リセール・売却を考えてきれいに使う-高く売るコツ
マンションを購入する際、多くの方が「終の棲家」として考えがちですが、実際には転勤や家族構成の変化、ライフスタイルの変化により売却を検討する機会は意外と多いものです。そのため、購入時から将来の売却を見据えた住まい方を心がけることが、資産価値を維持し、有利な売却につながる重要なポイントとなります。
今回は、実際の取引事例を交えながら、マンションを「きれいに使う」ことがいかにリセール価値に影響するかについて詳しく解説していきます。
中古マンション取引で起こりうるトラブル事例

Q:売却時に室内状態が原因でトラブルになることはありますか?

A:はい、室内の汚れや損傷が原因で残金決済が延期になるケースも実際にあります。
筆者が実際に立ち会った高級マンション取引では、売主の引っ越し後に行われた買主の室内確認で深刻な問題が発覚しました。家具が置かれていた際には気づかなかった壁や床の損傷、喫煙による変色、壁紙の剥離など、想像以上にひどい状態だったのです。
買主は「最初に見学したときの印象と全く違う」と絶句し、仲介業者も「これほど状態の悪いマンションは見たことがない」と困惑していました。結果として残金決済は延期となり、売主負担での補修工事が必要となったのです。
このようなケースは稀ではありますが、売主にとっては金銭的な損失だけでなく、精神的な負担も大きくなります。普段からの住まい方が、いかに重要かを物語る事例といえるでしょう。
普段からのきれいに使いましょう

Q:普段からどんなことに気をつけて住めば良いですか?

A:特に水回りの清掃を心がけ、設備を大切に使い、落ちにくい汚れを防ぐことが重要です。とにかくきれいに使いましょう。
普段から清掃を心がけ、設備は大切に傷つけないよう使用することが基本です。きれいに使うことが高く売るコツです。特に注意が必要なのは、落ちにくい汚れやカビ、退色が発生しやすいキッチンやバスルーム、洗面所といった水回りです。
これらの箇所は悪臭の主な原因ともなるため、見学者が特に厳しくチェックする場所でもあります。気を抜くことができない重要なポイントです。
不動産会社と相談の上でハウスクリーニングを実施した場合は、その後の維持管理により一層注意を払う必要があります。プロの清掃で得られたきれいな状態を、できるだけ長期間維持することが売却成功の鍵となります。
水回りの清掃は毎日の習慣として取り入れ、カビや水垢の発生を防ぐことで、将来的な大規模な清掃や修繕の必要性を減らすことができます。
においへの細心の注意(タバコ・ペット)

Q:室内のにおい対策で特に注意すべきことは何ですか?

A:タバコのにおいは特に嫌悪されるため、禁煙を心がけ、換気を十分に行うことが大切です。
においの問題で特に注意が必要なのがタバコです。公共の場でも禁煙の場所が急激に増えていることからも分かるように、タバコのにおいに敏感な人が多く、非常に嫌悪される傾向があります。
居室でタバコを吸えば、そのにおいはなかなか落ちず、壁紙の張り替えや修繕が必要になる場合もあります。これは売却時の大きなマイナス要因となり、売却価格の下落や売却期間の長期化につながる可能性があります。
タバコ以外にも、ペットのにおいや調理のにおいなど、住んでいる人には気づきにくいにおいが蓄積されている場合があります。定期的な換気と消臭対策を心がけ、第三者の視点でにおいチェックを行うことも重要です。
荷物の一時退避という現実的な解決策

Q:捨てられない荷物はどう処理すれば良いですか?

A:トランクルームを借りて一時退避させ、売却後に必要なものだけ新居に運ぶ方法があります。
家の中には捨てがたいものが多数残ってしまうのが現実です。新しい住まいでは再び使う可能性があるものや、思い出深い品々を無理に処分する必要はありません。そこで提案したいのが「一時避難」という方法です。
トランクルームを借りて、そこに一時的に荷物を収納することで、室内をスッキリと整理できます。マンションの売却では、見学者に心地よさを味わってもらうこと、「ここに住んでもいい」と思わせることが重要です。
狭い住まいでも、快適な空間が演出できれば買主の購買意欲を刺激できます。新築マンションのモデルルームのような生活感のない状態は極端ですが、初回の見学者を迎える際は、それなりの演出が必要です。
見学者に「こんな暮らしがしたい」と思わせるような「きれい」な空間演出を心がけましょう。トランクルームの費用は、売却価格の向上を考えれば十分に回収可能な投資といえます。
購入時に重視すべき収納スペースの設計

Q:マンション購入時に収納で注意すべきポイントは何ですか?

A:玄関収納の大きさ、押し入れの奥行き、洋服掛けの機能性などバランスが重要です。
筆者が中堅マンションデベロッパーで設計・企画に携わった経験から、収納スペースの設計は非常に重要な要素だと断言できます。収納は「このくらいあれば大丈夫」という基準がある一方で、広ければ良いというものでもありません。
収納スペースを大きく取りすぎると、リビングや寝室が狭くなってしまうため、設計者には絶妙なバランス感覚が求められます。購入検討時には、現在住んでいる住まいを基準に考えがちですが、玄関収納の大きさ、布団収納の奥行き、洋服掛けの大きさと機能性などを具体的にチェックすることが大切です。
特に玄関収納は来客時の印象を左右する重要な要素であり、将来の売却時にも買主の第一印象に大きく影響します。機能的で十分な収納があることで、常に整理整頓された住空間を維持しやすくなるのです。
荷物を増やさないライフスタイルの実践

Q:マンションで荷物を増やさないコツはありますか?

A:収納スペースに合わせた生活を心がけ、新しく家具を購入する前に検討することです。
マンションの収納スペースには限界があります。70㎡や80㎡程度のマンションでは、どれほど工夫しても大差はありません。重要なのは、収納スペースに合わせた生活を心がけることです。
収納場所がないからといって、タンスや収納家具を追加購入してしまうと、結局は室内が荷物で埋まってしまい、足の踏み場もない状態になってしまいます。どのようなマンションを購入しても、荷物で埋まってしまっては台無しです。
広い家は広い家なりに荷物が増えてしまう傾向があるため、意識的に荷物を増やさない暮らしを実践することが重要です。新しいものを購入する際は、古いものを処分するという「ワンイン・ワンアウト」の原則を心がけましょう。
売却を決めたら断捨離!!

Q:売却を決めたらまず何から始めるべきですか?

A:思い切った荷物の整理と断捨離から始め、必要に応じて専門業者に依頼しましょう。
売却を決意したら、まず取り組むべきは徹底的な荷物の整理です。長年住んでいると、思い出の品や着もしない服など、捨てるに捨てられないものが蓄積されています。これらを思い切って処分する勇気が必要ですが、実際には非常に困難な作業です。
断捨離という考え方が一時期流行しましたが、「言うは易く行うは難し」というのが現実です。モノへの執着を捨て、不要なモノを減らすことで生活の質の向上を目指す考え方は理想的ですが、実践には強い意志と時間が必要です。
忙しい現代人にとって、荷物整理の時間を確保することも大きな課題です。そのような場合は、専門の整理業者に依頼することも一つの解決策となります。費用はかかりますが、効率的で確実な整理が期待できます。
まとめ
マンションの状態と売却価格・期間の関係
※非常にきれいな状態を100%とした相対値
マンションの資産価値を維持し、将来の売却を有利に進めるためには、購入時から「きれいに使う」ことを意識した住まい方が不可欠です。日常的な清掃と整理整頓、設備の丁寧な使用、においへの配慮など、小さな積み重ねが大きな差となって現れます。
売却を決意した際には、徹底的な片付けと空間演出により、買主に良い印象を与えることが成功の鍵となります。トランクルームの活用や専門業者への依頼など、現実的な解決策を活用しながら、理想的な住空間を演出しましょう。
「きれいに使う」という意識は、単に売却時のためだけでなく、日々の生活の質向上にもつながります。快適な住環境を維持しながら、将来の資産価値も守る、一石二鳥の住まい方を実践していきましょう。
売却前の準備作業チェックリスト
カテゴリー | 作業内容 | 度重要 | 実施タイミング | チェックする |
---|---|---|---|---|
整理整頓 | 不要な荷物の放出 | 高い | 3ヶ月前〜 | |
クローゼット・押入れの整理 | 高い | 1ヶ月前〜 | ||
トランクルームの手配 | 中 | 1ヶ月前 | ||
清掃 | 水回り(キッチン・浴室・洗面所)の徹底清掃 | 最高 | 2週間前 | |
壁・天井のシミ・汚れの除去 | 高い | 2週間前 | ||
フローリング・カーペットの清掃 | 高い | 1週間前 | ||
窓・サッシの清掃 | 中 | 1週間前 | ||
修繕 | 壁紙の妥協・泥の修繕 | 高い | 1ヶ月前 | |
フローリングの傷・へこみの修繕 | 中 | 1ヶ月前 | ||
ドアノブ・蝶番などの金具の調整 | 低い | 2週間前 | ||
演出 | 不要な家具の撤去 | 高い | 1週間前 | |
室内の消臭・換気 | 高い | 当日見学 | ||
適度な照明の確保 | 中 | 当日見学 | ||
季節に応じた室温調整 | 中 | 当日見学 |
参考リンク
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