モデルルームでのFP相談は、まったく意味が無いです。
意味が無いどころか有害です。
購入するように誘導されます。
営業マンとFPは繋がっています。
100%の確率で、マンション購入へ誘導されます。
FPに相談したいなら、モデルルーム以外の中立なFPに相談しましょう。
以上!!
結論
モデルルームのFP相談は、
絶対ダメ!!
以下は読まなくても大丈夫です。
元マンション営業マン・現不動産アナリスト
数百区画の大規模分譲住宅から500戸以上のタワーマンションまで、30年以上にわたり様々な物件を担当。現在は不動産アナリストとして、購入者目線での情報提供を行っています。FP2級資格保有。
マンション・戸建てのモデルルーム販売に30年以上携わってきた経験から、今回は「無料FP相談」の舞台裏についてお伝えします。大規模分譲住宅からタワーマンションまで、あらゆる物件販売の現場で見てきた実態をもとに解説します。
多くのモデルルームでは、ファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談が提供されています。この相談は通常、営業マンが同席しない個室で行われ、FPは「中立の立場」を強調します。しかし、この「中立性」には大きな疑問符がつきます。
この記事でわかること
- 相談内容がどのように営業マンに共有されるのか
- 無料FPの真の顧客は誰なのか
- なぜ個別相談のFPは男性ばかりなのか
- FP相談を賢く活用するための具体的方法
モデルルームに登場するFPの実態
私が関わってきたモデルルームに来訪するFPは、ほぼ例外なく30代半ば~50代の男性で、中小規模の保険会社や地方銀行、信託銀行などに所属しています。大手金融機関の社員が来ることは稀です。
日本のFP業界の現状として、米国などと比較すると社会的地位や報酬体系に大きな差があります。米国では公認会計士や弁護士と同等の専門職として認知され、適切な報酬を得ていますが、日本では「無料相談」が一般的であり、その背景には別の収益構造が存在します。
「モデルルームの営業マンは表向き『先生』と呼びますが、実際にはFPをロビーで15分以上待たせることも珍しくありません。この関係性からも、無料相談FPの立場が見えてきます」
つまり、無料相談を行うFPにとって、真の顧客は相談者ではなく、報酬を直接・間接的に支払う不動産会社なのです。この構造を理解することが、FP相談を有効活用する第一歩となります。
項目 | 日本のFP(モデルルーム) | 米国のFP |
---|---|---|
社会的地位 | 比較的低い | 公認会計士や弁護士と同等 |
主な収入源 | 保険販売手数料 不動産会社からの紹介料 |
顧問料・相談料 |
独立性 | 限定的(販売促進が主目的) | 高い(顧客の利益が最優先) |
主な顧客 | 不動産会社・保険会社 | 個人・企業 |
FPは嘘は言わないが、都合の悪いことも言わない
FPは事実を歪曲するわけではありませんが、資金計画に不利な情報は積極的に提示しない傾向があります。
FPが作成した資金計画に明らかな嘘はないと思われますが、その前提となる条件設定には細心の注意が必要です。
例えば、お子さんの小学校入学後に奥様が週4日のパート勤務を検討していると伝えたにもかかわらず、計画書では週5日勤務として計算されていたり、年収を500万円弱と伝えたのに、550万円で試算されているといったケースは少なくありません。
このような条件の些細な違いに気づいても、「家が買えるし、これだけの資産が築けるなら、まあ大丈夫だろう」と楽観的に考えてしまうのは危険です。
なぜなら、FPは物件購入を前提に資金計画を作成するため、将来的に資金繰りを圧迫する可能性のある情報(例えば、親の介護の必要性や、お子様の人数が増える可能性など)を、積極的にヒアリングしないことがあるからです。
したがって、FPから提示された資金計画を鵜呑みにするのではなく、その前提条件に少しでも不確かな点や疑問点があれば、遠慮せずにFPに確認し、ご自身のライフプランに合った現実的な計画となるよう、しっかりと話し合うことが重要です。
FPが恣意的に改ざんする例
FPはキャッシュフロー表を中心に話を進めます。実際には、その表の数字を読み上げているに過ぎず、本質的には小学生でも理解できる程度のものです。そして、顧客が安心して物件を購入するよう誘導するために、意図的に数値を操作することがあります。もちろんお客が安心(錯覚)して物件を購入できるように仕向けるためです。
ここで私が経験したFPの恣意的な改ざんの一例をご紹介します。
改ざんの種類 | 実際の例 | 問題点 |
---|---|---|
収入の過大評価 | 収入が毎年上昇する前提で計算する | 誰でも所得が上昇するなら、あなたはそのボロボロの靴を買い替えたほうがいいのでは? |
金利の過小評価 | 住宅ローンの支払い額を現在の変動金利が35年間継続する前提で計算する | 将来の金利が正確に予測できるなら大儲けできるよね?なんでFPなんてやってるの? |
可処分所得の過大評価 | 可処分所得を源泉徴収票と異なる金額(割増し)で計算する | 数値を正しく把握できないのに他人様の財務のアドバイスをするの? |
計画期間の短縮 | 期間が60歳までしかない | 老後のキャッシュフローこそが一番重要なのでは? |
収支の改ざん | キャッシュフローがいつでも黒字になる | 他の物件で作成してもらったキャッシュフロー表を使うと赤字になるけど? |
FPによる資金計画は、物件購入ありきで作成されている可能性が高いです。加えて、キャッシュフロー表は将来のライフイベントを盛り込む性質上、保険商品の提案に繋がりやすい側面があります。FPがキャッシュフロー表を用いて、物件購入と合わせて保険も提案してくる背景には、こうした販売戦略があると考えられます。
これらのリライト案の中から、イメージに近いものはございますでしょうか?あるいは、さらに別のニュアンスでのリライトをご希望であれば、遠慮なくお申し付けください。
相談する価値はあるのか
モデルルームでのFP相談は、残念ながら期待するほどの価値はないと考えられます。なぜなら、彼らの主な目的は、先にも述べたように「物件の販売を後押しすること」と「保険商品を販売すること」の二点に偏っているからです。本来FPが目指すべき「相談者の経済状況を健全化する」という視点は、二の次になっている可能性が高いと言わざるを得ません。
無料であることや、保険の勧誘を受けること自体が、必ずしも相談する価値がないとは限りません。もし、その情報が有益であれば、検討の余地はあるでしょう。しかし、モデルルームで行われる無料相談は、顧客に物件購入を決断させるための営業活動の一環と捉えるべきです。
そもそも、FPがわざわざモデルルームに出向いてくる理由を考えてみてください。顧問料や相談料を支払ってくれる既存の顧客を多く抱えているのであれば、わざわざモデルルームで新規顧客を探す必要はないはずです。一般的に考えれば、本当に価値のあるものは無料では手に入りません。料金が発生しないということは、提供される情報やサービスの質もそれ相応である可能性が高いと言えるでしょう。
FP相談の舞台裏【情報はどう流れるのか】
モデルルームでのFP相談は、表面上は「個人の資金計画を考える場」として提供されていますが、実際には緻密に設計された情報収集の場でもあります。以下が典型的な流れです。
通常の商談はオープンスペースで行われますが、FP相談は意図的に個室で実施されます。これにより、来場者は金銭的な話題をより気軽に話せる環境が作られます。
⇓ ⇓ ⇓
来場者の目に触れない場所で、営業マンはFPに対して「聞き出してほしい情報」を伝えます。特に重視されるのは、実際の予算、親からの援助可能性、共働きの可能性など、直接尋ねにくい情報です。
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営業マンはFPを紹介した後、「専門家に任せます」と退室。これにより来場者は「中立的な相談」という印象を持ちます。
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FPは「不動産会社とは別の立場」を強調しながら相談を進めます。4畳程度の個室の密室感が、来場者の心理的障壁を下げ、本音を引き出しやすくします。相談は1~2時間に及ぶこともあります。
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相談終了後、FPは「営業マンを呼んできます」と言って退室。この間に、得られた全ての重要情報を営業マンに伝達します。来場者は待ち時間に気づかないよう、飲み物提供などの配慮がなされています。
⇓ ⇓ ⇓
FPから得た情報をもとに、営業マンは来場者の予算や状況に合わせた効果的な提案を行います。FPはこの時点で役目を終え、退場します。
個室で「中立な専門家」に話した内容は、ほぼ全て営業マンに共有されています。これを理解した上で相談に臨むことが重要です。
なぜ個別相談のFPは男性ばかりなのか
集団セミナーでは女性FPが登場することもありますが、個別相談では男性FPがほぼ独占的に起用されています。この現象には、不動産業界の長年の経験から導き出された心理的要因があります。
最大の理由は、女性客(特に既婚女性)が女性FPに対して金銭的な本音を話しづらい傾向があるためです。年上の女性FPには「教えられることへの抵抗感」が、年下の女性FPには「プライドの問題」が生じやすいのです。
この傾向は不動産営業全般にも当てはまります。女性営業マンが女性客、特に夫婦での来場時に難しさを感じるケースは少なくありません。
【実例】
モデルルームFP相談における男女比率
資金計画の「微調整」【FPが行う数字の操作】
FPが提示する資金計画は、明らかな虚偽ではないものの、購入を促進するための「微調整」が施されていることがほとんどです。これらの調整は、一見すると些細なものですが、長期的な資金計画においては大きな影響を及ぼします。
例えば、「週4日のパート勤務を検討している」と伝えた場合でも、計画書では週5日で計算されていたり、「年収500万円弱」と伝えた情報が550万円として計算されていることは珍しくありません。
こうした小さな差異は、最終的な「購入可能」という結論を導くために意図的に行われることが多いのです。さらに問題なのは、こうした微調整に気づいても、「家が買えて資産も貯まる」という魅力的な結論を見せられると、多くの人が「少しの違いなら大丈夫だろう」と考えてしまう点です。
また、FPは物件購入を前提に話を進めるため、将来の介護負担や追加の子どもの可能性など、資金計画に悪影響を与える要素については積極的に質問しない傾向があります。
FP相談の活用ポイント
- 住宅ローンの基本知識を得る機会として
- キャッシュフロー表の構造を学ぶ参考に
- 自分の資金計画を考えるきっかけとして
- 物件購入時の一般的な注意点を知る場として
- 複数のFP相談を比較検討材料として
FP相談の注意点
- 提示された数字は必ず自分で検証する
- 「中立」という言葉を過信しない
- 保険提案への誘導に注意する
- 楽観的な前提条件を見抜く
- 相談内容は営業マンに伝わると認識する
FPが行う数字の「微調整」の実例
長年の経験から観察してきた、FPが行う典型的な数字の操作パターンを以下にまとめました。これらを知ることで、提示された資金計画を批判的に検討できるようになります。
操作の種類 | 具体的手法 | 問題点 |
---|---|---|
収入の過大評価 | 毎年1~3%の収入増加を前提に計算 | 現実の日本では継続的な収入増加は保証されず、むしろ減少リスクも考慮すべき |
金利リスクの軽視 | 現在の低金利が長期間継続すると仮定 | 35年のローン期間中に金利上昇は十分あり得るシナリオ |
可処分所得の過大評価 | 実際の源泉徴収票より高い可処分所得で計算 | 基本的な数値の正確性に問題があり、全体の信頼性を損なう |
計画期間の短縮 | 60歳までの計画で終了させる | 平均寿命を考えると、老後30年以上の資金計画が必要 |
収支バランスの操作 | 常に黒字になるよう支出を調整 | 実際の生活では予期せぬ支出が発生するのが現実 |
モデルルームFPの存在理由
モデルルームは本質的に「販売の場」であり、そこに配置されるFPもその販売戦略の一部です。FPがモデルルームに存在する主な理由は以下の2点に集約されます。
- 来場者に「専門家のお墨付き」という安心感を与え、購入決断を促進すること
- FP自身の保険販売などの副次的なビジネスチャンスを得ること
この構造を理解すれば、「無料相談」の真の意味も見えてきます。確かに相談自体は無料ですが、その背後には明確なビジネスモデルが存在しています。
無料相談の真の対価
FPは法律で独占業務が定められた職業ではなく、弁護士や税理士のように「〇〇でなければできない業務」がありません。それにもかかわらず、なぜ無料で専門的なアドバイスを提供できるのでしょうか。
答えは単純です。FP相談後には高い確率で保険の提案があります。多くのモデルルームFPは保険販売の手数料を主な収入源としており、無料相談はその入口なのです。
さらに、相談者が物件を購入した場合、FPに対して不動産会社から紹介料やキックバックが発生することもあります。契約率の高いFPは「優秀な営業サポート」として重宝され、継続的に案件を紹介されるという循環が生まれます。
自分で作るキャッシュフロー表
モデルルームFPの相談には限界がありますが、キャッシュフロー表自体は住宅購入の意思決定に非常に有用なツールです。日本FP協会のウェブサイトなどで公開されているテンプレートを活用し、自分自身で作成することをお勧めします。
自作する際は、以下のような現実的な前提条件を設定することが重要です。
項目 | 現実的な設定方法 | 理由 |
---|---|---|
収入予測 | 現状維持または毎年1%減少 | 収入減少リスクを考慮した保守的な計画が安全 |
生活費 | 過去の実績に基づく正確な見積り | 過小評価は資金計画の根幹を揺るがす |
住宅ローン | 固定金利(フラット35など)で計算 | 長期居住を前提とする場合、金利変動リスクは避けるべき |
計画期間 | 90歳までの長期計画 | 平均寿命の伸長を考慮した計画が必要 |
年金収入 | 最小限に見積るか、計算に含めない | 将来の年金制度は不確実性が高い |
このような厳格な条件で計算すると、多くの場合、適正な住宅ローン額は年収の3倍程度という結果になります。一般的に言われる「年収の5倍まで」という基準は、世帯年収1,000万円以上の家庭に適用される目安と考えるべきでしょう。
世帯年収別の適正住宅ローン額
※現実的なキャッシュフロー計画に基づく推奨上限額
独立系FPとモデルルームFPの違い
住宅購入という人生最大の買い物を検討する際、独立系FPへの相談も選択肢の一つです。独立系FPとは、特定の金融機関や不動産会社に属さず、相談料や顧問料を主な収入源とする専門家を指します。
独立系FPとモデルルームFPの比較
比較項目 | 独立系FP | モデルルームFP |
---|---|---|
立場と優先事項 | 相談者の財務健全性を優先 | 不動産会社の販売支援が主目的 |
収入源 | 相談料・顧問料 | 保険販売手数料 不動産会社からの報酬 |
相談費用 | 有料(1~3万円/回程度) | 無料 |
提案の方向性 | 購入の是非を含めた客観的分析 | 物件購入を前提とした計画 |
資金計画の特徴 | 保守的・現実的な前提条件 | 楽観的な前提条件 |
保険提案 | 必要に応じて(収入源ではない) | 積極的(主要な収入源) |
情報の取扱い | 守秘義務あり 第三者への情報共有なし |
不動産会社と情報共有あり |
まとめ
モデルルームでの無料FP相談は、完全に中立な立場からのアドバイスではないことを理解した上で、以下のポイントを意識して活用することをお勧めします。
住宅購入は人生最大の買い物であり、その決断が数十年にわたる生活に影響を与えます。営業マンやFPの言葉に流されず、自分自身の判断で決断することが、後悔のない住宅購入への近道となります。
参考資料
日本FP協会 – キャッシュフロー表のテンプレートなど
初心者がモデルルームに行く必要がない6つの理由
独立系FPの選び方と相談のポイント【日本FP協会】
住宅ローン金利タイプ別シミュレーション【SBI新生銀行】
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