広島市の中古マンション価格が大幅上昇 【5年間で最大542万円アップ】
マンションレビューが「2025年5月 全国市区町村中古マンション価格/騰落率ランキングデータ」を発表しました。
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広島市中区、南区、西区をピックアップしてご紹介いたします。
区 | 騰落率(20年5月比較) | 2020年5月 | 2025年5月 | 5年比較 |
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西区 | 11.70% | 1,870万円 | 2,088万円 | +218万円 |
南区 | 19.66% | 2,157万円 | 2,581万円 | +424万円 |
中区 | 22.79% | 2,379万円 | 2,921万円 | +542万円 |
※70㎡換算
区別騰落率(2020年5月比較)
広島市中心部の中古マンション大幅上昇
はじめに
広島市の中心部3区(中区、西区、南区)における中古マンション市場は、この5年間で大幅な価格上昇を記録しています。2020年5月から2025年5月までの期間において、全ての区で二桁台の騰落率を示し、特に中区では22.79%という高い上昇率を記録しました。本記事では、各区の詳細な価格推移を分析し、その背景と今後の展望について考察します。
【各区の価格推移詳細分析】
【中区】最高の上昇率を記録
広島市の政治・経済の中心地である中区は、今回の調査で最も高い騰落率22.79%を記録しました。2020年5月時点で2,379万円(70㎡換算)だった平均価格が、2025年5月には2,921万円まで上昇し、実に542万円もの価格上昇となっています。
中区の価格上昇の背景には、広島市の都市機能集約化政策や、平和記念公園周辺の再開発、そして広島駅前の大規模開発による都心回帰の流れがあると考えられます。また、リモートワークの普及により、職住近接を求める層の需要が高まったことも影響している可能性があります。
中区は広島市の中心部として、商業施設、医療機関、教育機関などの都市機能が集積しており、生活利便性の高さが評価されています。特に、本通り商店街や紙屋町・八丁堀エリアへのアクセスの良さは、住環境として大きな魅力となっています。
【南区】バランスの取れた成長
南区は騰落率19.66%と、3区の中では中位の上昇率を示しました。2020年5月の2,157万円から2025年5月には2,581万円へと424万円上昇しています。
南区の特徴は、比較的安定した価格帯を維持しながらも着実な上昇を見せている点です。広島駅南口の再開発や、マツダスタジアム周辺の商業施設充実などが、住環境の向上に寄与していると考えられます。また、交通アクセスの良さと住環境のバランスが評価され、ファミリー層を中心とした需要が堅調に推移しています。
南区は広島の玄関口である広島駅に近く、新幹線や在来線、路面電車などの交通網が充実しています。さらに、比治山公園などの自然環境も豊富で、都市生活と自然環境のバランスが取れたエリアとして人気が高まっています。
【西区】着実な価格上昇
西区は騰落率11.70%と3区の中では最も控えめな上昇率でしたが、それでも二桁台の成長を記録しています。2020年5月の1,870万円から2025年5月には2,088万円へと218万円の上昇となりました。
西区は3区の中で最も価格帯が手頃であることから、初回購入者や若年層からの注目が高まっていると推測されます。また、広島市中心部へのアクセスが良好でありながら、相対的に価格が抑えられているため、コストパフォーマンスを重視する購入者層に支持されています。
西区には広島市民球場跡地の再開発や、観音地区の住環境整備など、今後の発展が期待される要素も多く、将来性への期待も価格上昇の一因となっています。
5年間の価格上昇額
市場全体の傾向分析
価格上昇の共通要因
3区すべてで価格上昇が見られる背景には、以下の共通要因が考えられます:
長期間にわたる低金利政策により、住宅ローンの借入コストが低く抑えられ、不動産購入への参入障壁が下がりました。これにより、より多くの購入希望者が市場に参入し、需要の増加につながっています。
新築マンションの供給が限られる中、中古マンション市場への需要が集中しました。特に立地の良い物件への需要が高まっており、価格上昇圧力となっています。
広島市中心部の各種再開発プロジェクトが、エリア全体の価値向上に寄与しています。広島駅周辺の大規模再開発や、紙屋町・八丁堀地区の活性化事業などが、住環境の向上と資産価値の上昇をもたらしています。
コロナ禍を経て、住環境への関心が高まり、より良い立地や設備を求める傾向が強まりました。在宅勤務の普及により、住居の快適性や利便性への要求水準が上がっています。
建築資材費の高騰や人件費の上昇により、新築物件の価格が上昇し、相対的に中古マンションの割安感が高まっています。
地域特性による差異
各区の価格上昇率の違いは、それぞれの地域特性を反映しています。中区は都心部としての利便性が最も高く評価され、最大の上昇率となりました。南区は交通利便性と住環境のバランスが評価され、西区は価格の手頃さと将来性への期待が支えとなっています。
今後の市場展望
短期的な見通し
現在の価格上昇トレンドは、当面継続する可能性が高いと考えられます。ただし、上昇率については徐々に鈍化していく可能性があります。特に中区については、既に高価格帯に達しているため、今後は選別的な需要となることが予想されます。
金利動向や経済情勢の変化により、市場環境が変わる可能性もありますが、広島市中心部の立地的優位性は長期的に維持されると考えられます。
中長期的な課題と機会
急激な価格上昇により、実需との乖離が生じる可能性があります。特に若年層の住宅取得が困難になるリスクがあり、市場の持続可能性に影響を与える可能性があります。
将来的な金利上昇局面では、現在の価格水準の維持が困難になる可能性があります。購入検討者は金利変動リスクを十分に考慮する必要があります。
広島市全体の人口減少傾向が、長期的には不動産需要に影響を与える可能性があります。ただし、都心回帰の流れにより、中心部への人口集約は続くと予想されます。
継続的な都市再開発により、新たな価値創造の機会があります。特に広島駅周辺や平和記念公園周辺の開発は、エリア全体の魅力向上に寄与すると期待されます。
まとめ
広島市中心部3区の中古マンション市場は、この5年間で大幅な価格上昇を記録し、特に中区では500万円を超える上昇となりました。この上昇は、低金利環境、都市再開発、ライフスタイルの変化など、複数の要因が重なった結果です。
しかし、この急激な価格上昇が持続可能かどうかは、今後の経済情勢や金利動向、都市開発の進展状況によって左右されます。購入検討者や投資家は、短期的な価格動向に惑わされることなく、長期的な視点での判断が重要となるでしょう。
広島市の不動産市場は重要な転換点を迎えており、今後の動向が注目されます。各区の特性を理解し、自身のニーズと市場環境を総合的に判断することが、成功する不動産取引の鍵となります。
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