新築マンションの「堂々完成」は売れ残り?
新築マンションのチラシでよく見かける
「堂々完成」
「堂々完成」とはどのような意味なのでしょうか?
読んだそのままです。堂々とは立派で、威厳があり、物怖じしない様子を表す言葉です。完成は建物が出来たという事です。簡単に言うと建物竣工を皆にアピールしている表現です。
売れ残っているから「堂々完成」チラシを入れる!!
「堂々完成」とチラシを入れたり、WEB広告をしたりするということは、まだ未販売の部屋が残っているという事です。すべての部屋が完売しているのに、わざわざ「堂々完成」と広告費をかけるデベロッパーは僅少です。一部の大規模プロジェクトくらいでしょう。
すなわち「堂々完成」とは、建物が完成してもなお、売れ残っているという意味です。
堂々としていては、まずいのではないでしょうか?
「恐縮ですが完成」
とか、
「僭越ながら完成」
などほうが合っているように思います。
(これでは広告になりませんね。)
広島でも人気のある物件は建物が完成する前に、すべてのお部屋が完売するケースが多々あります。私の感覚的になりますが、全体の約3割くらいの物件が、竣工前に完売しているように思います。そのような物件はまずは立地が良く、利便性も高く、市場の評価として割安だという事があるでしょう。あと、供給タイミングも重要です。購入しても後悔は極めて少ないでしょう。資産価値も落ちにくいといえます。
以下は別に読まんでもかまへんよ。
「堂々完成」の真の意味とは?業界の裏事情を暴露

Q: 「堂々完成」って何の意味?

A: 建物は完成したが売れ残り物件があることを示す業界用語です。
新聞やチラシで「堂々完成」という文字を見かけたことはありませんか? 一般の方にとっては、 建物が立派に完成したという良いイメージを持たれるかもしれません。しかし、不動産業界に 身を置く私たちにとって、この言葉は全く異なる意味を持っています。
「堂々完成」とは、実は建物が完成してしまったにも関わらず、まだ売れ残りの住戸を抱えて いることを意味する業界用語なのです。本来であれば、新築マンションは建物完成前に全戸 完売するのが理想的な販売計画です。それができていないということは、何らかの問題を 抱えている可能性が高いということになります。
マンション販売の事業計画では、通常1年から1年半の販売期間で建物完成時までに完売する 計画を立てています。完成までに売れなかった住戸は「完成在庫」と呼ばれ、デベロッパーに とっては早急に処分しなければならない重荷となります。なぜなら、建物が完成すれば ゼネコンや工務店に何億円という工事代金を支払わなければならず、資金繰りが厳しくなるからです。
特に中小デベロッパーの場合、お客様からの代金で工事費用や販売経費をすべて賄いたいのが 本音です。マンション販売は最後の1〜2戸を売り上げてようやく利益が出る構造になっているため、 多少値引きをしてでも売り切らなければ損失を被ることになります。
図1: 新築マンション販売計画と実績の乖離
新築マンション販売の基本戦略「青田売り」

Q: 青田売りって何ですか?

A: 建物完成前に全戸を売り切る新築マンション販売の基本戦略です。
新築マンション販売の基本は「青田売り」です。これは建物がまだ完成していない段階、 つまり青田の状態で販売を開始し、竣工前に全戸を完売させる販売手法です。 販売開始とほぼ同時に売り切り、竣工したらただちに入居開始という流れが理想的とされています。
青田売りが成功すれば、デベロッパーにとって多くのメリットがあります。まず、建設資金を 早期に回収できるため、資金繰りが安定します。また、完成前に売り切ることで在庫リスクを 回避でき、次のプロジェクトに集中できます。さらに、完成前の方が購入者の期待値も高く、 プレミアム価格での販売が可能になります。
しかし、青田売りが失敗するケースも少なくありません。立地条件が悪い、価格設定が高すぎる、 競合物件が多い、経済情勢の悪化など、様々な要因で販売が思うように進まないことがあります。 特に最近では、コロナ禍の影響で購入者の慎重姿勢が強まり、青田売りの成功率が下がっている 傾向にあります。
青田売りが失敗すると、建物完成後も売れ残り物件を抱えることになります。この段階になると、 新築のプレミアム感は薄れ、実際の建物を見て判断されるため、欠点が目立ちやすくなります。 また、入居が始まると新築感が失われ、中古物件のイメージが付いてしまうため、 販売はさらに困難になります。
完成在庫物件を見極める広告の読み方

Q: 売れ残り物件の見分け方は?

A: 「堂々完成」「即入居可」などのキーワードが完成在庫のサインです。
完成在庫物件を見極めるには、広告のキャッチコピーと細かい情報を注意深く読む必要があります。 最も分かりやすいサインは「堂々完成」「堂々竣工」といった文言です。これらは建物が完成した ことを強調していますが、裏を返せば完成してもまだ売れていない住戸があることを意味しています。
次に注目すべきは「即入居可」「実際のお部屋がご覧になれます」「現地内覧ルーム公開中」 といった表現です。これらは売れ残り物件のメリットを前面に押し出したキャッチコピーです。 確かに完成済み物件は実際の部屋を見学できるメリットがありますが、それを強調しなければ ならない状況にあるということでもあります。
広告の詳細情報も重要なチェックポイントです。「販売戸数」と「竣工日」を確認し、 竣工からかなり時間が経っているのに多くの戸数が残っている場合は、明らかに売れ行きが 悪い物件です。また、チラシの紙質や印刷の質が安っぽい場合は、販売経費を使い切って しまい、見栄えの良いチラシを作れない状況にある可能性があります。
さらに、広告に「新規分譲第○期」ではなく「クリアランス」「在庫処分」といった文言が 使われている場合は、明確に値引き販売を示唆しています。不動産業界では売れ残った住戸を 処分することを「クリアランス」と呼び、この段階では大幅な値引きが期待できます。
キャッチコピー | 意味 | 値引き可能性 |
---|---|---|
堂々完成・堂々竣工 | 建物完成後の売れ残り | 高 |
即入居可 | 完成済み在庫処分 | 高 |
実際のお部屋公開中 | 完成済みメリット強調 | 中 |
新規分譲第○期 | 計画通りの販売 | 低 |
値引き交渉を成功させる具体的テクニック

Q: 値引き交渉のコツは?

A: 購入意思と支払い能力を明確に示し、営業マンの稟議を通しやすくすることです。
値引き交渉を成功させるには、まず相手の立場を理解することが重要です。営業マンも無駄な 骨折りはしたくありません。値引きを実現するには上司への稟議書提出が必要で、それが 通りやすい条件を整えることが交渉成功の鍵となります。最も重要なのは「安くしてくれたら 確実に買う」という明確な購入意思を示すことです。
具体的な交渉テクニックとして、まず希望価格を曖昧にせずはっきりと伝えることが大切です。 「少し安くしてもらえませんか」ではなく「○○万円なら即決します」と具体的な金額を提示 しましょう。また、支払い能力があることを証明するため、事前に住宅ローンの仮審査を 通しておくか、頭金の準備ができていることを示すことも効果的です。
値引き幅については、完成からの経過期間によって大きく変わります。完成直後なら1〜3%程度、 3ヶ月後なら5〜8%、6ヶ月後なら10〜15%程度の値引きが期待できます。特に「最後の一戸」の 場合は、20%以上の大幅値引きも可能です。八百屋や魚屋と同じで、最後に残った商品は オマケしてくれるものです。
ただし、値引き交渉の際は「目先のトク」に惑わされないよう注意が必要です。「テレビを つけます」「家具一式を差し上げます」「最初の2年はローンを補助します」といった提案は、 実質的な値引きではありません。目指すべきは支払総額からの値引きです。また、一度値引き 交渉をしたら、そこからさらに引き下げることは困難なので、最初から希望する価格を 明確に伝えることが重要です。
完成からの経過期間別値引き率
完成済み未入居物件購入時の注意点とメリット

Q: 完成済み物件の注意点は?

A: 2年経過で中古扱いとなり、住宅ローンが組みにくくなる点です。
完成済み未入居物件の購入には、メリットとデメリットの両面があります。最大のメリットは 実際の建物を確認できることです。日当たり、眺望、騒音レベル、建物の仕上がり具合など、 図面や模型では分からない部分を実際に体験できます。また、すぐに入居できるため、 賃貸住宅の更新時期に合わせた購入や、急な転勤などにも対応できます。
一方で、注意すべき点もあります。最も重要なのは、新築分譲マンションは完成から2年が 経過すると中古物件として扱われることです。金融機関の査定価格も下がり、住宅ローンが 組みにくくなります。また、住宅ローン控除の適用条件も厳しくなる場合があります。 そのため、完成から1年以内の物件を選ぶことが重要です。
完成済み物件を検討する際は、なぜ売れ残ったのかの理由を必ず確認しましょう。立地条件、 価格設定、間取り、周辺環境など、何らかのマイナス要因がある可能性があります。 ただし、そのマイナス要因が自分にとって問題にならない場合は、逆にお買い得物件と なる可能性があります。例えば、駅から遠いが車通勤なので問題ない、近くに商業施設が あるが騒音は気にならないなどです。
購入を決断する前に、周辺の中古マンション相場と比較することも大切です。値引き後の 価格が周辺相場より高い場合は、さらなる交渉の余地があります。また、管理費や修繕 積立金の設定が適正かどうかも確認しましょう。売れ残り物件の中には、これらの費用を 安く設定して見かけの負担を軽くしている場合があり、将来的に大幅な値上げが予想される ケースもあります。
完成済み物件のメリット
• 日当たりや眺望を体験可能
• 即入居が可能
• 建物の仕上がりを確認
• 値引き交渉の可能性
• 周辺環境の実際の状況
完成済み物件のデメリット
• 住宅ローンが組みにくい
• 新築プレミアム感の喪失
• 売れ残り理由の存在
• 選択肢の限定
• 入居済み住戸の影響
まとめ
「堂々完成」という言葉は、一見すると建物の完成を祝う前向きな表現に見えますが、 実際は売れ残り物件の存在を示すサインです。しかし、購入者にとってはこれを チャンスと捉えることができます。適切な知識と交渉テクニックを身につければ、 大幅な値引きでお得に新築マンションを購入することが可能です。
重要なのは、広告の読み方を理解し、完成からの経過期間を把握し、具体的な 値引き交渉を行うことです。ただし、なぜ売れ残ったのかの理由を必ず確認し、 自分にとって問題にならないかを慎重に判断することも大切です。
新築マンション購入は人生最大の買い物の一つです。「堂々完成」の真の意味を 理解し、賢い購入者として有利な条件で理想の住まいを手に入れましょう。
関連リンク・参考資料
- 国土交通省 – 不動産取引に関する法令・制度
- 不動産流通機構 – 不動産市場データ
- 住宅金融支援機構 – 住宅ローン情報
- マンション管理業協会 – マンション管理情報
- 全国宅地建物取引業協会連合会 – 不動産取引の基礎知識
コメント