重要事項説明書のチェックポイント
不動産には、さまざまな法律上の制限や権利関係などが存在しています。分譲マンション契約関しても同じことです。それらについて、購人者が自分ですべてを調べることは困難であるため、宅地建物取引業法では、不動産業者がこれらの法律の制限や権利関係などについて「重要事項説明」を行なうことを義務づけています。
「重要事項説明」の説明は、購入者がその不動産について購入するかどうかを決める重要な内容になるので、「契約が成立するまでの問」に宅地建物取引主任者により説明しなければならないと決められています。また、説明する取引主任者は、取引主任者証を提示し、書類に捺印をする必要があります。説明が終わると、「重要事項説明を受けて、その内容を理解した」との署名・捺印を購入者がすることになります。この署名・捺印を行なうと、当該不動産について購入者は「重要事項説明」に記載された内容をr解したうえで契約したことになります。
◆事前に目を通しておく
マンション・一戸建て、新築・中古を問わず、住宅の売買では、売主や仲介業者は契約の前に重要事項説明義務があります。宅地建物取引主任者がおこなうことになっており、「必ず」しなくてはいけません。重要事項の内容は多岐にわたり、専門用語も多いため、素人にとってはなかなか理解しにくいものです。にもかかわらず、重要事項説明は契約の直前におこなうケースが多く見られます。新築マンションの場合は、入居予定者全員を集めて、一気に説明してしまうこともあるようです。形式的な重要事項の説明のあと、その内容を理解したとみなされ、すぐに契約に入ってしまうという流れは避けたいところです。
重要事項説明かおこなわれる前に、あらかじめ重要事項説明書の見本などを送ってもらうようにしましょう。内容をしっかり理解して、当日に質問するべき疑問点を整理しておきましょう。あとで「しまった」と思うことのないように、熟読しておいてください。重要事項説明は契約前の正念場、不明な点は迷わず質問することが重要です。しっかり理解・納得してから署名捺印しよう。
中古マンションは、「グレーゾーン」の確認を
中古マンションの場合、物件選びの段階で確認しておくべきですが、どういう理由で売りに出ているかも説明してもらうようにしましょう。登記上の所有権や抵当権にかかわってくる可能性があるからです。
また、管理費や修繕積み立て金の未納の有無、未納があった場合は売主・買主のどちらが負担するのか、滞納金があった場合でも所有権移転がスムーズにできるのかを確認してください。こうしたことは、重要事項説明義務に含まれてはいません。しかし、中古マンションの場合、重要事項説明義務の範暗にはないけれど、権利や金銭負担などのように契約前に確認しておくべき「グレ-ゾーン」ともいえる事柄があることを覚えておいてください。
事前に内容確認できないなら契約日の変更を
重要事項の説明を受ける日を決める際に、売主や仲介業者から、「その日は契約日なので手付金とハンコを持参するように」といわれることがあります。そのような場合は、「事前に重要事項説明書の内容を確認できないなら、その日に契約はできない」と主張しましょう。
「重要事項説明書がギリギリにしか完成しないので送付できない」というようであれば、「その「」は重要事項説明だけ受けて、契約は日を改めて」と提案することです。ぶっつけ本番で重要事項の説明をされても、内容を完全に理解することは困難です。しかし、理解していないにもかかわらず、手付金やハンコを持参していると雰囲気でそのまま契約まで流されてしまう可能性が高いのです。説明が終わると、重要事項説明書に署名捺印を求められます。それは、あなたが「この内容を理解したうえで、受け入れた」ということの証明になります。マンション購入にあたっては、いつ、いかなる場合でも、完全に内容を理解・納得したうえでなければ「署名捺印」してはいけません。
◆重要事項説明を理解するためのチェックリスト
【説明をおこなう取引主任者】
【取引の態様】
【物件の概要】
【登記簿に記載された事項】
【都市計画法・建築基準法に基づく制限】
【上記以外の法律に基づく制限】
【私道に関する負担に関する事項】
【飲料水・電気・ガスの供給施設および排水施設の設備状況】
【完成時の形状・構造(未完成物件の場合)】
【当該宅地建物が土砂災害警戒区域か否か】
【住宅性能評価を受けた新築住宅である場合】
【敷地に関する権利】
【専有部分・共用部分】
【管理規約の定め】
【修繕積み立て金】
【代金・諸費用の支払い】
【契約解除に関する事項】
【損害賠償額の予定または違約金に関する事項】
【手付金などの保全措】
【ローン内容と諸費用】
【供託先など】
【署名捺印】
「重要事項」以外も確認すること
法律で「重要事項説明」で記載することが定められていない項目でも、疑問に思ったことは、不動産業者に確認をとり、書面にしてもらっておくほうが安心です。またそのような質問に誠実に対応してくれない不動産業者や「重要事項説明」の内容を早めに教えてくれないような業者は、購入者の立場に立って相談に乗ってくれる業者ではないと思って間違いないでしょう。もし、説明を受けて納得できない内容があれば、契約を延ばしてでも専門家に相談しましょう。
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