新都方面への直通アクセスも実現し、広域公園前駅まで約30分程度での移動が可能となる見込みです。 再開発により整備されるペデストリアンデッキは、これらの交通機関を結ぶ重要な役割を果たし、 雨に濡れることなく各路線間の乗り換えが可能となります。 さらに、宮島街道沿いのバス停も拡充され、バス交通の利便性も向上する計画です。
2033年完成に向けたロードマップ

Q: 再開発の完成はいつ頃?

A: 2027年着工、2033年完成予定でアストラムライン延伸と同時期の街開きの予定です。
年度 | 項目 | ステータス |
---|---|---|
2023 | 都市計画提案 | 完了 |
2024 | 都市計画決定 | 進行中 |
2025~2026 | 認可事業 | 予定 |
2027 | 工事準備 | 予定 |
2033 | 完了 | 予定 |
西広島駅再開発事業は、綿密に計画されたスケジュールに基づいて段階的に進められています。 2023年度に都市計画提案が行われ、現在は2024年度中の都市計画決定に向けた手続きが進行中です。 広島市は新年度予算案に、準備組合が実施する基本設計や測量などの補助として約2億8000万円を計上しており、 行政としても積極的に支援する姿勢を示しています。 2025年から2026年にかけては事業認可および権利変換計画認可の取得が予定されており、 この段階で具体的な建築計画や住戸プランなどの詳細が明らかになると予想されます。
2027年の工事着手後は、約6年間の建設期間を経て2033年の完成を目指しています。 この完成時期は、アストラムライン西風新都線の延伸開業予定である2036年より3年早く、 交通インフラの整備と歩調を合わせた街づくりが実現します。 建設工事は段階的に行われる予定で、まず基盤整備や既存建物の解体から始まり、 その後タワーマンションの建設、商業施設の整備、ペデストリアンデッキの建設という順序で進められる見込みです。 完成後は入居開始と同時に商業施設もオープンし、新しい西広島駅前の街並みが誕生することになります。
西広島エリアの変貌

Q: 再開発で地域はどう変わりそう?

A: 450戸の新規住宅供給により人口増加、商業施設整備で地域の利便性向上が予想されます。
西広島駅再開発事業は、単なる建物の建設にとどまらず、地域全体の活性化と人口増加に大きな影響を与えることが期待されています。 約450戸のタワーマンションが完成することで、仮に1戸あたり平均2.2人が居住すると仮定すると、 約1,000人の新規住民が西広島エリアに移住することになります。 これは西区の人口減少傾向に歯止めをかける重要な要素となり、 地域の活力維持と商業施設の持続的な運営にも寄与すると考えられます。 特に若い世代や子育て世帯の流入により、地域の年齢構成バランスの改善も期待できます。
商業施設の整備により、従来は中心部まで出向く必要があった買い物や各種サービスが 地元で完結できるようになり、住民の利便性が大幅に向上します。 地権者の店舗や日用品を扱うスーパー、クリニックなどが入居予定で、 日常生活に必要な機能が駅前に集約されることになります。 また、朝日医療専門学校広島校も再開発区域内に含まれており、 教育機能の維持・発展も図られる計画です。 宮島街道沿いのシャッター商店街の解体により、 広い歩道とバスベイが整備されることで、歩行者の安全性と公共交通の利便性も向上し、 高齢者にも優しい街づくりが実現します。
期待される効果
整備される施設
地域情報:広島市西区役所
まとめ
西広島駅南口再開発事業は、広島市西部エリアの不動産市場に大きなインパクトを与える 画期的なプロジェクトです。地上45階建て、総戸数450戸のタワーマンションは、 優れた交通アクセスと充実した商業機能を併せ持つ、 広島市内でも稀有な複合開発として注目を集めています。
2030年頃のアストラムライン延伸により3路線が接続する交通結節点となることで、 資産価値の長期的な安定性も期待できます。 また、450戸という大規模供給により、多様なライフスタイルに対応した住戸プランが 用意されることで、幅広い層の住宅需要を満たすことができるでしょう。
2033年の完成まで約8年という期間はありますが、 この間に周辺インフラの整備も進み、より魅力的な住環境が形成されることが予想されます。 西広島駅タワーマンションは、広島市西部の新たなランドマークとして、 そして質の高い住環境を提供する住宅として、大きな期待を集める プロジェクトと言えるでしょう。
西広島駅再開発タワーマンションの価格を妄想してみた
個人的にはタワーマンションの計画通りの実現性は極めて低いと思っていますが、仮に実現した場合、その価格はどのくらいになるのでしょうか?
西広島駅再開発タワーマンションの完成予定は2033年です。今から8年後です。
過去8年間の西区エリアの新築マンション平均坪単価の推移は以下のようになっています。
年別価格推移と前年比
年 | 価格(万円) | 前年比 |
---|---|---|
2016 | 167 | – |
2017 | 175 | +4.8% |
2018 | 168 | -4.0% |
2019 | 178 | +6.0% |
2020 | 187 | +5.1% |
2021 | 194 | +3.7% |
2022 | 188 | -3.1% |
2023 | 200 | +6.4% |
2024 | 270 | +35.0% |
年平均では約6.24%上昇しています。
8年間で約61.68%上昇しています。
2024年の270万円が異常値で、上昇率を引き上げているという意見もあるとは思いますが、現在西区で販売中の物件は平均で坪単価250万円、今後予定されている物件も250~280万円と聞いていますので、決して異常値ではありません。
庚午エリアで販売中の物件の坪単価が250万円平均になっています。西広島駅徒歩2分で販売中の「グラディス西広島駅前ザ・タワー」の坪単価が約310万円です。西区エリアの相場は坪単価200万台中盤から後半となっています。
販売中の「グラディス西広島駅前ザ・タワー」の坪単価310万円を基準にしましょう。8年後に60%ほど坪単価が上昇したら、約500万円になります。60㎡、70㎡、80㎡に換算すると、
坪単価500万円の場合の面積別価格
面積 | 価格 |
---|---|
60㎡ | 約9,063万円 |
70㎡ | 約10,574万円 |
80㎡ | 約12,085万円 |
言葉が出ません。
高い。。。
広島駅前ならまだしも、西広島駅前では・・・
「グラディス西広島駅前ザ・タワー」
出典:https://gladis.jp/860/index.html
西広島駅再開発タワーマンションの価格において、その一つの指標になると思われるのが、現在西広島駅前で分譲中の「グラディス西広島駅前ザ・タワー」です。
「グラディス西広島駅前ザ・タワー」概要
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 広島県広島市西区己斐本町一丁目14-2(地番) |
交通 | JR「西広島」駅 徒歩2分 広島電鉄「広電西広島」電停 徒歩2分 |
間取り | 1LDK、3LDK、4LDK |
面積 | 39.05㎡~102.30㎡ |
階数 | 地上20階建 |
総戸数 | 65戸 |
構造 | 鉄筋コンクリート |
売主 | 売主・事業主: 株式会社マリモ 販売代理: 株式会社AGSワークス |
施工会社 | 株式会社共立 |
設計会社 | マリモ |
管理会社 | 株式会社GMアソシエ |
土地権利 | 所有権 |
バルコニー面積 | 6.20㎡~12.40㎡ |
竣工予定時期 | 2025年06月中旬 |
敷地面積 | 815.25㎡ |
建築面積 | 390.98㎡ |
延床面積 | 5321.88㎡ |
駐車場数 | 22台 |
建ぺい率 | 90% |
容積率 | 500% |
用途地域 | 商業地域 |
坪単価 | 約310万円 |
坪単価が310万円と想定して、60㎡、70㎡、80㎡に換算すると、以下のようになります。
面積 | 価格 |
---|---|
60㎡ | 約5,620万円 |
70㎡ | 約6,550万円 |
80㎡ | 約7,490万円 |
西広島駅徒歩2分なので、ある程度売れると私も予想していましたが、現状、売れ行きは決して好調とは言えません。苦戦しているといえるでしょう。この物件が発表されて以降、近隣の坪単価220~250万円の物件が次々と完売したので、適正坪単価は280万円くらいではなかったのでしょうか。
というよりは、西広島駅に訴求力が無い!!というのが一番の要因だと考えます。
そうなると、西広島駅再開発タワーマンション計画が心配になってきます。
※本記事は公開情報を基に作成した分析記事です。
参考資料:広島市公式発表、各種報道資料、都市計画資料
コメント