「プレミスト相生通り」中古価格分析
このページは過去の記事プレミスト相生通りリバーサイド【中古・査定に行きました!!】に、ご要望をいただいたので、過去の取引事例を含めて再構成しました。
プレミスト相生通りリバーサイドの概要
プレミスト相生通りリバーサイドは、大和ハウス工業が手掛ける高級マンションブランド「プレミスト」シリーズの一つです。立地条件、建物のクオリティ、共用施設の充実度など、多くの面で高い評価を得ており、中古市場においても安定した人気を誇っています。
新築時はもちろん、中古市場においても高い需要があり、資産価値の維持が期待できるマンションとして知られています。今回は、このプレミスト相生通りリバーサイドの中古物件市場について、実際の取引データを基に詳細な分析を行っていきます。
階 | 価格 | 広さ | 間取り | 管理費 | 修繕費 | 取引状況 |
---|---|---|---|---|---|---|
11階 | 4,490万円 | 73.44㎡ | 3LDK | 11,000円 | 10,400円 | 2023年7月済 |
4階 | 4,080万円 | 72.58㎡ | 3LDK | 10,900円 | 10,200円 | 2021年5月済 |
4階(角) | 4,990万円 | 78.45㎡ | 4LDK | 11,800円 | 14,400円 | 販売中 |
7階 | 4,480万円 | 66.96㎡ | 3LDK | 10,000円 | 12,300円 | 販売中 |
2025年5月18日時点
価格比較分析
まず、4つの物件の価格を比較してみましょう。価格だけを見ると、4階(角部屋)が最も高く4,990万円、4階の中部屋物件が最も安く4,080万円となっています。しかし、単純な価格比較だけでは物件の真の価値を判断することはできません。広さや階数、角部屋かどうかなど、様々な要素が価格に影響を与えているためです。
上記のグラフからわかるように、同じ4階でも角部屋(物件3)は中部屋(物件1)と比較して約900万円高い価格設定となっています。これは角部屋の特性(採光や通風の良さ、プライバシー性の高さなど)に加え、広さが約6㎡大きいことが主な要因と考えられます。
坪単価分析
日本の不動産市場では、平米単価だけでなく坪単価(1坪=約3.3㎡)での表示も一般的です。ここでは、各物件の坪単価を算出し、比較分析を行います。
物件 | 価格(万円) | 専有面積(㎡) | 専有面積(坪) | 平米単価(万円/㎡) | 坪単価(万円/坪) | 取引状況 |
---|---|---|---|---|---|---|
4階 | 4,080 | 72.58 | 21.99 | 56.21 | 185.49 | 2021年5月済 |
11階 | 4,490 | 73.44 | 22.25 | 61.14 | 201.76 | 2023年7月済 |
4階(角) | 4,990 | 78.45 | 23.77 | 63.61 | 209.91 | 販売中 |
7階 | 4,480 | 66.96 | 20.29 | 66.91 | 220.80 | 販売中 |
坪単価で比較すると、平米単価と同様の傾向が見られますが、より日本の不動産市場における一般的な価格感覚で理解しやすくなります。最も坪単価が高いのは7階の物件で、220.80万円/坪となっています。これは中心部のマンションとしては標準的な水準と言えるでしょう。
一方、最も坪単価が低いのは4階の一般物件で、185.49万円/坪です。この物件は2021年に取引されたものであり、現在の市場価格と比較すると割安感があります。特に、同じ4階でも角部屋の坪単価(209.91万円/坪)と比較すると、約24万円/坪の差があります。
坪単価の観点から見ると、プレミスト相生通の物件は185〜221万円/坪の範囲に分布しており、この価格帯は中心部の大手マンションとしては一般的な水準です。ただし、同じマンション内でも約35万円/坪の価格差があることから、物件選びの際には立地や間取りだけでなく、価格効率も重要な判断基準となるでしょう。
平米単価分析
次に、各物件の平米単価(万円/㎡)を算出し、比較してみましょう。平米単価は、物件の価格を専有面積で割ることで求められます。これにより、広さの違いを考慮した上での価格比較が可能になります。
物件 | 価格(万円) | 専有面積(㎡) | 平米単価(万円/㎡) | 取引状況 |
---|---|---|---|---|
4階 | 4,080 | 72.58 | 56.21 | 2021年5月済 |
11階 | 4,490 | 73.44 | 61.14 | 2023年7月済 |
4階(角) | 4,990 | 78.45 | 63.61 | 販売中 |
7階 | 4,480 | 66.96 | 66.91 | 販売中 |

時間経過による価格変動分析
次に、取引時期の違いによる価格変動を分析してみましょう。今回のデータには、2021年5月に取引された物件と2023年7月に取引された物件が含まれています。この約2年間で、プレミスト相生通の物件価格にどのような変化があったのかを検証します。
比較対象として最も適しているのは、4階と11階の物件です。これらは共に3LDKで、専有面積もほぼ同じ(4階:72.58㎡、11階:73.44㎡)です。階数の違いはありますが、それを考慮した上で価格変動を分析します。
時間経過による価格変動
2021年5月に4階の物件が4,080万円で取引され、2023年7月に11階の物件が4,490万円で取引されています。単純な価格差は410万円ですが、これには階数による価格上昇効果も含まれています。
しかし、この期間は新型コロナウイルスの影響や不動産市場の変動など、様々な要因が絡み合っていた時期でもあります。また、個別の取引事情(売主の急な売却ニーズなど)も価格に影響を与えている可能性があるため、単純に市場価値が下落したと結論づけることはできません。
現在販売中の物件の価格妥当性分析
現在販売中の2つの物件(4階角部屋と7階)について、過去の取引事例と比較しながら、その価格設定の妥当性を検討してみましょう。
4階角部屋(4,990万円、78.45㎡、4LDK)
この物件は、2021年5月に取引された4階の一般物件(4,080万円、72.58㎡、3LDK)と階数は同じですが、角部屋であること、専有面積が約6㎡大きいこと、間取りが4LDKであることが異なります。価格差は910万円です。
角部屋のプレミアムは一般的に5〜10%程度と言われており、4階一般物件の価格4,080万円に7.5%のプレミアムを加えると約4,386万円となります。さらに、専有面積の差(約6㎡)を平米単価(56.21万円/㎡)で換算すると約337万円の価値があります。これらを合計すると約4,723万円となり、現在の販売価格4,990万円はやや高めの設定と言えるかもしれません。
ただし、間取りが3LDKから4LDKに変わっていることによる付加価値や、2021年から現在までの市場価格の上昇を考慮すると、必ずしも割高とは言い切れません。特に、4LDKという間取りは家族世帯にとって魅力的であり、需要が高い可能性があります。
7階(4,480万円、66.96㎡、3LDK)
この物件は、2021年5月に取引された4階の物件(4,080万円、72.58㎡、3LDK)と比較すると、階数が3階分高いものの、専有面積が約5.6㎡小さくなっています。価格差は400万円です。
階数による価格上昇効果(1階あたり2%と仮定)を考慮すると、3階分で約6%の上昇となり、4階物件の価格4,080万円に6%を加えると約4,325万円となります。一方、専有面積の差(約5.6㎡)を平米単価(56.21万円/㎡)で換算すると約315万円の価値減少となります。これらを相殺すると約4,010万円となり、現在の販売価格4,480万円はやや高めの設定と言えるかもしれません。
ただし、この物件は平米単価が最も高く(66.91万円/㎡)、コンパクトながら効率的な間取りが評価されている可能性があります。また、2021年から現在までの市場価格の上昇も考慮する必要があります。
管理費・修繕積立金の分析
マンション購入を検討する際、月々の管理費や修繕積立金も重要な検討要素です。これらの費用は、マンションの資産価値の維持や快適な住環境の確保に直結するものであり、適切な金額設定がなされているかを確認することが重要です。
物件 | 専有面積(㎡) | 管理費(円) | 修繕積立金(円) | 合計(円) | ㎡あたり(円/㎡) |
---|---|---|---|---|---|
4階 | 72.58 | 10,900 | 10,200 | 21,100 | 291 |
11階 | 73.44 | 11,000 | 10,400 | 21,400 | 291 |
4階(角) | 78.45 | 11,800 | 14,400 | 26,200 | 334 |
7階 | 66.96 | 10,000 | 12,300 | 22,300 | 333 |

上記の表とグラフから、いくつかの興味深い点が見えてきます。まず、管理費は専有面積にほぼ比例して設定されているようです。一方、修繕積立金については、取引済みの物件(4階と11階)と比較して、現在販売中の物件(4階角部屋と7階)の方が高く設定されています。
特に注目すべきは、㎡あたりの管理費・修繕積立金の合計額です。取引済みの2物件はともに291円/㎡であるのに対し、販売中の2物件は334円/㎡と333円/㎡となっており、約15%高くなっています。これは、修繕積立金の値上げが行われた可能性を示唆しています。
修繕積立金の値上げは、マンションの長期的な資産価値維持のためには必要な措置ですが、購入検討者にとっては月々の負担増となります。ただし、適切な修繕計画に基づいた積立金の設定は、将来的な大規模修繕時の一時金徴収リスクを軽減するメリットもあります。
まとめと今後の見通し
プレミスト相生通の中古物件市場について、様々な角度から分析してきました。その結果、以下のような特徴が明らかになりました。
- 坪単価は約185~220万円/㎡の範囲にあり、専有面積が小さい物件ほど坪単価が高い傾向がある
- 階数による価格上昇効果は確認できるが、それ以上に専有面積や間取り、角部屋かどうかといった要素が価格に大きな影響を与えている
- 現在販売中の物件は、過去の取引事例と比較するとやや高めの価格設定となっている可能性がある
- 管理費・修繕積立金は、最近になって値上げされた可能性がある
- 修繕費が均等積み立て方式のため高い
今後の見通しとしては、以下のような点が考えられます。
- 金利上昇の影響により、不動産市場全体が調整局面に入る可能性がある
- 一方で、プレミスト相生通のような優良物件は、相対的に価格の下落幅が小さく、資産価値が維持される可能性が高い
- 修繕積立金の値上げは、マンションの資産価値維持のための適切な措置であり、長期的にはプラスに評価される
- 近隣同条件の物件と比較すると、大幅に修繕費が高いため、購入者のハードルの一つとなる
以上の分析から、プレミスト相生通の中古物件は、実需目的・投資目的いずれの場合も、長期的な視点で評価すべき物件であると言えるでしょう。特に、立地条件の良さや建物の品質から、将来的な資産価値の維持が期待できる点は、不安定な経済環境においても安心感を与えてくれるポイントです。
ただし、現在販売中の物件については、価格交渉の余地がある可能性も示唆されています。購入を検討される方は、本分析を参考にしつつ、自身のライフプランや投資戦略に合わせた判断をされることをお勧めします。
参考情報
※本分析は、提供されたデータに基づく推計値であり、実際の市場価値や将来の価格動向を保証するものではありません。不動産の購入・売却を検討される際は、専門家にご相談ください。
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