広島でも「億ション」- 新築マンション価格高騰
2024年に東京23区で売り出された新築マンションの平均価格が、1億1181万円だったことが大きな話題になりましたが、
広島も負けていません!!
今回は広島の「億ション」をご紹介しましょう。
広島の「億ション」はどこ?
価格未定は予想坪単価から計算すると、たぶん1億円を超えてくると思います。
価格動向【広島新築マンション】
坪単価の推移【広島市新築マンション価格】
広島でも億ションが増えている要因は新築マンションの価格高騰です。広島県内の新築分譲マンション平均価格は2024年時点で約5372万円(広島市)と前年から31.8%上昇し、過去10年で最高値を更新しています。SUUMO掲載データによると県全体の平均価格は約4,467万円で、最高価格帯は1億7000万円に達しています。近年では中区・南区など中心部において広島市の坪単価(1坪あたり価格)も急上昇し、2017年の平均191万円から2024年には267万円へと3割超の上昇が見られます。8年前の2015年には約3950万円だった県内平均価格も2023年には約4300万円へと高騰しており、価格帯全体が押し上げられています。
広島市中心部の供給戸数と立地傾向
広島市内の新築マンション供給戸数は、2023年に約1508戸と前年(約688戸)の倍増となった後、2024年は約807戸に半減しました。特に市中心部(中区、南区、東区、西区)での供給が中心で、大手デベロッパーによる大規模プロジェクトが相次いでいます。例えば中区では高層タワーマンション計画が進行中で、南区段原では「ラルステージ段原 THE MiD」が最高価格帯1億7000万円で販売されているなど高額物件の供給が目立ちます。供給戸数の増加に伴い郊外よりも都心駅近・再開発エリアに新築が集中しており、市街地中心部の人気が顕著です。
価格高騰の主な要因【億ション】
広島市内の高級マンション価格が高騰している背景には、複数の要因が絡み合っています。単純な需要と供給のバランスだけでなく、社会経済的な変化や政策的な影響、さらには消費者のライフスタイルの変化など、多角的な視点から分析する必要があります。ここでは、主な要因を詳細に分析していきます。
1.建築コスト・人件費・資材価格上昇の影響
全国的な建築資材価格や人件費の高騰が、広島市のマンション価格上昇の主因とされています。2020年代に入り鉄筋コンクリートや鋼材、木材など資材費が大幅に上昇し、建設業界の人手不足も進行しています。これにより単価が高いマンションを採算に載せるために販売価格が上昇し、広島市の新築平均価格も上昇が続いています。また、住宅用地の取得コスト増も重なり、広島市内中心部の土地価格は近年上昇傾向が続いています(後述する地価動向参照)。
2.富裕層や県外投資家の流入動向
高額物件を購入する層には富裕層や投資家が多く、資産1億円以上の「パワーカップル」やシニア層が高級マンションを購入しています。SUUMOジャーナルによれば、都市部の好立地マンションの購入者は金融資産1億円以上の富裕層が中心であり、生活品質を重視した高級仕様を求める傾向があります。こうした購入層は広島県外にも存在し、東京圏など価格が高騰する都心からの移住希望者やセカンドハウス需要も徐々に増えています。具体的な県外投資家比率の公表はありませんが、全国的に豊富な金融資産層が価格上昇局面でも高額物件を買い進めており、広島の「億ション」市場にも影響を与えています。
3.低金利政策の長期化
日本銀行の低金利政策の長期化により、住宅ローンの金利が歴史的な低水準で推移していることも、高額物件の購入を後押ししています。変動金利型の住宅ローンでは0.5%を下回る金利も珍しくなく、借入コストの低さが購入意欲を刺激しています。
例えば、1億円の住宅ローンを35年返済で組んだ場合、金利1%と2%では月々の返済額に約5万円の差が生じます。この差は年間60万円、35年間で2,100万円以上の差になります。このような低金利環境は、より高額な物件への投資判断を後押ししています。
借入額 | 金利 | 返済期間 | 月々の返済額 | 総返済額 | 金利負担額 |
---|---|---|---|---|---|
1億円 | 0.5% | 35年 | 約25.8万円 | 約1億800万円 | 約800万円 |
1億円 | 1.0% | 35年 | 約28.6万円 | 約1億2,000万円 | 約2,000万円 |
1億円 | 2.0% | 35年 | 約33.9万円 | 約1億4,200万円 | 約4,200万円 |
1億円 | 3.0% | 35年 | 約39.7万円 | 約1億6,700万円 | 約6,700万円 |
4.将来の供給見通しや地価推移予測
将来の供給については少子高齢化や建設遅延もあり、短期では供給減少が見込まれます。不動産経済研究所によれば首都圏以外の地方都市では2024→2025年に供給戸数減少が予想されており、広島市でも供給計画数が落ち着く可能性があります。地価については、国土交通省の地価公示で広島市の地価は上昇が続いており、2024年時点でも広島市中心部では前年を上回っています。大和不動産鑑定の調査でも、札幌・仙台・広島・福岡の地方4市では2024年まで11年連続で全用途の地価が上昇しており、その上昇率も高い水準で維持されています。今後も商業地・住宅地ともに市中心部で需要が堅調とみられるため、地価高騰が続くことが予想されます。
他エリア(福岡・大阪・東京)との比較
福岡市や大阪市、東京23区と比べると、広島市のマンション価格は相対的に低めですが、上昇率は同様に高い傾向があります。
福岡市では2023年に約2946戸が供給されるなど広域からの需要が大きく、新築平均価格も近年は上昇傾向です。大阪市では新築平均が東京に次いで高く、DREレポートでは2024年地価公示で大阪圏全体の地価上昇率が+1.5%(住宅地)となっており、東京23区の+3.4%を下回りながらも堅調な伸びを示しています。東京23区では2023年平均価格が1億円を超えており、価格帯の桁が異なりますが、広島市も価格高騰の局面では投資マネーや富裕層の関心を集めています。
福岡・大阪・東京はいずれも需要規模が大きいため供給戸数も多く、相対的に広島の高額物件市場は小規模ではありますが、全国的な資産増や地価上昇トレンドの中で、広島もその波に乗りつつあります。
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