広島市 中古マンション市場【2024年】
市場概要
2024年の広島市における中古マンション価格相場は37.2万円/㎡(坪単価122.9万円/坪)となっています。 前年(2023年)と比較して+7.2%(+2.5万円/㎡)と堅調な上昇を続けています。 この相場は広島市内で取引された802件の売却価格データを基に算出されており、 標準的な中古マンションの価格指標となっています。
広島市の中古マンション市場は、コロナ禍を経て2021年以降、着実な回復と成長を見せています。 特に南区と東区では17%を超える大幅な価格上昇が見られ、市場全体を牽引しています。 一方で、安芸区や佐伯区では価格下落が確認されており、エリアによる二極化が進んでいます。
このレポートでは、広島市の中古マンション市場について、価格推移、エリア別の特徴、 築年数による価値変動など、様々な角度から詳細に分析していきます。 不動産購入や投資を検討されている方々にとって、有益な情報となれば幸いです。
主要指標(2024年)広島市中古マンション市況
平均価格
平均築年数
平均専有面積
平均駅距離
取引件数
データ出典: ウチノカチ – 広島市の中古マンション価格相場
価格推移【広島市中古マンション市場】
広島市の中古マンション価格は、2010年代前半から緩やかな上昇傾向にありましたが、 2020年以降はより顕著な上昇を示しています。特に2023年から2024年にかけては 7.2%という高い上昇率を記録しました。
年 | 平均単価 | 前年比 | 取引件数 | 平均築年数 | 平均駅距離 |
---|---|---|---|---|---|
2024年 | 37.2万円/㎡ | +7.2% | 802件 | 24.9年 | 12.4分 |
2023年 | 34.7万円/㎡ | +4.3% | 1,101件 | 25.4年 | 12.8分 |
2022年 | 33.2万円/㎡ | +4.0% | 1,114件 | 25.2年 | 13.4分 |
2021年 | 32.0万円/㎡ | -5.1% | 1,004件 | 23.8年 | 13.2分 |
2020年 | 33.7万円/㎡ | +2.8% | 287件 | 20.9年 | 24.8分 |
2019年 | 32.8万円/㎡ | +5.8% | 294件 | 21.9年 | 25.3分 |
広島市中古マンション価格推移(2014-2024年)

過去10年間の推移を見ると、2014年の24.3万円/㎡から2024年の37.2万円/㎡へと、 約53%の価格上昇が見られます。特に2021年以降は、コロナ禍からの回復とともに 上昇率が加速しています。
取引件数に注目すると、2020年は新型コロナウイルスの影響で大幅に減少しましたが、 2021年以降は1,000件を超える水準まで回復しています。2024年は802件と やや減少していますが、これは年の途中までのデータであることが影響している可能性があります。
過去3年間の平均価格は35.0万円/㎡で、広島県全体の平均(32.8万円/㎡)と比較して 約6.8%高い水準にあります。これは広島市が県内の経済・文化の中心地であり、 交通の利便性や生活インフラが充実していることを反映しています。
区別価格相場(2024年)広島市中古マンション
広島市は8つの行政区に分かれており、それぞれの区で中古マンションの価格相場に 大きな差があります。特に中心部に位置する南区と中区は高い価格水準を示しています。
広島市 区別中古マンション価格相場(2024年)

区名 | 平均単価 | 前年比 | 平均価格 | 取引件数 |
---|---|---|---|---|
南区 | 47.7万円/㎡ | +17.1% | 2,802万円 | 1,549件 |
中区 | 42.7万円/㎡ | +0.9% | 2,895万円 | 1,980件 |
東区 | 32.8万円/㎡ | +17.0% | 2,118万円 | 898件 |
西区 | 32.1万円/㎡ | +2.3% | 2,249万円 | 1,535件 |
安佐南区 | 31.4万円/㎡ | +3.4% | 2,333万円 | 915件 |
佐伯区 | 26.7万円/㎡ | -7.4% | 2,124万円 | 675件 |
安芸区 | 26.0万円/㎡ | -5.6% | 1,821万円 | 258件 |
安佐北区 | 18.9万円/㎡ | +11.1% | 1,368万円 | 222件 |
各区の特徴
南区(47.7万円/㎡)
広島市内で最も高い単価を誇る南区は、広島駅や繁華街に近く、交通の利便性が高いエリアです。 前年比+17.1%と大幅な価格上昇を示しており、需要の高さがうかがえます。 特に駅周辺や川沿いの高層マンションは人気が高く、価格を押し上げる要因となっています。
中区(42.7万円/㎡)
広島市の中心部に位置する中区は、商業施設や文化施設が集中し、生活利便性が非常に高いエリアです。 平和記念公園や繁華街も含まれ、観光地としても知られています。 前年比は+0.9%と小幅な上昇にとどまっていますが、これは既に高い価格水準に達しているためと考えられます。
東区(32.8万円/㎡)
広島駅を含む東区は、交通の要所として発展しているエリアです。 前年比+17.0%と南区に並ぶ高い上昇率を示しており、再開発の進行や交通利便性の高さから 今後も価格上昇が期待できるエリアです。
安佐北区(18.9万円/㎡)
市内で最も単価が低い安佐北区ですが、前年比+11.1%と高い上昇率を示しています。 郊外の自然豊かな環境が評価され、リモートワークの普及とともに需要が高まっている可能性があります。 価格水準の低さから、投資対象としても注目されています。
区ごとの価格相場を見ると、最も高い南区(47.7万円/㎡)と最も低い安佐北区(18.9万円/㎡)では 2.5倍以上の価格差があります。また、南区と東区では17%を超える大幅な価格上昇が見られる一方、 安芸区と佐伯区では価格下落が確認されており、エリアによる二極化が進んでいることがわかります。
築年数による価格変動【広島市2024年】
中古マンションの価格は築年数によって大きく変動します。広島市の中古マンションの 経年による価値減少率を分析すると、以下のような傾向が見られます。
築年数による価格変動グラフ

新築時
66万円/㎡(残存価値 100%)
築10年
49万円/㎡(残存価値 74%)
築20年
36万円/㎡(残存価値 54%)
築30年
27万円/㎡(残存価値 41%)
広島市の中古マンションは、築10年で約26%の価値下落が見られます。これは全国平均と比較すると やや緩やかな下落率です。一般的に、築10年で30%前後の価値下落が見られることが多いため、 広島市の中古マンションは比較的資産価値が保たれやすい傾向にあると言えます。
築20年では新築時の54%、築30年では41%まで価値が下がりますが、立地条件の良い物件や 大規模修繕が適切に行われている物件では、この平均値よりも価値の下落が抑えられる傾向があります。
特に注目すべき点として、築20年を超えると価値下落のペースが緩やかになる傾向があります。 築20年から30年の間の価値下落率は13%程度であり、築10年から20年の間の価値下落率20%と 比較すると、下落ペースが鈍化していることがわかります。
中古マンション購入を検討する際は、築年数による価値下落を考慮しつつ、 修繕履歴や管理状態、立地条件などを総合的に判断することが重要です。 特に、築20年を超える物件では、大規模修繕の実施状況や管理組合の運営状況を 詳細に確認することをお勧めします。
隣接エリアとの比較
広島市周辺の主要都市(呉市、東広島市、廿日市市)との価格相場を比較することで、 広島市の中古マンション市場の位置づけをより明確に理解することができます。
広島市と周辺都市の価格相場比較

エリア | 平均単価 | 前年比 | 平均価格 | 取引件数 | 広島市との価格差 |
---|---|---|---|---|---|
広島市 | 37.2万円/㎡ | +7.2% | 2,450万円 | 802件 | – |
東広島市 | 28.4万円/㎡ | +10.8% | 2,186万円 | 336件 | -23.7% |
廿日市市 | 26.7万円/㎡ | +0.6% | 1,946万円 | 512件 | -28.2% |
呉市 | 23.9万円/㎡ | +7.7% | 1,796万円 | 614件 | -35.8% |
各エリアの特徴
東広島市(28.4万円/㎡)
広島大学のキャンパスがあり、学術研究都市として発展している東広島市は、 前年比+10.8%と高い上昇率を示しています。広島市と比較すると約24%低い価格水準ですが、 教育環境の充実や新興住宅地の開発により、今後も安定した需要が見込まれます。 特に西条駅周辺や大学近くのエリアは人気が高く、投資対象としても注目されています。
廿日市市(26.7万円/㎡)
広島市のベッドタウンとして発展してきた廿日市市は、宮島という世界遺産を有する観光地でもあります。 前年比+0.6%と小幅な上昇にとどまっていますが、広島市内への通勤アクセスの良さから 一定の需要があります。広島市と比較すると約28%低い価格水準であり、 コストパフォーマンスを重視する購入者にとって魅力的なエリアと言えます。
呉市(23.9万円/㎡)
かつては海軍の拠点として栄え、現在も造船業や製鉄業が盛んな呉市は、 前年比+7.7%と広島市を上回る上昇率を示しています。広島市と比較すると約36%低い価格水準であり、 周辺エリアの中で最も手頃な価格帯となっています。 海沿いの景観の良い物件や、歴史的な建造物が残るエリアなど、独自の魅力を持つ地域です。
広島市の中古マンション価格(37.2万円/㎡)は周辺エリアと比較して明らかに高い水準にありますが、 これは県庁所在地としての都市機能の充実度や交通の利便性、商業施設の集積などを反映したものと言えます。 一方で、周辺エリアは広島市と比較して24%~36%低い価格水準であり、 予算や生活スタイルに応じた選択肢を提供しています。
市場展望と投資判断
広島市の中古マンション市場は、2021年以降、着実な価格上昇を続けています。 今後の市場展望と投資判断のポイントについて分析します。
今後の市場展望
短期的展望(1~2年)
短期的には、金利上昇の影響で新築マンションの価格が高止まりする中、 中古マンション市場への需要シフトが続くと予想されます。 特に南区や東区などの人気エリアでは、引き続き価格上昇が見込まれます。 一方で、安芸区や佐伯区など価格下落が見られるエリアでは、 今後も弱含みの展開が続く可能性があります。
中長期的展望(3~5年)
中長期的には、広島市の人口動態や経済成長率、都市開発計画などが 中古マンション市場に影響を与えると考えられます。 広島駅周辺の再開発や都市機能の集約化が進む中、 利便性の高いエリアでは今後も安定した需要が見込まれます。 一方で、人口減少や高齢化が進む郊外エリアでは、 徐々に需要が減少する可能性があります。
投資判断のポイント
1. エリア選定
投資目的の場合、価格上昇率の高い南区や東区、安佐北区などが注目されます。 特に、前年比+10%以上の上昇率を示しているエリアは、 短期的な値上がり益を期待できる可能性があります。 一方で、実需目的の場合は、価格水準と生活利便性のバランスが取れた 西区や安佐南区なども検討価値があります。
2. 築年数の考慮
築10年前後の物件は、新築時からの価値下落が一段落し、 今後の価格下落リスクが比較的小さいと考えられます。 また、築20年を超える物件は、価格下落のペースが緩やかになる傾向があり、 適切に管理されている物件であれば、コストパフォーマンスの高い選択肢となります。
3. 管理状態と修繕履歴
中古マンションの資産価値を維持する上で、管理状態と修繕履歴は非常に重要です。 大規模修繕が適切に行われている物件や、修繕積立金が十分に確保されている物件は、 長期的な資産価値の維持が期待できます。 購入検討時には、管理組合の運営状況や修繕計画を詳細に確認することをお勧めします。
広島市の中古マンション市場は、エリアによる二極化が進む中、 投資判断においてはより慎重な分析が求められます。 価格相場だけでなく、人口動態や都市開発計画、交通インフラの整備状況など、 多角的な視点から検討することが重要です。 また、実需目的の場合は、価格や投資リターンだけでなく、 生活環境や教育環境、将来的な住み替えのしやすさなども 考慮に入れた判断が必要となります。
まとめ
2024年の広島市中古マンション市場は、前年比+7.2%という堅調な上昇を示しています。 市内の平均価格は37.2万円/㎡(2,450万円)となっており、 広島県内や周辺エリアと比較して高い水準にあります。
エリア別では、南区(47.7万円/㎡)と中区(42.7万円/㎡)が高い価格水準を示す一方、 安佐北区(18.9万円/㎡)は最も低い価格水準となっています。 特に南区と東区では前年比17%を超える大幅な価格上昇が見られる一方、 安芸区と佐伯区では価格下落が確認されており、エリアによる二極化が進んでいます。
築年数による価値変動では、築10年で約26%、築20年で約46%、築30年で約59%の 価値下落が見られますが、立地条件の良い物件や適切に管理されている物件では、 この平均値よりも価値の下落が抑えられる傾向があります。
今後の市場展望としては、金利上昇の影響で新築マンションの価格が高止まりする中、 中古マンション市場への需要シフトが続くと予想されます。 特に南区や東区などの人気エリアでは、引き続き価格上昇が見込まれる一方、 安芸区や佐伯区など価格下落が見られるエリアでは、 今後も弱含みの展開が続く可能性があります。
中古マンションの購入や投資を検討する際は、エリアごとの価格動向や築年数による価値変動、 管理状態や修繕履歴など、多角的な視点から検討することが重要です。 また、自身のライフスタイルや将来計画に合わせた選択を行うことで、 長期的に満足度の高い住まいを手に入れることができるでしょう。
データ出典
本レポートのデータは以下の情報源に基づいています。
※本記事は一般的な市場動向を示すものであり、個別の物件の価格を保証するものではありません。 実際の取引にあたっては、不動産の専門家にご相談ください。
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