中古マンションの購入後の調査結果|なぜ中古マンションを選ぶのか?
MEMOCOとスムナラが実施した2本のアンケート結果(119人・105人)を横断的に読み解き、 中古マンション購入後の満足度と、その選択理由を掘り下げます。調査はインターネットで実施され、 男女・年代の広がりを持つ回答から、価格メリット・立地優位・リノベ前提の柔軟性といった「選ばれる根拠」が可視化されました。 本稿では、なぜ99%が「買ってよかった」と答えるのか、データと実例コメントの論点を整理し、 これから中古を検討する読者のために、実務的な着眼点と意思決定プロセスを提示します。
公開: 2025年8月11日 10:00(MEMOCO/スムナラ調査をもとに作成)
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中古マンションが人気を集める背景

Q. なぜ新築より中古が現実的なのかですか?

A. 価格負担を抑えつつ希望立地と面積を確保し、リノベで理想へ近づける選択肢だからです。
いまなぜ中古マンションが選ばれているのか。答えは単純な価格差にとどまりません。価格の手頃さは入口に過ぎず、 実際には立地へのアクセス、周辺インフラの成熟、間取りと専有面積の取り回し、さらにリノベーションによる設計自由度まで、 複数の意思決定要素が重なり合っています。新築に付随するプレミアム価格が剥落した後の取得であることは、 経済的合理性としての納得感を生み、毎月のキャッシュフローやライフイベントに合わせた柔軟な資金計画を可能にします。 一方で、築年や管理状況、修繕履歴といった品質の見極めは欠かせません。今回の調査では、価格と立地のバランスを重視する傾向が、 世代・性別を問わず共通項として浮かび上がりました。新築志向は依然として根強いものの、 生活の利便性や将来の可変性を優先する現実的な選択が、結果として高い満足度に結びついていることがわかります。
調査設計の輪郭と回答者像

Q. 回答者の中心世代はどこですか?

A. 30〜40代が厚く、家族・通勤の要件と資金計画の両立が主題となっています。
本稿で参照するのは、MEMOCOとスムナラが合同で実施した二つのインターネット調査です。 一つ目は中古マンションの購入後満足度に関する調査で、調査期間は2025年3月8日から8月1日、回答者は119人(男性69人、女性50人)です。 二つ目は中古マンションを選んだ理由と満足感に関する調査で、期間は2025年1月29日から6月20日、回答者は105人(男性57人、女性48人)です。 年代構成はいずれも30〜40代が厚く、20代と50代がそれに続き、60代以上は少数ながらも含まれます。 この分布は、家族構成の変化や通勤・教育環境の最適化が同時に求められるライフステージが、 中古マンション選択の中心的文脈にあることを示唆します。性別では男性比率がやや高いものの、 満足度に関しては男女で有意な差は観測されず、動機のニュアンスに違いが見られる程度でした。
回答者の性別(119人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 国土交通省
回答者の年代分布(119人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 住宅金融支援機構
新築志向とのせめぎ合い:中古マンションの現実

Q. 中古希望が多数派なのはなぜですか?

A. 価格と立地の両立がしやすく、現物確認の安心感が総合満足につながるためです。
中古マンション購入の希望度を見ると、「希望していた」「どちらかといえば希望していた」の合計は約79%に達し、 新築への憧れを保ちながらも最終的に中古という選択を積極的に評価する態度が多数派であることがわかります。 これは価格と立地、生活動線、将来の選択可能性といった複数の要因を総合的に考えた結果であり、 「新築で叶わない条件を中古で満たす」という戦略的な意思決定が広く行われていることを意味します。 新築を選ばなかった人の多くは、費用対効果の観点からの納得感と、即入居・現物確認のしやすさを挙げています。
中古マンション購入の希望度(119人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 国土交通省
中古マンション選択理由:価格・立地

Q. 最も大きな決め手は何ですか?

A. 価格の手頃さが核で、同予算で条件を底上げできる「費用対効果」が評価されています。
105人調査の「選んだ理由」では、「価格が手頃」が44%で圧倒的首位、次いで「希望の立地」24%、 「希望の地域」18%が続きます。価格差は単なる“安さ”ではなく、同予算内で広さ・眺望・駅距離・階層・共用部水準など 条件の質を引き上げるレバレッジとして機能します。さらに、中古は「新築プレミアム」が剥落した後であるため、 将来の価格下落耐性についても合理的に評価しやすいという声が目立ちます。一方で、間取りや内装の好み、 そして「資産価値が下がりにくい」という期待も少数ながら一定数あり、立地×価格×状態という三変数の掛け算が 意思決定の骨格になっていることが見て取れます。
中古マンションを選んだ理由(105人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: リノベーション協議会
99%が肯定する「満足度の正体」

Q. 高満足の最大の理由は何ですか?

A. 価格納得と実住性能の一致、現物確認の確からしさが購入後のギャップを縮めるためです。
満足度の結果は鮮烈です。119人調査では「満足」「どちらかというと満足」の合計が約99%、 105人調査でも「選んでよかった」「どちらかというと選んでよかった」の合計が約99%に達しました。 満足理由の具体には、価格への納得感、予想以上の住み心地、リフォーム・リノベによる体感価値の上乗せ、 そして生活利便性の改善が並びます。重要なのは、購入前に描いた期待値を「現物の確からしさ」で裏付けできる点です。 現地での日照・騒音・動線・共用部の体感、周辺インフラの成熟度、通勤通学のシミュレーションなど、 事前検証のしやすさが期待値管理を精緻にし、購入後のギャップを小さく抑えます。これが高い満足度の構造的な背景です。
購入後の満足度(119人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 住宅金融支援機構
選択満足の評価(105人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: リノベーション協議会
世代・性別で読む動機と評価のニュアンス

Q. 性別・世代で満足は違いますか?

A. 動機に差は見えるが、満足度は概ね同水準で結論は類似しています。
世代別にみると、20代は初回購入と価格重視が中心で、理想に届くリノベ前提の発想が際立ちます。 30〜40代は家族の快適性と通勤通学の利便を重視し、同予算で広さや設備を底上げできる点に満足が集中します。 50代以上は生活保守性や利便性、防犯・管理の安心感、将来的な資産価値の維持をより重視する傾向です。 性別では、女性は生活利便や状態(綺麗さ、管理、日当たり)への感度が高く、男性は価格や合理性、 新築プレミアムの剥落を織り込んだ評価が目立ちます。ただし、購入後満足に大差はなく、異なる動機が 同じ結論に収斂していることが本調査のユニークな点です。これは中古マンション市場の「用途適合性の広さ」、 すなわち多様なライフコースに対応できる受け皿であることを意味します。
回答者の年代分布(105人調査)
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 住宅金融支援機構
二つの調査概要の比較
項目 | 満足度調査(119人) | 理由・満足感調査(105人) |
---|---|---|
調査方法 | インターネット(クラウドソーシング) | インターネット(クラウドソーシング) |
期間 | 2025/03/08〜2025/08/01 | 2025/01/29〜2025/06/20 |
性別構成 | 男性58% / 女性42% | 男性54% / 女性46% |
年代の厚み | 30〜40代中心(20代/50代が続く) | 40代大、30代・50代・20代順 |
主な論点 | 購入希望度と満足度、実住評価 | 選択理由(価格・立地)と満足感 |
出典: スムナラ(本アンケート)|MEMOCO 参考: 国土交通省
実践に向けた視点:中古を賢く選ぶ

Q. 中古選びの最重要チェックは何?

A. 管理・修繕履歴とリノベ可否、総費用把握、現地体感の三点を具体的に検証することです。
データが示すのは、価格と立地の両立、そして現物確認可能性が中古の強さを支えているという事実です。 実践面では、第一に管理状況と修繕履歴の確認が欠かせません。長期修繕計画の実効性、積立金と修繕実績の整合性、 共用部の維持水準は実住品質に直結します。第二に、リノベ前提の場合は躯体条件(配管・配線経路、壁式/ラーメン、二重床天井の可変性)、 管理規約の工事制約、近隣住戸との騒音規定などを事前に押さえます。第三に、資金計画では総費用(物件価格、仲介手数料、登記、 住宅ローン諸費用、リフォーム費、引越し費、家具家電)を一枚の表に統合し、将来の金利変動や大規模修繕時期に備えた クッション資金を確保します。最後に、日照・通風・音・匂い・眺望・動線といった体感値は、図面では読み切れません。 複数時間帯での内見、通勤経路の実地確認、周辺生活のリズム観察が、購入後の満足を決定づけます。調査が語る「ほぼ全員が満足」 の裏側には、こうした準備の積み上げが存在します。
回答者の性別(105人調査)
参考・出典リンク
調査出典: スムナラ(アンケート)|MEMOCO(編集・分析)
参考リンク: 国土交通省 / 住宅金融支援機構 / 一般社団法人リノベーション協議会
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